【第63回グラミー賞】無観客開催ながら例年通りの興奮を届けた今年の“音楽の祭典”をまとめてレポート

2021年3月15日 / 21:30

 2021年3月15日(現地時間3月14日)に米ロサンゼルスで、世界最高峰の音楽の祭典【第63回グラミー賞】授賞式が開催された。

 今年は何といっても、新型コロナウィルスと2020年を象徴する大きなムーヴメント“BLM運動”の影響、そして今、世界で話されている女性の活躍が色濃く出る一夜となった。例年1月後半~2月中旬に開催されるこの式典は、各賞レース同様、日程を大きくずらして開催されることになった。感染リスクを最小にするため、屋上に設けられたエリアにノミネート者だけを集めて賞の発表が繰り広げられ、目玉のパフォーマンスも例年のステージの大きさに比べたら比較的小さめにはなる局内のスタジオで披露された。それでもフル・バンドを連れてくるアーティストもいれば、ダンサーを率いてダイナミックなパフォーマンスをするアーティストが大半で、そこは引けを取らなかった。アーティストが円になって演奏する――そういった近い感じもあり、初めて見るような表情やアーティストの交流が垣間見られた。また、アメリカ各地のライブハウスのオーナーがプレゼンターを務めるなど、コロナ禍におけるライブ産業の現状を伝える場にもなった。

 肝心の賞の行方はというと、<最優秀アルバム賞>、<最優秀レコード賞>、<最優秀楽曲賞>、<最優秀新人賞>の主要4部門をすべて女性アーティストが独占する結果に。8月に突如リリースした『フォークロア』で3度目の<最優秀アルバム賞>を獲得し、同賞を受賞した最多女性アーティストになったテイラーは、世界中に多くの癒しを与えただけでなく、詩人としての才能を改めて証明し、ポップではなくインディー・フォーク作品であったため、カントリー時代のファンも呼び戻すきっかけをも作った。

 <最優秀楽曲賞>を獲得したH.E.R.の「I Can’t Breathe」は、まさにBLM問題を提起する楽曲だ。ジョージ・フロイド氏の死の経緯は、もはや説明不要であるが、その彼が発した「I Can’t Breathe.(息ができない)」をタイトルにした本曲は、正義とは、平等とは、人種とは、をストレートに問う。H.E.R.が受賞時に発言した「2020年夏に使ったエナジーを持ち続けていこう」という言葉のように、この大変革を一時のブームにしないよう、互いにサポートし続けなければいけないのだ。その年にヒットした曲を聞けば、その時代背景が分かる、と言われるくらい、音楽は時代を写す鏡であるが、ラップ・ソングが今年の【グラミー】で多くノミネートされたことにも納得がいくだろう。無実であっても、何かあればすぐに手を挙げて身の潔白を証明するよう教えられるというアフリカ系アメリカ人にとって、警察という言葉に嫌悪感を示す人も多いようで、ダベイビーやリル・ベイビーのパフォーマンスからは、そういった抗議のメッセージが強く打ち出されていた。

 9部門にノミネートされていたビヨンセは主要部門こそ逃したものの、アフリカン・ルーツの誇りとBLMを掲げた「ブラック・パレード」で28個目の蓄音機トロフィーをゲットし、史上最も【グラミー賞】を獲得したアーティストに。彼女はこの日、4つの賞を獲得している。そして、そんな彼女を敬愛するメーガン・ザ・スタリオンは<最優秀新人賞>を含む3つの賞に輝いた。ラップ部門で輝かしい経歴を残した彼女が、カーディ・Bとともに、女性ラッパーとして地位を確立していることは確かで、「エヴリシング・アイ・ウォンテッド」で2年連続の<最優秀レコード賞>に輝いたビリー・アイリッシュも、同賞はメーガンが受賞に値するとスピーチするほど、彼女のこの1年間の躍進は大きかった。

 いつもとは違う形式で開催された【グラミー】だが、毎年のようにセレモニーの前も後も世界中の音楽ファンを沸かせたことは間違いない。WOWOWでは字幕版と生中継版が放送とオンデマンド配信で楽しめる。日本でも大人気のブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによる一夜限りのパフォーマンスや、涙なしでは見られない追悼コーナー、そしてアジア人アーティストにとって大きな前進となったBTSのパフォーマンスなど、感動と興奮の瞬間をもう一度チェックしてみては?

Text by Mariko Ikitake

◎番組情報
『第63回グラミー賞授賞式』(字幕版)
2021年3月15日(月)夜10:00~、 WOWOWプライムで放送
WOWOWオンデマンドで配信
※2021年3月23日(火)午後3:59まで見逃し配信あり


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