『ハニー』 ロビン(Album Review)

2018年10月29日 / 18:00

 スウェーデン・ストックホルム出身。美しいブロンドのショートヘアに青い瞳、独特なファッション・センスとビジュアル&アートが一体化した、アーティストらしい風貌も魅力的な、女性シンガー・ソングライター=ロビン(Robyn)。ビジュアル、そしてサウンド・センスはいうまでもなく、威圧感のないキュートなボーカルも彼女の魅力。

 キャリアを振り返ると、80年代の終わり頃に子役としてデビューし、女優業を続ける中でメイヤが後押しし、1995年にデビュ・ーアルバム『ロビン・イズ・ヒア』で歌手デビューする。本作は、処女作ながら母国スウェーデンで8位まで上昇し、米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”でも最高57位にランクインするスマッシュ・ヒットを記録した。

 1999年には、スウェーデンの【グラミー賞】に相当する<Grammis>で<最優秀女性ポップ/ロック・アーティスト賞>を受賞。ブリトニー・スピアーズやジョーダン・スパークスといった人気シンガーに楽曲提供するなどソングライターとしても活躍し、 2ndアルバム『マイ・トゥルース』(1999年)以降、前作『ボディ・トーク』(2010年)まで6枚のアルバムがスウェーデン・チャートでTOP3入りし、うち3作がNo.1獲得を果たしている。

 本作『ハニー』 は、その『ボディ・トーク』から8年振りとなる復帰作で、ストックホルム、ロンドン、パリ、ニューヨーク、イビサと国をまたいで録音された意欲作。その間には、「Dream On」(2008年)で共演した音楽プロデューサー/シンガーのクリスチャン・フォークを亡くし、レコーディングが一時中断したが、2015年頃からイギリスのロック・バンド=メトロノミーのフロントマン、ジョセフ・マウントとタッグを組み、制作が再開したとのこと。

 そのジョセフとロビン、そしてスウェーデンの音楽プロデューサー=クラス・アーランドが制作に参加した先行シングル「Missing U」は、打ち込み系のドラム・ビートにシンセ・ループ、キャッチーなサビと、エイティーズ・ディスコをリメイクしたの超キュートなエレクトロ・ポップ。ちょっとレトロなカバー・アートとの相性も抜群で、彼女の復帰に相応しいナンバーといえる。

 同スウェーデン・ストックホルム出身の女性シンガー・ソングライター=Zhalaとコラボレーションした「Human Being」も、彼女らしさが節々にみられるシンセポップ・チューン。一定のリズムで起伏なく進行するが、単調ではなく依存性の高い一曲。「Because It’s In The Music」では、単語をひたすら詰め込むことなく、ひとつひとつを丁寧に歌うボーカル・ワークにもご注目いただきたい。

 宙に舞うようなファルセットが浮遊感を創り出す 「Baby Forgive Me」 は、ノスタルジックなドリーム・ポップ。目をつぶると、どこか違う世界に連れていかれそうになる。間髪入れずに「Baby Forgive Me」のサビからはじまる「Send To Robin Immediately」は、マドンナの『コンフェッションズ・オン・ア・ダンスフロア』(2005年)のスタイルを継承したようなフューチャー・ディスコ。タイトル曲の「Honey」もその路線で、サウンドに身を任せて思わず腰が浮く。

 ハウス~ディスコ、ガラージ・シーンで絶大な人気を誇る、リル・ルイスの「French Kiss」(1989年)をサンプリングした「Between the Lines」や、あえてハズすことでお洒落感が増すコード進行の「Beach2k20」など、代官山のショップ店員あたりが好みそうな(?)ダンス・トラックも高クオリティ。アンビエント・テクノの浮遊感を掴み取った「Ever Again」でアルバムは終わるワケだが、9曲では物足りず、まだまだ聴いていたいと思える引力がある。

 今年5月に米ニューヨークで開催された【レッドブル・ミュージック・フェスティバル】では、「Missing U」を披露し、新作『ハニー』について「これまでとは違うカラーと、ダイナミックさを感じられるはず」と話していたロビン。評価サイト、メタクリティックでメタスコア89点を獲得し、早くも評価は上々なのだが、母国スウェーデンはじめ、ヨーロッパ諸国では高い人気を誇るのに、日本での知名度がイマイチなのはなぜだろう?キャッチーなサビ含め、日本人リスナーにもウケそうな曲調ではあるのに……。

Text:本家一成


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