【CHERRY NADE 169】 心機一転の想いとともにアピールするバンドの新たな姿

2017年9月20日 / 10:00

L→R 秋山貴英(Ba)、滝澤大地(Vo&Gu)、岡田ぴのり(Dr) (okmusic UP's)

2年振りとなる6thアルバム『なまえ』が完成。メンバーの脱退・加入、レーベル移籍を経た今作は、直球と変化球が入り混じるギターロックを奏でるCHERRY NADE 169がどういうバンドなのか改めて打ち出すことを意識したという。
──前作アルバム『HANDWINK』(2015年2月発表)と今作の間に、いろいろな変化がありましたね。
滝澤
「前のギターが脱退して、ドラムのぴのりちゃんが正式に加入しました。もちろんメンバーの脱退なんてないほうがいいんでしょうけど、そういうことがあったから今回のアルバムはできたというところもあるんですよ。」
──それまで2年間サポートしてきた岡田さんは、なぜ前のギターの方が抜けたタイミングで正式加入することになったのですか?
岡田
「2年間ずっとバンドを頑張っているところを見ていたので、そこで止まってしまったらもったいないという気持ちがあって。自分が入って何かふたりの力になれたらいいと思ったんです。」
──そんなラインナップの変化とともに現在のレーベルとの出会いもあったわけですが。
滝澤
「最初は(現在のレーベルメイト)GINNEZと何度か対バンしたことをきっかけにGINNEZのマネージャーさんと話す機会が増えて、その流れで今年の1月に“一緒にやってみないか”と言っていただいたんです。僕らとしても今年は聴いてほしい曲がいっぱいできたから、CDを発表したいなと思っていたところだったので今回リリースすることになりました。」
──今作は2年振りのリリースになるわけですが、2015年まで精力的にリリースしていたことを考えると焦る気持ちもあったのでは?
滝澤
「曲は作っていたんですけど、発表するタイミングがなくて。ライヴでやる曲が一緒になってきてだんだん飽きてきちゃうし…(苦笑)、焦りではないですけど、何か新しいことはしたいなとは考えてましたね。」
──では、心機一転、ここからもう一度!みたいな気持ちもあるわけですね?
滝澤
「再スタートというイメージはあります。」
──となると、リード曲になっている1曲目の「おまえと心の中の人」は、自分たちがバンドをやることや表現することに対する新たな決意にも聴こえますが。
滝澤
「そうですね。作った時に深い位置付けは特になかったんですけど、かたちにしてからはどうしてもこれをリード曲にしたいと思いました。他にリード曲の候補があったんですけど、僕の中ではこれしかない!と。すみませんね、いつも僕のわがままで(笑)。」
秋山
「(笑)。でも、チェリナは全曲大地が作詞も作曲もしているんで。作った本人が自信を感じているならそれが一番いいと思ったので、僕の中ではすんなりと。」
岡田
「私はちょっと悩みました(笑)。「おまえと心の中の人」と「なまえ」がリード曲候補として最後まで残っていたんですけど、アルバムタイトルが“なまえ”なんだから、そのまま「なまえ」がリードでいいんじゃないかって。ただ、歌詞が出来上がってきて読んだ時に、大地さんがリード曲にしたいと言ったことが私もすっと飲み込めたんですよ。」
──「なまえ」もかなり強烈なインパクトがありますからね。ただリード曲にするには強烈すぎるんじゃないかって。
秋山
「そういう意見もありました。印象に残るには残るけど、強烈すぎて引かれるんじゃないかって(笑)。」
岡田
「パンチがありすぎる(笑)。」
──改めて“こういうバンドだ”と打ち出すなら、歌詞も含め「おまえと心の中の人」にして良かったと思います。ところで、今回アルバムを作るにあたってはどんな作品にしたいと考えたのでしょうか?
滝澤
「変に考え込むのはやめて、2年振りに出すアルバムだから、自分の頭の中でできたものを素直にかたちにしようと思いました。2年前に会場限定シングルを出したんですけど、その時はアレンジが結構ごちゃっとしていて…」
岡田
「詰め込んでましたね。」
滝澤
「そうだね。そういう曲が多かった時期だったんですけど、それから2年経ってCDを久し振りに出すってなった時、“自分たちはこういうバンドです”って改めて打ち出せるものを作りたいと思いました。」
──収録されているのはこの2年の間に作り溜めていた楽曲なのですか?
滝澤
「作り溜めていた曲は何曲かあったんですけど、1曲も入ってないです。」
秋山
「前のギターがいる時から新曲を作っていたのでそれを入れようという話もあったんですけど、大地が新たにいろいろ作ってきてくれたんで、それなら新しいものをってことになりました。」
──最初にできた曲は?
滝澤
「「イノセント」かな。去年の秋に合宿に行った時に作りました。合宿でふたりが休憩している間に1曲作るっていう自分の中でのチャレンジがあって、「雲に願いを」はその時に作りました。」
秋山
「それからアップめの曲が欲しいねってところから「心海魚とぼく」を作って。」
滝澤
「2曲目の「だいち1/2」はみんなでシンガロングできる曲が欲しくて、「なまえ」はアルバムに1個スパイスが欲しいと思って作りました。」
──その「なまえ」は8曲の中でも異色だと思うのですが、こういうラップの曲は以前からありましたっけ?
滝澤
「CD化していないんですけど、3年ぐらい前からライヴだけでやっている曲があります。でも、それぐらいですね。そんなにヒップホップに詳しいわけじゃないんですけど、ラップって結構好きなんです。ポップスの歌詞に比べて情報量が多いところとか、ライミング(言葉尻の母音を合わせること)がきれいなところとか、カッコ良いなって思います。そういう曲を作れたらいいなと思っていたら、ランニングしている時に浮かんできたので、家に帰ってからすぐにかたちにして。だから、歌詞も含めて出来上がるまでが早かったですね。」
──バンドをやっている人たちが、歌いたいと思いながらあえて歌わないようにしていることを歌っているようにも聴こえますが。
滝澤
「バンドマンに聴いてもらうと、みんな“いいね”って言ってくれるんですよ。」
秋山
「みんな、こういうことを思っているんでしょうね(笑)。」
滝澤
「若いバンドの子たちと対バンした時、打ち上げでまさに1番で歌っているように“CDを作るのって無駄ですよね”って話になって。僕はCDを作ることが無駄だとは思わないけど、確かにコストはかかる。でも、その子たちの話を聞いていると、楽なほうに行きたがっているだけに思えたんですよ。しかも、その日一番目に出た子たちはMCで“このあともカッコ良いバンドさんがでますからー!”って、「なまえ」の歌詞と同じことを言いながら、ずっと楽屋にいて対バンをちっとも観てなかった。何なんだろう?って、その日ずっと悶々としたことを、歌詞を書きながら思い出したんですよ。」
秋山
「僕らはそういうところで育ってきたので、対バンのライヴをちゃんと観てつながっていくことが大事だということが分かっていないのかなと思いましたね。だから、大地がそういうことを歌詞に書いてきて僕も共感できたというか…僕の気持ちを大地に代弁してもらったようなところもあるんですよ。」
──今回の8曲はギターロックの範疇の中で、曲ごとにいろいろな変化を付けていますが、アレンジやアンサンブルを考えるにあたってはどんなふうにアプローチしていったのですか?
秋山
「セクションごとの変化とか、キメの入れ方とか、そういう部分を今までよりもストレートにアレンジしていきました。その一方で、ベースは逆に今までよりも動いて、フレーズで遊んでいるところもあるんです。ライヴではMCを担当しているせいか、ベーシストとして見られないことも多いので(笑)、CDぐらいはベーシストとして、ちゃんとやるべきことをやろうという気持ちでアレンジしました。」
──おっしゃる通り、気付くと、うねるようなベースラインが良い感じで聴こえているんですよね。
秋山
「それはベーシストとして嬉しいです(笑)。」
岡田
「私は曲が増えるたびにいっぱいいっぱいだったんですけど、テンポを落とした「光」や「雲に願いを」は自分の好きなシンプルなフレーズを入れつつ、詰め込めるだけ詰め込んだ「なまえ」のような曲がメリハリを出して、ドラム的には色がたくさんある自信のある曲たちになっています。」
──そんな演奏ももちろんですが、歌詞も聴きどころではないかと思いました。ストレートに気持ちを歌っているものもあればシニカルなものもあって。歌詞を書いている滝澤さんはストレートなのかシニカルなのか、聴きながら、どっちなんだろう?とちょっと不思議だったんです。
滝澤
「どっちなんでしょうね(笑)。でも、どんどんストレートになってきているとは思いますよ。」
秋山
「ストレートというよりも、今が一番歌いたいことを歌ってるのかな? 今が一番大地っぽい。」
滝澤
「人間的に明るくなった気がします(笑)。」
秋山
「確かに、以前はあまり笑わない人でした(笑)。」
──「QとA=」の《あなたに恋した だから思ってる ぼく以外なら不幸になれ》という一節は、ストレートな気持ちの表れなのか、それとも恋心をシニカルな表現したものなのかどっちなのでしょうか?
滝澤
「たぶん、前者だと思います。きれいな部分だけを書いてしまうと嘘っぽいというか、歌いながら“誰の歌なんだろう?”って思っちゃうんです。それに、普段口にはしないけど心の底で思っているようなことを歌ったほうが、歌い手のどこから出てきた歌なのか聴いている人も分かるじゃないですか。そこは歌詞を書く時に大事にしています。」
岡田
「大地さんってあまりラブソングを書かない人だと思っていたんですよ。だから、1年くらい前に言ったことがあるんですよね。そしたら“今は書かないかな”って言われたんですけど、今回書いてくれたので、私の中で“やった!”と思いました。歌声が力強いっていうのが大地さんの歌の一番の特長だと思うんですけど、そういう人が歌うラブソングってどんな感じなんだろう?って女性のお客さんなら絶対気になっているはずだと思っていたんですよ。」
──確かに、今回はラブソングが多いですね。
滝澤
「そうですね。いつの間にか(笑)。新しいことに挑戦しようと思いながら、自分で決めた枠にはまっているような気がしたんですよ。そう言えば、ラブソングを書いてないやって。それで、位置付け的に再スタートのアルバムなんだから、もっと自分の殻を破って、やっていないことや書いていないことを取り入れようと思っていたら多くなっちゃいました。」
──改めて、今回の『なまえ』はどんな作品になったと思いますか?
滝澤
「ぴのりちゃんが入って、改めて“チェリナってこんなバンドですよ”ってみんなに言えるCDになったというのと、今回の作品を経て次に作る曲がどんなふうになるのか自分で楽しみです。このアルバムを聴き終わった時に“次はどんな曲を作るんだろう?”って、みんなにも思ってもらえたら嬉しいですね。」
岡田
「ライヴで化ける曲が多いと思います。だから、CDを聴いて“いいな”と思ったら直接聴きに来てほしいです。」
秋山
「そうですね。10月13日の赤坂club TENJIKUからリリースツアーをスタートして、北は仙台、南は福岡まで回って、12月23日にTSUTAYA O-Crestでファイナルを迎えます。ファイナルはワンマンで今回の『なまえ』の全曲やれると思うので、ぜひ来てほしいですね。」
取材:山口智男
アルバム『なまえ』
2017年9月27日発売

NEON project

NEON-1003 ¥2,160(税込)
ライヴ情報
『CHERRY NADE 169【なまえ】Release tour「おまえと心と音の場所」』

10/13(金) 東京・赤坂CLUB TENJIKU

10/20(金) 神奈川・関内BAYSIS

10/22(日) 千葉・Sound Stream sakura

10/29(日) 香川・高松DIME

10/30(月) 広島・CAVE-BE

11/01(水) 福岡・小倉FUSE

11/02(木) 福岡・Queblick

11/03(金) 兵庫・神戸ART HOUSE

11/26(日) 福島・郡山PEAK ACTION

11/28(火) 宮城・仙台MACANA

11/29(水) 新潟・GOLDEN PIGS BLACK

12/01(金) 千葉・千葉LOOK

※追加日程あり

『おまえと心と音の場所-東名阪 FINAL-』

12/13(水) 愛知・名古屋CLUB ROCK’N’ROLL

12/14(木) 大阪・福島2nd LINE

12/23(土) 東京・TSUTAYA O-Crest ※ワンマン
CHERRY NADE 169
チェリーナード イチロクキュウ:2005年結成のギターロックバンド。ライヴ活動、音源発表をするかたわらさまざまなオーディションにも参加。16年7月にギタリストが脱退、8月にサポートドラムの岡田ぴのりが正式加入し、現在の編成となる。17年9月、2年振りとなるアルバム『なまえ』をリリース。


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