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映画『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』公開記念、チュス・グティエレス監督来日インタビュー<前編>

 スペイン、アンダルシア地方、グラナダ県のサクロモンテ地区。そこはマリオ・マジャ、エンリケ・モレンテ、エバ・ジェルバブエナなど世界的なアーティストを産んだ、フラメンコの聖地だ。

 本作は1963年のサクロモンテの水害により、住む場所を追われたヒターノたちのフラメンコ・コミュニティに深く入り込んだドキュメンタリー。代々受け継がれてきた生活と大地に根ざす踊りと歌、そして隆盛を極めた時代の記憶を持つ人々の言葉と表情を通して、その記憶を遺そうとするものだ。

 2月18日の日本での映画公開に合わせ、監督のチュス・グティエレス氏が来日。本作に込めた思いや見所を語ってくれた。

インタビュー 後編
http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/47685

―舞台芸術としてのフラメンコではなく、「生活に根ざした」フラメンコの実際を見ることが出来たのが、とても印象的でした。

チュス・グティエレス監督:わたしはグラナダ出身ですので、フラメンコは非常に身近なものです。家族の集まりでは叔父が歌ったり叔母が踊ったり…もちろん専門家ではありませんが、自分たちの生活にとても根付いているものです。自分の文化の中には常にフラメンコがありました。

ーサクロモンテはグラナダの町から非常に近い立地のようですが、幼少期に家族で訪れたりする機会はあったのでしょうか。

グティエレス監督:(グラナダの地図に書き込みしながら)サクロモンテは、この、丘の上にある教会(Abadía del Sacromonte)へ向かう巡礼の道すじのことで、その脇に人々が住む洞窟があったんです。今は違うと思いますが、私が子供の頃、サクロモンテはとてもミステリアスな、「大人な」場所でした。そこは、とても神聖なことも野蛮なことも起こる、特別な場所だったんです。家族で気軽に散歩できるような場所ではなかったですね(笑)。

ーこの映画にされている方々が、出演することになった経緯について教えてください。

グティエレス監督:まず案内役のクーロ・アルバイシン。この人の為にこの映画を撮った、この人がいたからこの映画が撮れた、そう言っても過言ではありません。彼は一生を賭けてサクロモンテの記憶を遺していこうとしているんです。彼とは12歳の時に彼がフラメンコを踊りに来たときに知り合いましたが、20年以上音信不通でした。2011年に私の映画を上演する為にグラナダに行って再会し、その意志の強さにうたれ「ドキュメンタリーを作ろう」ということになったのです。

ー今ヒターノたちは洞窟から散り散りになってしまったということですが、文化の継承は困難な状況なのでしょうか。

グティエレス監督:フラメンコは常にそうであったと思いますが、先人や周囲の人々がやっているのを見て、真似たり、技を盗みながら吸収して、自分のものとしていったわけです。この映画には、例えば、若いバイラオーラのアルバが出演していますが、彼女はビッグスター達と世界中を公演してまわったライムンド・エレディアの孫ですし、ラ・モナはクーロの従姉妹、バイラオールのファン・アンドレスはラ・サルバオーラの息子です。このように彼らは、彼らは自分の生まれた環境の流れの中で、身近なところから技を学んでいくものなのです。そういうことが難しくなっています。

ーカンテ(歌)の歌詞について、非常に生活に根付いたものが沢山ありました。最後のシーンでクーロが歌う歌詞は、コミカルでセクシーな歌詞で印象的でしたが、あのような歌詞は踊ったり歌っている中から自然に湧き上がってくるものなのでしょうか。

グティエレス監督:そうですね、彼らの歌詞は全て生活から出てきたものです。例えば「空腹」を歌うカンテがあるのは、実際に空腹だから、歌わなければ食べていけないからですよね。差別、愛、死…人生の中の様々な局面を歌詞として表現しているわけです。セックスであるとか誘惑、挑発という歌ももちろんあります。クーロの場合は「挑発」という意味合いが強いかもしれません。彼曰く、あれでも「自主規制はしている」ということでしたけれど(笑)。

2017年8月下旬には、インタビューに名前が登場したアルバ・エレディアが来日予定となるなど、今年はグラナダの熱い風吹く年となりそうだ。映画『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』2017年2月18日より有楽町スバル座、アップリンク渋谷ほか全国順次公開。

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