洗練されたメロウな音世界に陶然とした、FKJの来日公演をレポート

2017年9月20日 / 22:00

 フランスのマルチ・インストゥルメンタリスト/プロデューサーであるFrench Kiwi JuiceことFKJが9月6日、東京・代官山UNITにて来日公演を行った。

 いくつもの楽器を自由自在に操り、その場で録音し音を重ねて曲を作り上げていくライブ・パフォーマンスが世界中で注目を集めているFKJは、2016年2月に初来日を果たし、2017年3月には待望のソロ・デビュー・アルバム『French Kiwi Juice』をリリース。この日1日限りで行われた公演のチケットはソールドアウト、当日券も数分で完売となった。

 FKJのステージの前にYOSA、tofubeatsのDJプレイですでに温まった超満員の会場。ライブの開始時刻になりそれまでステージを覆っていた黒幕が一気に下がるとたくさんの楽器が目の前に現れ、オーディエンスの大歓声の中いよいよFKJが登場。サックスから演奏がスタートし、声を重ねて、さらにベースやギターなどの楽器でビートの中を泳ぎながら音をどんどんとレイヤードするライブ・パフォーマンスはやはり卓越している。

 代表曲「Lying Together」や「Better Give U Up」で会場のボルテージを上げつつ、ステージの上にある楽器を自由自在に使いこなすその器用さに、オーディエンスは感嘆の声を漏らしながらも、音に身を委ねて体を揺らす。さらに、FKJは楽器だけでなく歌声もメロウで自身が紡ぎだす音ととてもマッチしている。その声がヒップホップのビートや、R&Bの要素も感じられる甘美なメロディと混ざり合い、豊潤さを増していく。音源ももちろん素晴らしいが、ライブで彼の凄さを目の当たりにしてしまうと、彼の世界にハマり込んでしまって完全に心を掴まれた気分だった。

 中盤にはFKJが「インプロヴィゼーションで曲をプレイしてみようか」と告げ、ループマシンでビートを作り、ベースの音を乗せると持ち替えて次はギター、そしてエレピ、さらにステージ上で跳ねながらサックスに移動していく。すると、「皆の声もこの曲の一部にしたいんだ」というFKJの合図でオーディエンスの声もループマシンの中に加わり、最後はピアノでメロディーをつけてこの日この場所だけの1曲が完成した。

 また、VJの映像も今回のショーをより引き立てた。FKJのバックに街や海、雨などの景色が映し出されると、アンビエントな楽曲の世界観がすっと入り込んでくるようで、映像と音の融合により目も耳も十二分に満たされていくような感覚を誰もが感じたのではないだろうか。そして後半になると、「僕は東京も日本も大好きだ。最近、大好きなマセーゴと一緒に曲を演奏したから、それを皆に届けるよ。」とマセーゴのシルエットをバックに「Tadow」をプレイ。最近の音楽シーンの中でも特に先鋭的な2人が作り上げた楽曲と、マセーゴの声に合わせるように楽器を奏でるFKJの演奏がオーディエンスをさらに高揚させていった。

 そこから「Joy」や「Skyline」などを畳みかけ本編が終了。声援に応えアンコールを2回も披露しオーディエンスからは最後まで惜しみない拍手と歓声が贈られた。今回はアジア・ツアーの中で1日限りの来日公演となったが、次回来日の際は是非ライブに足を運んで、その目と耳でFKJの作り上げる極上な音楽を存分に味わってほしい。

 なお、Billboard JAPANではこの公演の前日にFKJへのインタビューを実施。彼のプレイスタイルや作曲の方法、さらにはFKJが今聴いている音楽などについて語ってもらった。このインタビューは追ってBillboardJAPANの特集ページにて公開されるのでそちらも是非チェックしてもらいたい。そして、先週国内盤がリリースされたソロ・デビュー・アルバム『French Kiwi Juice』も是非聴いてほしい。

photo:@yokoching
text:Miki Jinnin

◎リリース情報
アルバム『French Kiwi Juice』(国内盤)
RBCP-3211 2,300円(tax out)


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