X


【LUCKY TAPES×WONK】国内音楽シーンのライジング・スターが初共演

 現行インディー・ミュージック・シーンの中でもひと際注目を集める2組、LUCKY TAPESとWONKによる共演が3月16日、ビルボードライブ東京のステージで実現した。

 2015年のデビュー・アルバム『The SHOW』で音楽リスナーからの注目を一気に集め、翌年にはtoeの美濃隆章氏を共同プロデュースに迎えて制作された2ndアルバム『Cigarette & Alcohol』をリリース、その後【FUJI ROCK FESTIVAL】への出演も果たすなど、目を見張るほどのスピードでシーンを駆け上っている真っ最中のLUCKY TAPES。昨年12月にNulbarichとのツーマンでビルボードライブ大阪のステージに立った彼らだが、ビルボードライブ東京でショーを行うのは今回が初だ。

 大阪ですでに実証済みのことではあったが、高橋海(Vo/Key)、田口恵人(Ba)、高橋健介(Gt)のメンバー3人にドラム、コーラス、パーカッション、ホーン・セクションなどを加えた豪勢な“ラッキー・サウンド”は、ジャズ・クラブ然としたビルボードライブのステージでよく映える。黒い音楽の血筋を受け継ぎながら、J-POPの背景もしっかり持っている彼らの音楽が「レイディ・ブルース」を皮切りに響き渡れば、会場の隅々まで多幸感が沁みわたっていく。ちなみに、この日の公演からコーラスの担当が新メンバーだ。新たにサポートとして加わったのは、都内を中心に活動するシンガー・ソングライターUKO。その艶のある歌声で高橋のシルキーな歌声と美しいハーモニーを見事奏でてみせた。未だ音源化されていない最新曲「シェリー」や、ペトロールズのトリビュート・アルバムに収録されている「Profile」、そしてラストは歌い出しを高橋健介が務めたスペシャル・ヴァージョンでの「TONIGHT!」で締めくくくられたLUCKY TAPESのステージ。ハッピーでありつつ、このまま終わってほしくないという少しの切なさを感じさせる祝祭的なムードが、終始会場を満たし続けた。

 対するWONKは、Kento NAGATSUKA(Vo)、Ayatake EZAKI(Key)、Kan INOUE(Bass)、Hikaru ARATA(Dr)からなる4ピース・バンド。今年6月に来日を控えるロバート・グラスパーやそんな彼も一目置くハイエイタス・カイヨーテといったモダン・ジャズ、フューチャー・ソウルに対する日本からの回答ともいえる新進気鋭の注目株。昨年9月に1stアルバム『Sphere』をリリースして、こちらも一気に早耳リスナーたちの話題を掻っさらった。

 幕開けはピアノとサックスが絡み合う静謐なIntroからスタート。そこにKento NAGATSUKAの甘い歌声が乗って「over」に続く。“エクスペリメンタル・ソウル”を掲げるだけあって、パフォーマンスには巧みな変拍子やメロディーのフックなど、ところどころに聴き手をハッとさせる仕掛けが組み込まれている。楽器の腕前も確かなもので、各パートのソロでは客席からの喝采を巻き起こしていた。ステージ上ではクールな佇まいが印象的なWONKだが、そのパフォーマンスは実にダイナミズム溢れるもの。彼らがライブ・バンドであることがよく分かる熱演ぶりだ。マイケル・ジャクソンの「Butterflies」や、ダリル・ホール&ジョン・オーツの「I Can’t Go for That」、J・ディラのメドレーといった洋楽カヴァーも完成度が高い。ステージ後方のカーテンが開き、夜景をバックに背負いながら、フィナーレはアルバムのリード・トラック「savior」で迎えた。

 共演に先駆けて公開されたインタビュー(http://www.billboard-japan.com/special/detail/1850)からも分かる通り、音楽的ルーツやバンドの在り方こそ違う両者だが、そう遠くない未来、日本の音楽シーン全体を巻き込む台風の目になることは間違いなさそうだ。2017年の躍進にもますますの期待がかかる。

Text: Takuto Ueda
Photo: Yuma Totsuka

◎公演情報
【LUCKY TAPES×WONK】
2017年3月16日(木)
ビルボードライブ東京

音楽ニュースMUSIC NEWS

売れたいアーティスト×新人発掘のプロ、FM大阪で新オーディション番組がスタート

J-POP2024年5月1日

 FM大阪が、新たなオーディション番組『音蔵オーディションラジオ GET-A-CHANCE』を6月2日よりスタートすると発表した。  今回、音楽の新しい才能を支援し、関西エリアのエンタメシーンを盛り上げるべく音楽プラットフォームの運営を行う … 続きを読む

【ビルボード】“ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20”、吉田夜世「オーバーライド」通算9回目の首位獲得

J-POP2024年5月1日

 2024年5月1日公開(集計期間:2024年4月22日~2024年4月28日)のBillboard JAPAN“ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20”で、吉田夜世「オーバーライド」が首位を獲得した。  当週で9度目の首位を記 … 続きを読む

<ライブレポート>LiSA、デビュー13周年の祝福をファンと叫ぶ武道館ライブ【LiVE is Smile Always~i SCREAM~】完遂

J-POP2024年5月1日

 LiSAのソロデビュー13周年を記念したワンマンライブ【LiVE is Smile Always~i SCREAM~】が、2024年4月19日、20日に東京・日本武道館で開催された。  2日目の4月20日は、1stミニアルバム『Lette … 続きを読む

VAMPROSEによるエージェントVMA、ソフトスポークンとエージェント契約を締結

J-POP2024年5月1日

 Vamprose Management Agency(VMA)が、アメリカ・オハイオ州のロックバンド、ソフトスポークンとエージェント契約を締結した。  HYDE、VAMPS、ASH DA HEROが所属するVAMPROSEが、海外アーティ … 続きを読む

佐賀龍彦がLE VELVETSを脱退、「必ず回復すると信じて」

J-POP2024年5月1日

 佐賀龍彦が、2024年9月末でLE VELVETSを脱退することが発表された。  なお3人での新体制を整えるため2024年10月以降、LE VELVETSのグループとしての活動は年内休止となる。佐賀は、2021年9月に脳梗塞を発症。リハビ … 続きを読む