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<ライブレポート>ザップ、2010年代の締めを飾るにふさわしい強靭にして痛快なグルーヴに満ちた来日公演がスタート

 トーク・ボックスを多用した斬新なスタイルで80年代のファンク・シーンを牽引し、のちの90年代ヒップホップや近年のタキシードを筆頭とするモダン・ファンク再興の流れの中でも偉大な先駆者としてリスペクトされてきたザップ。中心的な存在だったロジャー・トラウトマンの死後にも復活を果たし、18年には約15年ぶりとなった新作アルバムを発表して健在ぶりを示してきた彼らのステージは、2010年代の締めを飾るにふさわしい強靭にして痛快なグルーヴに満ちた夜となった。

 まずは、ドラマーのレスター・トラウトマンが「オオサカ~!」と叫びながらステージに上がり、客席に「ファンキー!」の連呼を求めた後にテンションの高いドラミングでビートを刻み始めると他のメンバーも登場。冒頭部分ではトーク・ボックスの音量が上がらないというハプニングもあったが、臨機応変に生声で熱く盛り上げてトラブルが解消したところで、彼らのトレードマークであるロボティックな歌声とハーモニーを伴いながら故ロジャーのソロ曲として発表された「So Ruff, So Tuff」へ。その後は、同時期のプリンスとともに80年代ファンクの最先端を示した軽快にして斬新なダンス・チューンを曲間の切れ目なく繰り出しながら、寸劇まがいのパフォーマンスからバク転をキメたり、ステージ上からいなくなったと思えば客席後方からギターソロを弾きながら再登場したり、ド派手なドラム・ソロに突入したりと…。奔放なステージングで場内を一気に祝祭空間へと塗り替えた。

 その後も、場内が暗転したかと思えば、衣裳やギターに仕込んだ七色の電飾を光らせて喝采を集めつつ、いつの間にかメンバー全員が真っ白なスーツに着替えを済ませていたりなど。サービス精神満点な仕掛けを随所に用意して盛り上げながら、後半にはややテンポを落として初期エレクトロな前奏から「Computer Love」、そして「I Wanna Be Your Man」といったメロウな2大名曲もしっかりと披露。起伏に富んだ流れで、ザップとロジャー名義で発表された80年代のキラーな名曲の数々を駆け抜けると、ラストはメンバーたちがデカい黒のアフロヘアを被り「おい、もう家に帰る準備をしてるのか? パ―ティーだ、パーティーだぜ」と煽って、2台のトーク・ボックスをフルに駆使しての怒涛のファンク・タイムへ。90年代に数多くのヒップホップ・チューンにサンプリング使用された初期のヒット曲、2パックがロジャーを迎えて大ヒットさせた「California Love」も飛び出し、70年代のPファンクと90年代以降のヒップホップを繋ぐ存在としてのザップの偉大さを再認識させた。

 この後に12月30日と31日にはビルボードライブ東京へと移り、令和初の記念すべきカウントダウン公演も務める彼ら。Pファンクの遺伝子から、エレクトロ、オートチューンまで。あらゆる要素を内包しつつ先取していたザップ&ロジャーの名曲群で、ファンキーな新年を迎えてほしい。

Text:吉本秀純
Photo:Kenju Uyama

◎公演情報
【ザップ DISCO & FUNK PARTY featuring Zapp】
2019年12月28日(土)※終了
ビルボードライブ大阪

2019年12月30日(月)- 31日(火)
ビルボードライブ東京
1stステージ 開場17:30 開演18:30
2ndステージ 開場20:30 開演21:30(※2ndは30日公演のみ)

[COUNTDOWN SHOW](※31日のみ)
開場21:00 開演22:30

詳細:http://www.billboard-live.com/

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