平山素子が演出・振付を手がけた新作ダンス公演「Hybrid – Rhythm &Dance」が、3月25日から3日間、新国立劇場中劇場で行われた。スペイン・バスク地方の伝統打楽器チャラパルタやアイヌ伝承音楽とのセッションという意欲作だ。
平山素子による新国立劇場での音楽シリーズ過去2作は、その豊かな音楽性とともに高い評価を得てきた。2008年『春の祭典』でストラヴィンスキーに初挑戦し、2013年「フランス印象派ダンスTrip Triptych」ではラヴェル、ドビュッシー、サティという3人の作曲家の音楽を用いてきた。
今回のセッションでは、スペインとフランスの国境にあるピレネー山脈で独自の文化を育んできたバスク民族の伝統楽器「チャラパルタ」。厚みのある1枚の板や、マリンバのように並べられた木材に、木撥(きばち)を上から落として音を出すというシンプルな奏法だが、二人一組で奏でる超絶技巧と音色の豊かさは、誰もが目を向けずにいられない魅力に満ちた空気をまとったもの。そこにバスクの角笛アルボカとブズーキ、更にアイヌの伝承音楽(ウポポ)、口琴が加わることで、強烈に循環しながら何もかもを包み込む新たな音世界が、そこには出現していた。
平山素子をはじめとする六人の多彩なダンサーたちの身体表現は、この刺激的な音空間と完全に一体となっており、ダンス公演という枠を超えたコラボレーションの舞台としての魅力を発信するものであった。満員の客席からは、熱のこもった拍手が贈られていた。本公演はこの後日本から飛び出し、今秋には欧州文化首都に指定されているスペインのサン・セバスティアンを含む数カ所での巡回公演を予定している。text by yokano / photo by Takashi Shikama
◎公演概要
新国立劇場 2015/2016 シーズン ダンス公演『Hybrid – Rhythm & Dance』
日程:3月25日(金)~27日(日)
会場:新国立劇場 中劇場