ACID ANDROID、川崎CLUB CITTA'に鳴り響いた深淵のダークウェーブ

2018年7月26日 / 14:00

7月22日@川崎CLUB CITTA’ photo by 岡田貴之 (okmusic UP's)

連日続く猛暑とは裏腹に深淵のダークウェーブが7月22日、川崎CLUB CITTA’に鳴り響いた。 ACID ANDROIDのワンマンライヴ『ACID ANDROID LIVE 2018 #2』である。

シーケンスが轟き、幕が開いてパッと目に飛び込んできたものは、三角形のフレームがいくつも組み合わされた巨大なドーム状の格子。“ジオデシック・ドーム”がステージに組まれている。その中でモノクロームを纏ったyukihiroが歌い、上手側に小林祐介(Gt/THE NOVEMBERS)、下手側に山口大吾(Dr/People In The Box)が両脇を固める。

最新アルバム『GARDEN』のオープニングナンバー「echo」でライヴはスタートした。両手でマイクスタンドにもたれかかるように歌っていたyukihiroが、後方にスタンドを置きハンドマイクで口角に対して直角に構える。ステージが真紅に照らされながら「daze」へと続く。紅から緑と変わっていくライティングがドームの格子に乱反射して、混沌とした世界を作り上げていく。その様相は蠢くシーケンスフレーズと相俟って、水面に浮かんだ泡のようにも見える。「dress」では森を彷彿とさせるプロジェクションがステージ後方に灯された。このステージはACID ANDROIDなりの“GARDEN”なのかもしれない。

無機的ながらもどこかあたたかさを感じるシーケンスに、山口のビートが一音一音ブライトな輪郭を伴って、タイトにリズムを組みながら前へ前へと飛んでくる。繰り出されるリズムの中で鳴り物の隙間を縫い、常に一定の存在感を維持し、ときに虚を衝くように、はたまた切り裂くように唸る小林のギター。楽器隊の2人が紡ぐものは確実にヘヴィなサウンドであるのに不思議と粗暴さはなく、端正に纏め上げられたアンサンブルに魅了される。久しぶりに披露された「relation」はシーケンスを中心に大幅にリアレンジされていた。赤いシャドウと真っ赤なギターを抱えたクールな面持ちな小林が奏でる、サビで湧き上がっていくフレーズにゾクゾクする。ACID ANDROIDのサウンドは、電子音と生楽器のコントラストが絶妙なのだ。デジタルを多用しながらも、余計なものを削ぎ落としたアレンジは実に美しく。それでいて非常に緻密で繊細で、クリアな音圧をしっかりと保ちながら、実にスマートな質感を形成している。

そして、yukihiroだ。ACID ANDROIDのライヴにステージングは存在しない。「シルエットで語る」というべきだろう。中性的な細身の身体が楽曲のリズムに合わせてゆっくりと揺れる。腰まで伸びた長い髪と衣装のドレープが揺れる。大きくスリットの入ったワイドパンツから覗かせる美脚も気高く、歌い出すときにマイクスタンドを迎えにいく手、合間に指輪を触っている手……そんな細かい仕草までも見惚れてしまう。そんな神々しい佇まいであるから、時折臨戦態勢に入ったかのように前かがみにマイクを構えたときは、オーディエンスのボルテージはここぞとばかりに凄まじいことになるのだ。

聴き覚えのあるムード歌謡風のフレーズが流れだす。zilch「electric cucumber」カヴァーだ。hideトリビュート・アルバム『hide TRIBUTE IMPULSE』の参加曲であり、ライヴ初披露となったわけだが、なんの前触れもなくさりげなくセットリストに組み込まれているのが“らしい”ところだ。ヘヴィリフ主体の楽曲を、あえてそこを抜いたアレンジメントが巧妙であり、どこか飄々としたACID ANDROIDらしさ全開ながら、原曲イメージは損なわれていないという手腕は、微に入り細を穿つ匠の業。ライヴで聴くと、リズム構築が秀逸であることを再認識。腰に手を当てながら歌い、人差し指と中指でクイッと艶めかしく動かす仕草でタイトルさながらのセクシーさを魅せる。

一見、無愛想ながらもじわじわと上げてきたyukihiroのテンションが「the end of sequence code」で弾けた。マイクをゴトンと落とし、上着を脱ぎ捨て、真っ白のコルセット姿があらわになるとフロアから悲鳴のような歓声が湧き上がる。さらに膝上までのロングブーツをキュキュッと上げて戦闘モードの「let’s dance」、間髪入れずに畳み掛ける「violent parade」で、会場は熱狂の坩堝と化した。そんなフロアの様子を高みから見物するかのように、ドームの格子に両腕を置きながら覗き込む姿勢で眺める。フロアからステージ上に手が届くことなどないのは当たり前だが、物理的な隔たりを以って、ファン心理を翻弄していく才幹に我々はなす術がない。ふと、20年以上前の1995年、今はなき新宿の日清パワーステーションで行われたソロライヴ、鉄格子と金網の中でパフォーマンスを思い出した。

ラストは3人が内省を深めるかのように下を向いての「ashes」。演奏が終わると余韻に浸る間も無く、颯爽とステージを去っていった。終演後、2018年第3弾年内最後のオーガナイズ・イベント「acid android in an alcove “ashes to ashes”」の開催が発表された。代官山SPACE ODDで11月2日、3日の2日間。デヴィット・ボウイが星に変わった2016年に落とされた会場で、“ashes to ashes”というイベントをやることがニクい。“let’s dance”なイベントになることは間違いないだろう。

photo by 岡田貴之

text by 冬将軍

【セットリスト】

01. echo

02. daze

03. gamble

04. relation

05. dress

06. division of time

07. roses

08. unsaid

09. precipitation

10. swallowtail

11. chill

12. gravity wall

13. gardens of babylon

14. electric cucumber

15. the end of sequence code

16. let’s dance

17. violent parade

18. violator

19. ashes
【ライブ情報】

『acid android in an alcove 20181102 “ashes to ashes”』

11月02日(金) 代官山 SPACE ODD  

『acid android in an alcove 20181103 “ashes to ashes”』

11月03日(土/祝) 代官山 SPACE ODD  

<チケット>

ALLSTANDING ¥5,500 (tax in/D代別)     

■オフィシャル1次先行 ※お一人様4枚まで

7月22日(日)21:00~8月5日(日)23:59   

http://eplus.jp/hp/acidandroid/


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