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玉置浩二、完全復活は「愛する音楽のおかげです」 フルオーケストラ公演初日をレポート!

 2016年6月2日、東京・Bunkamuraオーチャードホールにて【玉置浩二 プレミアム・シンフォニック・コンサート】のツアー初日公演が行われ、玉置浩二が自身のソロ、そして安全地帯の珠玉の20作品をオーケストラの旋律とともに熱唱した。

 病気治療(大腸憩室炎)のため5月いっぱいライブ活動を休止していた玉置。その復帰公演は、指揮に栁澤寿男、演奏にバルカン特別編成交響楽団を迎えた特別なコンサートとなった。玉置自身、完全復活は「愛する奥さんとスタッフ、指揮、演奏家の皆さん。そして、音楽のおかげです」とコメント。世界平和への祈りを発信する栁澤とバルカン特別編成交響楽団に玉置が捧げた新作品「歓喜の歌」も管弦楽の演奏により披露されるということもあり、会場には多くのメディアと満席の“プラチナチケット”を得た約2000人の観客が詰めかけた。

 コンサート冒頭、まず最初に演奏されたのがその「歓喜の歌」。旧ユーゴスラビアから来日した演奏家たちの世界平和への精神に共鳴した玉置が捧げた同曲は、管弦楽の演奏によるインストゥルメンタルの曲でありながら、おおらかで力強い旋律がそのまま玉置の歌声をイメージさせる。シンガーの登壇前から、その存在感が音楽を通して会場に伝わっていく。

 そして二曲目の「オレンジ」からいよいよ本人登場。ライブ中、普段からライブ中ほとんどMCをしない玉置は、この日もマイクを通して発言する場面こそ無かったが、登場した瞬間の振る舞いや表情だけで、彼がこの休止期間を通していかに体調を整えてきたかが分かる。そして繰り広げられる、オーケストラと対等に渡り合うダイナミックで表現力豊かな歌唱、そして爆発的なロングトーン。会場に詰めかけた多くのファンにとっても、安堵に胸を撫で下ろすと同時に、変わらぬ魅力的な歌声に胸をときめかせた瞬間となっただろう。

 この日の演目は、その「オレンジ」をはじめ、メドレーやオーケストラのみの演奏曲を含む全20曲中11曲が新編曲作という内容。復帰公演ということを考えれば大胆な構成だが、もともと本公演は2015年から玉置が行っているフルオーケストラ公演の新シーズンとして誕生したものであり、新作品へのチャレンジは玉置のアーティスト精神の健全な発露でもある。一種のライフワークのようになりつつある、このフルオーケストラ公演は、長いスパンの中での変化や進化を観て聴いて感じるのも楽しみの一つだ。

 そして、この日、もう一方の主役であったのが栁澤率いるバルカン特別編成交響楽団。歴史的に多くの悲運に見舞われてきた地域より降り立った平和の使者ともいうべきこの一団は、流麗な調べや響きはもちろん、音楽的な広がりでも柔軟な一面を発揮。特に、楽団と栁澤にとって特別な演目の一つであるバルトン・ベチリ作曲「スピリット・オブ・トラディション Dance」では、現代的なテクノ音楽を彷彿させる打楽器のリズムと、エスニックな弦楽の響きが組み合わさったサウンドで、ロマンチックなオーケストラ演奏とは一味違った魅力で会場を惹きつけた。

 休憩を挟んで第2部では、終盤に「ワインレッドの心~じれったい~悲しみにさよなら」という定番にして圧巻のメドレーも披露。特に「悲しみにさよなら」では「愛を熊本のために」と歌詞を読み替えて熱唱、震災の深い爪痕に悩む人々への思いやりを込めた呼び掛けに、会場は大歓声が会場に轟いた。さらに、こちらも新作品の「夜想」の演奏によって本編は終了した。

 本編終了時、玉置と栁澤は歓声やスタンディング・オベーションに挨拶で応えつつ速やかに降壇。しかし、その後も拍手が止むことはなく、まさしく割れんばかりの拍手が そのままアンコールを求める手拍子へと変わっていく。熱烈な歓声に出迎えられて玉置と 栁澤らが再登壇。そしてアンコールの演奏に入る。1曲目はベートーヴェンの交響曲第8番「田園」と融合した玉置浩二の「田園」。これまで何度となくこのオーケストラ・コンサートのピークを作ってきた演目だが、この日の演奏は格別だ。「愛はここにある」という歌詞がこれほど深く響くコンサートも非常に稀だろう。

 そしてアンコール・ラストは「夏の終りのハーモニー」。オフマイクで生声をホールに響かせる玉置ならではの圧倒的なパフォーマンスに、感極まって涙を流す観客も多数表れ、いかにファンが玉置の復帰を楽しみにしていたかが空気を通して伝わってくるパフォーマンスとなった。最後のメロディーを優しく、慈しみの心を伝えるように歌った玉置の姿は、観客の心の奥深くにしっかりと焼き付いたことだろう。

 新しいオーケストラ作品演奏による欧州演奏家たちとの競演という最高の舞台で自身の完全復帰を証明するパフォーマンスを行った玉置浩二。ここから始まったばかりのツアーの今後にも期待が集まる。【玉置浩二 プレミアム・シンフォニック・コンサート】ツアーは、3日の東京公演の後、大阪(7日)、京都(8日)、そして7月以降の公演へと続く。バルカン特別交響楽団による演奏は8日を残すのみ。更なる進化を遂げた玉置の躍進から目を離さないで欲しい。

◎公演情報
【KOJI TAMAKI PREMIUM SYMPHONIC CONCERT -21st CENTURY RENAISSANCE-】

6月7日(火)
大阪・フェスティバルホール 飯森範親指揮 日本センチュリー交響楽団
6月8日(水)
京都・京都コンサートホール 栁澤寿男指揮 バルカン特別編成交響楽団
7月7日(木)
大阪・フェスティバルホール 大友直人指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
7月11日(月)、27日(水)
埼玉・大宮ソニックシティ 大友直人指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
7月14日(木)
札幌・ニトリ文化ホール 栁澤寿男指揮 札幌交響楽団
7月21日(木)
福岡・福岡シンフォニーホール(アクロス福岡) 栁澤寿男指揮 九州交響楽団

URL:http://www.billboard-cc.com/

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