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玉手初美 初ワンマン成功! 24時間路上ライブの先に見た光景「本当に嬉しい。こんなに集まってくれると思わなかった」

 怒りを爆発させるように生々しい言葉を絶叫、ギターを掻き鳴らす弱冠20歳の女性シンガーソングライター 玉手初美。24時間路上フリーライブで注目を集めたばかりの彼女が、12月10日 下北沢DaisyBarにて初のワンマンライブを開催した。

<24時間路上ライブ「チケット売るのも大切なんだけど……楽しかったんですよ」>

 同ワンマンライブのチケットが発売日から2か月経っても“8枚”しか売れておらず、この状況を打破すべく12月6日夜20時~24時間路上フリーライブ(http://bit.ly/2hepji2)を敢行した玉手初美。極寒のJR新宿駅東南口前ストリートから始まり、渋谷、下北沢、秋葉原、錦糸町など都内各所で限界と戦いながら歌い叫び続け、最後は「ワンマンライブのチケットが全く売れてなく……その目的を持って始めた24時間ライブなんですけど、なんかね、スタッフが5人になったり、1人減ったり、2人っきりになったり、そうやって減ったり増えたりする中で、渋谷とか下北も行ったし、錦糸町、あとアキバとかいろいろ巡った訳です。もうなんかね、スタッフの方には申し訳ないんですけど、もうチケットいいや(笑)。ごめんなさい。本当に申し訳ないんですけど、チケット売るのも大切なんだけど、なんだろう? ずっとこういう風にやってると……なんて言えばいいんだろうね。ツラいんですけど……めっちゃくちゃ楽しかったんですよ」と清々しい表情で語っていた。

<三者三様に気が触れたような狂乱過ぎるプレイ……出逢ってしまった猛獣たち>

 その3日後、下北沢DaisyBar。本人は「もうチケットいいや(笑)」と達観した様子で笑っていたが、会場には24時間路上ライブに居合わせた顔ぶれも含め、たくさんのオーディエンスが続々と駆け付け、完売には到達できなかったものの、たったの“8枚”しか売れていなかったはずのワンマンライブは驚きの光景を生み出す。オータコージ(dr)とダッハーラ(b)と共にステージへ現れた玉手は、この想定外の状況に満面の笑みを浮かべ「皆さん、今日は来てくれてありがとうございます!」と歓喜しつつ、24時間路上ライブでの疲労はどこへやらオープニングから大絶叫! 三者三様に気が触れたような狂乱過ぎるプレイを繰り広げ、冒頭から我々の度肝を抜く。これまでも幾度となく驚愕アクトを展開してきた三者ではあるが、この日の猛獣ぶりは過去最強にして最狂。限界の先にある振り切れた世界を体験した玉手初美の声はより重く激しく進化し、それに呼応するようにオータコージとダッハーラの演奏もより超人化。この三者が出逢ってしまった、そして互いを高め合う関係値となった奇跡に拍手喝采が贈られる。

<ビール呑みながらの三者でのdubセッション、姉への怒り爆発させた楽曲も>

 「生まれて初めてのワンマンに来てくれてありがとうございます。ここからでもね、皆さんの顔ひとりひとり見えてます。フフフフ! 本当に嬉しい。こんなに集まってくれると思わなかった。24時間ライブをしまして、1日中ずーっと歌っていたんですけど、いやぁ~……なんて言っていいか分かんないんですけど、今日この場に居るあいだ、私は1曲1曲、本当に大切に歌ってるんで、皆さんもそういう風にひとつひとつ聴いてもらえたら、少しでも何かを持って帰ってもらえたら嬉しい。そんな感じで歌ってます」と感慨深げに語った彼女は、ひとり弾き語りでの「あげる」「高校」、さらにはビールを呑みながらの三者でのdubセッション(玉手初美は24時間路上ライブ中も度々ビールを煽っていた)、ダッハーラによる「玉手さんが24時間路上ライブで一皮剥けたということで、自分も一皮剥けなきゃなと思って、今日からだーはら改めダッハーラで!」との改名宣言(このワンマン前日までだーはら名義で活動)、そして実の姉から「服も地味だし、友達もいないし、なんか変なギターばかり弾いてるしさ、なーんか頭おかしいよね」と言われた怒りから生まれた「姉妹ゲンカ」の絶唱等々、めくるめく展開で会場をひたすら扇情していく。

<この衝撃がもっと多くの人々に突き刺さるまで……>

 なお、同公演はアンコールへ突入。そこでこの日最大のハイライトとも言えた「狂」の文字通り狂人じみたアクトが繰り広げられた。ひとり弾き語りで「メジャーだとかインディーズだとか そりゃたしかに売れたい……けどさ 楽しけりゃ何でもいいんだよね」と言い切ったタイミングでオータコージとダッハーラの演奏が走り出し、もはや完全にネジが飛びまくった状態で「私は他の誰でもないの! ただひとりの人間です! ただひとりの人間です! 成功者のスピーチなんて聞きたくないの! ……消えてぇぇ!」と歌い狂う彼女の姿は生涯忘れられないレベルの衝撃であった。この衝撃がもっと多くの人々に突き刺さるまであとどれだけの時間と労力を要するのかは分からないが、ライブ中「初ワンマンじゃなく、また玉手初美ワンマンライブやります。まだいつとか言えないけど、またするからそのときは来てください。ありがとう」と彼女も語っていた通り、先日の24時間路上ライブも今回の初ワンマンライブもゴールではなく、むしろ始まり。ようやく無名なシンガーソングライターがひとつの土俵に乗ったに過ぎない。

 しかしここからの玉手初美が繰り出す音楽、突き進むストーリーは確実により刺激的なものになっていくだろうし、その歌の説得力も増していくだろうし、もっと多くの人々を巻き込んでいくことだろう。ぜひその道程のひとつひとつ、彼女が放つ歌のひとつひとつに注目してもらいたい。

取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:Jumpei Yamada

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