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【THE 夏の魔物 インタビュー】THE 夏の魔物が目指すサウンドが1stアルバムに結実

写真上段(L→R):シン・マモノバンド えらめぐみ(Ba)、中畑大樹(Dr)、ハジメタル(Key)、越川和磨(Gu) 写真中段(L→R):大内雷電、鏡るびい、アントーニオ本多 写真下段(L→R):泉茉里、成田大致 (okmusic UP's)

“ペンライトをふれるロックンロールバンド”を掲げるTHE 夏の魔物が、1stアルバム『THE 夏の魔物』を完成させた。結成から9カ月、ライヴを重ねながら追求してきた理想のサウンドをついに実現することができた手応えを、成田大致と鏡るびいが語る。
ようやく2ndアルバムに行ける そんな1stアルバムが やっと完成した気がします

──アルバムのリリース前に音楽の方向性の違いから麻宮みずほさんが脱退するという急展開がありましたが、それはTHE 夏の魔物の音楽の方向性がよりはっきりしてきたからこそなんじゃないかとも思うのですが。
成田
「前回の『シン・マモノボンバイエ EP』からリズム隊をえらめぐみちゃん(Ba)と中畑大樹さん(Dr)に固定して、バンドが明らかに変わってきたんです。今年の1月に結成して、ライヴを重ねていく中で、出したい音やどういうライヴをやりたいのかが明確になっていって、バンドとしてひとつになってきた時期に、たぶん、みずほは“あれ?”って思うことが増えていったんだと思います。ポジティブに考えると、THE 夏の魔物が目指すサウンドが出来上がってきたってことなのかなって。一度、現在の9人でライヴをやってみて、ライヴ感が増したとともにバンドの加速度も上がったという実感はありましたね。」
──完成した1stアルバムには既発曲の再録に新曲を2曲加えた全13曲が収録されていますが、なぜそういう選曲になったのでしょうか?
成田
「今、俺たちはこういうサウンドを出している、こういうバンドなんだよっていうことが一発で分かるものを作りたいと、前回のEPの時から思っていて。それをさらに分かりやすく伝えるには、ライヴをやっている俺たちがそのままパッケージされたような作品がいいと考えていったら、自然とこういう選曲になりました。バップ(レコード会社)とやろうと思ったのも、“こんなに良い曲がたくさんあることを、しっかり広めていきましょう”って言ってもらったからなんです。そういうライヴの鉄板曲を、もともとやりたいと思っていたバンドサウンドで挑戦してみたかったんです。中でも1曲目の「魔物BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~」をバンドでできたことは大きかった。自分の頭の中でずっと鳴っていた音を、やっと完全に具現化できたんですよ。その曲も含め、再録に関しては昔、俺がやっていたバンドの過去の作品と聴き比べてもらっても面白いと思います。」
──つまり、今ライヴでやっているTHE 夏の魔物でもあるし、それ以前から成田さんが理想と考えていたサウンドでもあると?
成田
「ずっとこういう音を出したかったんですけどなかなか自分たちの能力がそれに追いついてなかった。でも、今はこうしてギターの西さん(越川和磨)、ベースのえらめぐみさん、キーボードのハジメタルさん、ドラムの中畑さんっていう自分の理想像を追求できるバンドメンバーと泉茉里、るびい、アントンさん、大内さん、辞めちゃうけどみずほにも、年数を重ねながらひとりずつ出会って、やっとここまできたっていう。今のTHE 夏の魔物は、自分が10代の頃に組んだ最初のバンドの時、実はこういうことをやりたいんだよって当時のメンバーに言ったことに一番近いんです。」
──ライヴの鉄板曲を再レコーディングするにあたってはライヴのアレンジをいかに活かすかがテーマだったのですか?
成田
「俺、1stアルバムが大好物なんです(笑)。1stアルバムにしかない爆発力ってあると思うし、甲本ヒロトさんもおっしゃってますけど、1stアルバムってその人の人生の全てが詰まっていると思っていて。自分はバンド活動を重数年やってきた中で、実は 1st アルバムしか作ったことがない。今回、ようやくこれで 2ndアルバムに行ける、そ んなアルバムができたと思っているんです。今までは1st アルバムを作っても、いろいろな理由から続けることができなかったんですけど、今回はそうならない手応えを感じています。」
──そのひと言が聞けて、すごく良かった気がします(笑)。

「これをやるために生きているんだ!みたいな曲が詰まっていると思っています。みんなで詞を書いた「THE 夏の魔物のテーマ」って新曲には、私たちの「今」が詰め込まれているんですけど、ロックを聴いた時の胸の高鳴りを自分たちの作品でも感じることができた気がします。私はたまに、誰に慰められても絶対にここから立ち上がれないし、明日なんか来なければいいって気持ちになる時があるんですけど、そんな時の自分にこのアルバムを渡したい…そういうアルバムなんです。このアルバムは“よっしゃ、行くぞ!”って思える曲や、肩を叩いて腕を取りあって一緒に歩いていくような曲もあるし、涙を拭いてくれるハンカチになる曲、無敵な気持ちになれる曲もあって、半分ヤケクソで半分無理矢理のポジティブみたいな気持ちになった時に、その人のピストルの弾になってあげられるような作品だと思っています。」
みんなで歌詞を書いたら 向いている方向が全員一緒だった

──「THE 夏の魔物のテーマ」はメンバー全員で作詞したそうですが、どんなふうに作っていったんですか?
成田
「一番難産だったんですよ。曲は浅野尚志さんと俺の共作なんですけど、何回もリテイクを繰り返して、お互いに嫌になるぐらいやり取りしましたね(笑)。バンドのテーマを作るなら今だ!ってなったんですけど、やるからにはメンバーがひとりひとり見えるものが、このアルバムのコンセプトのひとつなんだから、それが詰まったものにしないといけないと思って。あれは何日前だったっけ? 2日ぐらいしかなかったよね。みんなに歌詞を書いてって言ってから締め切りまで。」

「楽屋で突然言い出したと思ったら、明後日までって。それでちゃんと期日を守れたメンバーもいれば、デッドラインを越して越して、ほんとにギリギリまで粘った私みたいなメンバーもいて(笑)。 」
成田
「みんなが何を考えているのか興味があったんですよ。それで仮歌が入ったデモを聴いてもらって…何て言ったっけ?」

「細かいことは考えずに、この先もみんなで歌っていけるような、みんなの今を込めてって。だから、言葉遊びよりも、自分が今何を思っているかをしっかり書いてほしいと伝えられました。」
成田
「みんなが書いてきた歌詞を俺がまとめたんですけど、改めて向いている方向が全員一緒なんだと思いました。」

「魔物に入ってからもう1年半経つから、この話は止めようと思うんですけど、私はもともと魔物のファンだったから、客観的に考えながら書いたんですよ。成田さんがあの声でこれを歌ったら最高!とか、この感じでチャンさん(泉の愛称)が歌ったら大好き!とか。もちろん、みんなでステージに立って歌うってことも考えましたけど、昔も今も私が大好きな魔物の理想ですね。そんなふうに考えながら書いた言葉が使われたのはめっちゃ嬉しかったです。自分でスクリームしているところは、自分の中の想いを全部叫んでやる!と思いつつ、メンバーのことを叫ぶみたいになりました。《拓け 歌え 貫け 吼えろ 戦え》は、どれが誰でっていうのが自分の中にあるんです。《拓け》は成田さん。私たちの未来を拓いてくれるのは成田さんだし、成田さんの熱意と力で私たちは進んでいるし。《歌え》は魂で歌っているチャンさんで、《貫け》は大内さん。正義を貫いている感じです。《吼えろ》はアントンさんで、《戦え》は全員です。聴き直してみたんですけど、めっちゃいいんですよ。」
成田
「あ、自画自賛しちゃった(笑)。」
──曲がリテイクを重ねたのはなぜだったんですか?
成田
「ポップになりすぎず、みんなのライヴ感が出るようにするのが難しかったんです。俺はヒロトさんとマーシーさんがものすごく好きで、ふたりに影響を受けているからこそ、自分が音楽をやるなら、ふたりがやっていない男女混成でやりたいと思っていました。ただ、それをバンドサウンドでやるのは、やっぱり自分の原体験に↑THE HIGH-LOWS↓のライヴがあるからで。未だに、その時の興奮が更新されることはないんです。キーボードの白井幹夫さんがいた時期の5人でやっている↑THE HIGH-LOWS↓が最強だと思っていて…ギターはレスポールで、オルガンあるいはピアノが入っていてっていう。今回のアルバムは全編通して、実はそれなんです。アルバムで言ったら『バームクーヘン』。ああいう狂暴なサウンドというか、『HOTEL TIKI-POTO』の時のツアー、そのセットリスト後半の攻め曲を畳み掛ける感じを表現できるバンドになりたいっていう想いがずっとあったんです。」
──新曲の「涙。」の作詞が森雪之丞さんというのも驚きでした。
成田
「雪之丞先生とはずっといつか一緒にお仕事ができたらって思ってて。以前依頼した時はそれが叶わなかったんですが、今回Wiennersの玉屋2060%くんが曲を書いて、雪之丞先生が詞を書いたら絶対に素敵な曲になると思って、もう1回連絡してみたら、まさかのOKをいただけたんです。それからは結構すんなり進んでいったんですよ。」
──何かコネクションがあったのですか?
成田
「いや、所属事務所のホームページから連絡しました。打ち合わせに行ったら“成田くんが作る作品は、作家が燃えている。自分もやるからには、そういうものじゃないと”と言ってくださって、すごく嬉しかったです。しかも、この曲をどういう感じにしたいかって話をした時、こう言おうと考えていたことを、いきなり雪之丞先生から全部話してくれて(笑)。その時もヒロトさんとマーシーさんの話をしましたね。何も言ってないのに“THE BLUE HEARTS的な歌詞だったらいいよね”って。」
──リリース後は、10月26日の渋谷CLUB QUATTROワンマンと対バンツアーが決まっていますが、最後にその意気込みを聞かせてください。
成田
「出会いがもっと増えてほしいですね。今、このメンバーでやっていることは、どこに出しても恥ずかしくないし、今の俺たちのライヴは変わったことをやらなくてもちゃんと届くことをやっていると思っているので、アルバムも聴いてほしいし、気軽にライヴに来てもらえれば“こういうことか!?”ってすごくよく分かると思うんですよ。これまでもワンマンはやってきましたけど、今度の渋谷CLUB QUATTROはツアーファイナルではなく、ここから始まるスタートでもあるから、今後の俺たちが見えるライヴになるのかなって思います。そのあとに始まる対バンツアーは、全国に魔物っぽさを伝える機会になるのかな。」

「私は“対バンツアー”ってワードだけで、めっちゃドキドキします。私自身、好きなバンドのツアーに行って、そこで知った対バン相手のライヴを観に行って、さらにそこから広がって、いろいろなロックを聴いてきたんです。今回、対バンするバンドは素敵な方ばかりなので、そのバンドを好きな人たちにTHE 夏の魔物を知ってもらえたら嬉しいし、好きになってもらえる機会も増えるのかな。それが全国でできるんだと思うと、今からワクワクします。」
取材:山口智男
アルバム『THE 夏の魔物』
2017年10月25日発売

VAP

【TYPE A】

VPCC-81986 ¥3,240(税込)

【TYPE B】

VPCC-81987 ¥3,240(税込)
ライヴ情報
『クアトロの魔物』

10/26(木) 東京・渋谷CLUB QUATTRO ※バンド編成

『THE 夏の魔物対バンツアー 全国の魔物』

11/09(木) 宮城・SENDAI CLUB JUNK BOX

w)椎名ぴかりん

11/19(日) 北海道・札幌SOUND CRUE

w)二丁目の魁カミングアウト and more…

11/30(木) 愛知・名古屋CLUB UPSET

w)ぜんぶ君のせいだ。

12/01(金) 大阪・CONPASS

w)GANG PARADE

12/08(金) 福岡・The Voodoo Lounge

w)DJ掟ポルシェ、クリトリック・リス

[ 2018年 ]

1/ 17(水) 東京・渋谷WWW

※バンド編成 、ゲストは後日発表
THE 夏の魔物
ザ・ナツノマモノ:ロックフェス『夏の魔物』の主催者である成田大致によって、2017年1月6日に結成された“ペンライトをふれるロックンロールバンド”。同年7月、前山田健一作曲「シン・魔物BOM-BA-YE 〜魂ノ共鳴編〜」を収録したEPをバップよりメジャーリリース。10月25日、1stアルバム『THE 夏の魔物』を発売。その翌日となる26日には渋谷CLUB QUATTROにてワンマンライヴを行なう。

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