Nao Kawamura、デビューアルバムを引っさげての東阪ツアーで謝意が伝わる美声を披露

　WONK、Suchmosなど人気のバンドのバック・コーラスを務め、今年3月にはデビューアルバムとなる『Kvarda』をリリースしたばかりのシンガーソングライター・Nao Kawamuraが東京、大阪2都市を周るリリースツアーを敢行。大阪はConpassでライブが執り行われた。寒空の下、開場とともに増えていくオーディエンスの数を見れば、彼女に対する期待感がひしひしと伝わってくる。

　まずは先鋭的なクラブ・ミュージックと疾走感あるロック・サウンドを織り交ぜたオリジナルなハイブリッド・ミュージックで注目を集めている大阪のバンド・WOMANがゲスト・アクトとして登場。Koh Utsunomiya（Gt.）がシューゲイザー・バンドよろしくギターをかき鳴らすと、フロア中に轟音が鳴り響く。その凄まじいまでの音圧で会場を一気に引き込むと、彼ららしさが発揮される楽曲「butterfly」を披露。シンセサイザーやサンプラーなどのデジタル機材をマルチに操る様子に、オーディエンスは食い入るように見つめながらカラダを揺らす。

　彼らの熱を帯びたアクトにすっかり当てられた会場の空気は冷めやらないまま、Nao Kawamuraがステージ上に。「来てくれてありがとう！　今日は最後まで楽しんでってね！」との掛け声とともに、ムーディーな楽曲「One more dose」からスタート。彼女の艶のある伸びやかな歌声に聴き惚れる人たちは心なしかうっとりした表情に。エネルギッシュな代表曲「awake」の演奏が始まると、興奮するオーディエンスからは抑えきれないように歓声が上がる。バンドの演奏にも負けないファルセットは、まるで彼女から湧き上がるエネルギーがそのまま形となって現れたかのように力強い。そんなパワフルさで一段と熱くなった雰囲気を、納涼感漂うジャジーな新曲でクールダウンさせる。木々を揺らす爽やかな風を連想させるような柔らかなトーンをも歌いこなす器用さには脱帽してしまう。「女の人たちに向けた応援歌を」との紹介で独特なリズム感のある楽曲「Balance」を軽快に歌い上げると、バンドメンバーひとりひとりによるソロプレイに移行。圧巻のパフォーマンスを盛り立てるように、会場からシャウトにも近いエールが送られると、彼女はこの日一番の笑顔を見せた。

　アンコールの声に応え、再びステージに姿を現した彼女はアルバム『Kvarda』に「手に取ってくれた方にとって、親友のような存在になるように」との想いを込めたと語ると、会場からは自然と暖かい拍手が。そんな思慕する気持ちが最も伝わるアルバムラスト曲「Watching you」では、目を潤ませる人もちらほら。彼女がオーディエンスに抱く感謝の念を届かせようと歌う姿は誰の目にも輝いて見えただろう。ツアーラストとなる東京公演はBlack Boboi、社長 from SOIL&”PIMP”SESSIONSと豪華ゲストの出演も決定している。

Photo by Yuki Sakashita
Text by　竹田賢治

◎ライブ情報
【Nao Kawamura　Kvarda Tour 2018】

2018年11月29日 （木）※終了
会場：大阪CONPASS
Guest Act: WOMAN

2018年12月14日 （金）
会場：東京WWW
OPEN/START 18:00 / 19:00
Guest Act: Black Boboi
Guest DJ: 社長 from SOIL&”PIMP”SESSIONS