DMA's『Hills End』 メロディの美しさに恋焦がれ、メロディが救うものに渇望する新世代による快心のデビュー作(Album Review)

2016年3月9日 / 12:00

 ポスト・オアシス最右翼と騒がれ、昨年11月には初の来日公演を果たしたオーストラリア/シドニー出身のDMA’s(来日タイミングで日本独自の編集盤EP『DMA’s』もリリースされている)。いよいよのデビュー・アルバム『Hills End』が、この3月初頭に登場。いかにも、90年代マンチェスターの息遣いをこの2010年代に蘇らせるようなサウンドと(初期オアシスを彷彿とさせる、スタイリッシュとは真逆のファッション・センスも話題)、ただの真似事には終わらないスピリットの継承ぶりがおもしろい作品だ。

 説明が前後したが、DMA’s本体はトミー(Vo)、ジョニー(G)、マット(G)の3人組であり、ライヴではサポート・メンバーを含めた6人編成となる。マットが奏でるジョン・スクワイアばりのめくるめくフラワー・サイケ・ギターと、ふんぞり返るようなイナタいバンド・グルーヴも大切な持ち味なのだが、ジョニーのアコギをバッキングにした3人だけのライヴ演奏が繰り広げられる楽曲もある。恐らく、この歌心にスポットライトを当てた素朴なパフォーマンスこそが、DMA’sの創作風景に最も近いものであり、芯の強いグッド・メロディを生み出す土壌となっている。

 アルバムからの先行シングルとなった「Lay Down」は、疾走感溢れるロック・ナンバーでありながらも、その歌からは途方にくれるような徒労感と哀愁が立ち上ってくる。EPにも収録されていた「Delete」や「So We Know」といった楽曲は、前述したDMA’sの核に触れる、アコースティック・タッチの美曲に仕上げられている。ドリーミーなギター・サイケデリアとメロディのしなやかさが合致した「Step Up The Morphine」辺りは、核の部分を丁寧にバンド・アレンジに発展させている点で素晴らしい。一方で「Too Soon」は、レイヤー状の美しいギター・サウンドと強烈なマンチェ・グルーヴに支えられた、アルバム中随一のアタック感を誇るナンバーだ。

 ストレートに受け止めると、恋の失意にしょぼくれている歌が多く、それがメロディの情感と手を取り合っている。ただ、例えばオアシスの「Live Forever」や「Wonderwall」が音楽の普遍性について歌われた楽曲だったように、DMA’sもメロディの美しさに恋焦がれ、メロディが救うものに渇望している楽曲を奏でていると解釈すると、かなりグッとさせられる。ただの懐古趣味には終わらない、今の時代だからこそ手作りで届けるべきグッド・メロディに唸らされる、そんな快作である。(Text:小池宏和)

◎リリース情報
『Hills End』
2016/02/26 RELEASE
輸入盤


音楽ニュースMUSIC NEWS

Vaundy、自身最大規模のアリーナツアー全公演が明らかに

J-POP2024年4月28日

 Vaundyが、2024年11月より開催する【Vaundy one man live ARENA tour 2024-2025】の全公演を発表した。  今回、神戸・神戸ワールド記念ホール、徳島・アスティとくしま、福岡・マリンメッセ福岡 A … 続きを読む

YOASOBI、韓国公演より「群青」ライブ映像を公開

J-POP2024年4月28日

 YOASOBIが、楽曲「群青」のライブ映像を公開した。  今回公開されたのは、2024年4月10日にリリースとなったライブ映像作品集『THE FILM 2』に収録されている、アジアツアー【YOASOBI ASIA TOUR 2023-20 … 続きを読む

TOMORROW X TOGETHER、日本4thシングル『誓い (CHIKAI)』7月リリース

J-POP2024年4月28日

 TOMORROW X TOGETHERが、2024年7月3日に日本4thシングル『誓い (CHIKAI)』をリリースする。  今年デビュー5周年を迎え、7月10日より自身初でK-POPアーティスト史上最速となる日本4大ドームツアー【TOM … 続きを読む

w-inds.、最新曲「Imagination」配信決定

J-POP2024年4月28日

  w-inds.が、5月1日に最新曲「Imagination」の配信を開始することを発表した。   この曲はメンバーの橘慶太によるプロデュースで”いつでも自分たちのライブやイベントの日の事を思い出して日常の糧にしてほしい、どん … 続きを読む

mol-74、ニューAL『Φ』からリードトラック「BACKLIT」MV公開

J-POP2024年4月28日

  mol-74が、ニューアルバム『Φ』からリードトラック「BACKLIT」のミュージックビデオを公開した。   本楽曲は、”過去の自分”と”現在の自分”を比較した事を楽曲にしており、俳優の雪 … 続きを読む

Willfriends

page top