不要不急だから音楽は素晴らしい!コロナ以降を感じさせてくれた5曲

2020年6月15日 / 18:00

不要不急だから音楽は素晴らしい! コロナ以降を感じさせてくれた5曲 (okmusic UP's)

コロナウイルスによるイベント自粛が始まってもうすぐ4カ月ですが、依然として苦境が続くエンタメ業界。そんな中、アーティストたちは配信でライヴ、あるいはトーク企画などを行なったりと変化を模索し、日常を取り戻すための未来への歩み方が少しずつ見えてきている気もします。というわけで、今回のテーマは“コロナ以降を感じさせてくれた5曲”。不要不急だからこそ音楽って素晴らしいと改めて思えた、この現実と向き合ったことがうかがえる新曲をピックアップしてみました。
「タタカエブリバディ」(’20) /ウルフルズ

緊急事態宣言下、5月6日の深夜にフジテレビ系で放送された氣志團・綾小路翔が主催の家フェス『STAY HOME,STAY STRONG〜音楽で日本を元気に!〜』。その中で特にグッときたのは、新曲「タタカエブリバディ」を朗らかに届けたウルフルズのパフォーマンスでした。自粛で悶々としている人たちに《おい どんな感じ?》と気兼ねなく呼びかけてくれるこの親しみやすさを、心が軽くなってまた歩いていこうと思えるようなこのビートを、自然体でスマートなこういうメッセージを、僕らは求めていたのかもしれませんね。レッド・ホット・チリ・ペッパーズの「ギヴ・イット・アウェイ」のオマージュがしれっと入っていたりするユーモアも最高。
「新世界」(’20)/RADWIMPS

こちらも緊急事態宣言下の5月8日、テレビ朝日系『ミュージックステーション』で“今届けたい歌”として初公開、翌日の配信リリースも話題となったRADWIMPSの「新世界」。明るく《僕と君なら きっと越えて行けるさ》と歌えもしたけれど、そうやって多くの人を励ます希望に満ちた楽曲にするのはやめて、そこはかとなく漂う違和感を、これまで惰性で進んできた世の中の現実を、聴き手へ突きつけるように表現しているのが彼ららしくて素敵です。《僕ら長いこと 崩れる足元を 「上向いて歩けよ」と 眼をそらしすぎた》——大切なことから目を逸らさず、未来を真剣に考えるきっかけが生まれるのなら、そんな辛辣な一節に心揺さぶられるのも悪くない。
「SayHello」(’20)/あっこゴリラ

valknee、田島ハルコ、なみちえ、ASOBOiSM、Marukidoとのマイクリレーソング「Zoom」も注目を集めたラッパーのあっこゴリラが5月13日に配信リリースした新曲。「SayHello」では“うちらはみんな当事者”をテーマに掲げ、コロナの影響で浮き彫りになったあれこれを痛快に吐き出しまくっていくのですが、常日頃から政治や差別の問題についてフラットに言及している彼女ゆえの説得力が凄まじい! 《「怒るのはナンセンス」 スマイルで言えるあいつ 背後にみえる政府 脳がされてくレイプ》と、ジャンクかつダンサブルなビートに乗せたキレキレのフロウもたまりません。心が折れてしまいそうな時、聴いてほしい。ここから本領発揮という気分になれるはずなので。
「SMILE SMILE」(’20) /夜の本気ダンス

6月10日に配信リリースされた夜の本気ダンスの新曲。コロナウイルスの影響を受けてリモート制作となったMV(メンバーの姿を映したスマートフォンをマネキンと組み合わせてミニチュアで演奏シーンを表現)も話題を呼びました。「SMILE SMILE」の歌詞が出来上がったのはコロナ感染が拡大する前だったそうですが、《散々な日々には笑うといい》《悲しい心に BYE BYE BYE》など今の世界にしっくりくるラインが満載で、ちょっぴり懐かしい気持ちを誘うメロディー、この先の未来へ向かえるようなポジティブなエナジー、イントロから冴えわたるブラスアレンジも素敵。肩肘張らないモードを取り戻せて、自然と笑顔になれる曲だと思います。
「エンタテイメント!」(’20) /佐野元春&ザ・コヨーテバンド

“Black Lives Matter”運動に呼応して公開された「新世界の夜」のMVやコロナ禍で疲れた人たちを応援する新曲「この道」も素晴らしかった佐野元春&ザ・コヨーテバンド。中でも、苦境にあえぐ音楽業界をやさしく照らすような清々しいビートロックナンバー「エンタテイメント!」は染みました。不安な時代を踏まえた凛としたメッセージに触れるうち、エンタメの役割について考えられて、音楽には今みたいな難局を乗り切る力がある、普段見過すごしがちなことを気づかせてくれる力があると実感できるはず。後半の《もう泣かなくていい》で泣けてしまいます。デビュー40周年を迎えてなお、こんなにピュアな曲が書けるなんて。脱帽。
TEXT:田山雄士

田山雄士 プロフィール:フリーのライター。元『CDジャーナル』編集部所属。同誌の他、『okmusic UP’s』『ナタリー』『bounce』など、雑誌/WEBを中心にお仕事をしています。日本のロックバンド以外に、シンガーソングライターとか洋楽とか映画とかも好きです。


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