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<ライブレポート>GLAYが始めた「エンターテイメントの逆襲」、その第一弾ライブ【魁☆照男達】で提示された「ギターバンド」という本質

 2021年の活動コンセプトに「エンターテイメントの逆襲」を掲げるGLAY。その一環として発表された【THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK】は、各メンバーが1公演ずつプロデュースする4か月連続の配信ライブで、セットはそれぞれが作曲した楽曲で構成される。その中でTAKUROがプロデュースを務めたのが、3月27日に行われた第一弾ライブ【THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK魁☆照男達(シャイニングメン)】だ。

 オープナーはインディーズ時代のデモテープに収録され、その後もリアレンジを施されながら長年愛されてきたナンバー「KISSIN’ NOISE」。一筆書きのシンプルかつメロディアスなギターリフが炸裂する幕開けで、ブラウン管時代を思い出させるブロックノイズ風の画面演出も印象的な一幕だった。

 この【THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK】の面白さは、各公演で指揮を取るメンバーの趣味嗜好キャリアがいかんなく反映される点にある。そして、この日のGLAYが掲げたモードはずばり「ギターバンド」。GLAYのヒットメーカーとしてのTAKURO、ジャズやブルースを愛するギタープレーヤーとしてのTAKURO、その二つの天秤が絶妙なバランスで成り立っているからこそ、このロック不況の時代においても、GLAYはロックバンドとして第一線を走り続けていられる。そんな彼らの最大の強みともいえる個性を、ほぼMCなしのノンストップパフォーマンスで次々と証明していったのが、この日のGLAYのモードだった。

 不穏なギターイントロから始まった「WET DREAM」は、眩暈がするほどに明滅するスクリーン、煌びやかなAR映像がツイン・ギターソロを染めたパートも見どころに。続けて、TERUが「カモン!TOSHI」と合図を出すと「誘惑」へ。まさしくギターバンドとしてのGLAYの代名詞であり、ますますブラッシュアップされていくアンサンブルには貫禄が漲っている。その後の「千ノナイフガ胸ヲ刺ス」や「LOVE SLAVE」までを含めて、ハードなプレイは依然として続くのに、まったくブレない演奏の安定感にはさすがと言うほかない。その佇まいは前のめりで突き進む若いロック・バンドのそれとは決定的に異なる、とにかくストイシズムに徹し、瞬間瞬間の熱反応を細かくコントロールする職人のような佇まいだ。

 場面転換、円形ステージの中央に無数のモニターが取り付けられた電波塔のようなオブジェクトが出現すると、重厚なイントロに導かれて始まったのは「Angelus」。ツインギターが絡み合いながら、ほとんどパワーメタルのように突っ走るこの曲は、GLAYが上京して初めて販売したデモテープ『Angelus Bell』からの選曲だ。その後も定番のライブチューン「彼女の“Modern…”」、大味のハードロックナンバー「HIT THE WORLD CHART!」とテンポ良く投下していく。

 様々なギターロックが奏でられたこの日にあって、とりわけ異色だったのは、眩いミラーボールのもとで演奏されたダンスナンバー「SHINING MAN」、昨年12月のデビュー25周年記念ライブで初披露された新曲だ。さらに間髪を入れず「TILL KINGDOM COME」になだれ込み、曲中に「ギターバンドらしく、最後はギターで締めたいと思います」とTERUが振れば、HISASHIとTAKUTOがこの日最後のギターソロを代わる代わるに炸裂させていく。

 計10曲、約1時間のショートセットだった。演奏のインターバルは最小限で、会場に反響するオーディエンスの熱狂もなければ、派手なスケールの演出もない。あらゆる時間軸を行き来しながら、ひたすらに「ギターバンド」という本質と向き合ったライブだったと思う。だからこそ、彼らの新しい挑戦【THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK】の露払いとしては最適だったし、ここから再び紡がれていくGLAYの歴史のマイルストーンとして、後世に語り継いでいきたい一夜になったとも思う。次回のプレゼンターはHISASHI、配信は4月29日19時からスタートする。

Photo:田辺佳子

◎公演情報
【THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK魁☆照男達】
2021年3月27日(土)
<セットリスト>
1. KISSIN’ NOISE
2. WET DREAM
3. 誘惑
4. 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
5. LOVE SLAVE
6. Angelus
7. 彼女の“Modern…”
8. HIT THE WORLD CHART!
9. SHINING MAN
10. TILL KINGDOM COME

◎ライブ情報
【【第二弾】THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK RESONANCE vol.3』】
2021年4月29日(木) 18時30分~21時 ※開演は19時を予定しております。
見逃し期間:2021年4月30日(金)17時~2021年5月14日(金)23時59分
視聴料金:3,700円
キャスト:GLAY, DJ Mass (ViViD Neon*/LEONAIR), Key.REO (ViViD Neon*/LEONAIR)

【【第三弾】THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK LIFETIME MUSIC 】
2021年5月29日(土) 18時30分~21時 ※開演は19時を予定しております。
見逃し期間:2021年5月30日(日)17時~2021年6月13日(日)23時59分
視聴料金:3,700円
キャスト:GLAY, TOSHI NAGAI(Dr.), ハジメタル(Key.), ストリングス

【【第四弾】THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK LIVE at HOME Vol.6】
2021年6月26日(土) 18時30分~21時 ※開演は19時を予定しております。
販売期間:2021年3月1日(月)17時~2021年7月11日(日)21時
視聴料金:3,700円
キャスト:GLAY, TOSHI NAGAI(Dr.), 村山☆潤(Key.), ストリングス

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