ももいろクローバーZ、新作3rd&4thアルバムリリース記念! 音楽プロデューサー宮本純乃介インタビュー(前編)

2016年2月18日 / 21:00

 2016年2月17日、ももいろクローバーZの新アルバムが2作同時にリリースされた。2013年の『5TH DIMENSION』以来、約3年ぶりとなる新作は、なんと3rd『AMARANTHUS』と4th『白金の夜明け』の2枚同時発売。リリース前には段階的に本作に関わったプロデューサー/アーティストが発表され、その豪華な顔ぶれにファンからは驚きの声が上がった。

 日本のアイドル/ポップス史に大きな足跡を残した『5TH DIMENSION』以来の新作は、その内容の面から言っても、それと同等かそれ以上の評価を得るであろう充実作。今回は音楽プロデューサーであるキングレコード/EVIL LINE RECORDSの宮本純乃介氏にインタビュー。その前半にあたる本稿では、2枚同時発売というリリース形態の理由とメンバーの成長について話を聞いた。

◎ガンズ・アンド・ローゼスの「青盤/赤盤」のように、全く別作品を同時に

--今日は新作のプロデューサーの選出の基準について、また具体的に各プロデューサーにどうディレクションしたのか、話を伺えればと思います。まずその前に、新作が2枚のアルバムの同時発売になったことについて、その理由から教えて下さい。

宮本:3年前に『5TH DIMENSION』をリリースして以降、ありがたいことに、しばらくタイアップのシングルが続いていました。ただ、その影響でアルバムのリリースのタイミングがなかなか掴めてなかったんです。去年の春頃から、曲も貯まって来たし、アルバムを出したいな、と考え始めました。

 そこから構想を練りはじめて、同時に、出し方としてインパクトのある方法を考えている時に、僕自身も世代なんですけど、ガンズ・アンド・ローゼスの「青盤/赤盤」(『ユーズ・ユア・イリュージョン I』および『II』)のように、全く別作品を同時に発売するのはどうだろうかと思い立ちました。当時の情報量が多過ぎて処理できない多幸感を憶えていたので…

そういう初期衝動的なものがあった一方で、お話しした通り、シングルが続いていたので、アルバム1枚分のボリュームだと、物語が構成しづらいという考えもありました。2枚のアルバムを作れれば、「GOUNN」(『5TH DIMENSION』の後のシングル)以降の流れを上手く汲んだ形で、ももクロの新たなフェーズが作れるだろうと思ったんです。

 ただ、2枚出すにしても、今度はそれぞれどういうテーマの作品が良いのか、という課題がありました。『5TH DIMENSION』は“1つの次元を超えて宇宙を旅をする”というテーマのもとに作って、ツアーも同じテーマで作りました。続くノン・タイアップのシングルの「GOUNN」も“輪廻”というテーマでツアーまでやりました。新作はその続き、と考えて、「GOUNN」で輪廻の過程を経て、次は人間界に生まれ落ちて、もう一度、人としてのストーリーを経験するのかな?と考えました。なので、3rdアルバム(『AMARANTHUS』)は、生まれるところから死までを13~14曲で表現する形にしようと考えました。

 そこで、まずそれぞれの楽曲に、一生のうちに経験するであろう事象や感情をテーマとして設けました。例えば「WE ARE BORN」は生まれる、「モノクロデッサン」は夢、「青春賦」が別れや卒業、「泣いても良いんだよ」は苦悩や浄化、「サボテンとリボン」は恋愛、「仏葬花」は親、家族。さらに、最後から2曲目の「バイバイでさようなら」は死をテーマにして、14曲目のやくしまるさんの曲(「HAPPY Re:BIRTHDAY」)は死後の世界を描いている。そうやってアルバム内の構成を作っていったんです。

--まずは音の無い状態ででテーマを設定したんですね。

宮本:はい。でも、そうした結果、3枚目はリアリスティックなももクロの面が詰まった作品になってきて、最近のシングルで、それらのテーマに上手くハマらない曲が出てきたんです。そこで、4枚目はファンタジックなももクロの面を押す作品にして、そこに「Zの誓い」とか「MOON PRIDE」とかを入れることで、バランスを取ろうと考えました。前者は「かめはめ波」、後者は「セーラームーン」とアニメの世界観を表現するフレーズがそれぞれ歌詞に入っています。メッセージは普遍的なんだけど世界観はファンタジック。そういう楽曲の集合体です。つまり、平たく言ってしまうと、3枚目と4枚目はリアルとファンタジーの対比なんですけど、その両面がもももクロだと思うんです。

 アルバムのタイトルが正式に決まる前は、仮題として「起きてみる夢/寝てみる夢」っていうプロジェクト名をつけてメンバーとも共有していました。「起きてみる夢」は自身が生きながらにして掲げる目標。逆に「寝てみる夢」は妄想ですよね。歌詞の面でも、3rdが「人生」や「生死」に纏わるワードが散りばめられていて、4thは「眠る」「目覚める」とか「夢」というワードが散りばめられている。ただ、夢と現実は紙一重というか、両方包括して行き来できるパートがあったり、3rdを経て4thに、またはその逆に繋がるように、2枚を合わせて楽しめるように制作しました。

◎今作に関しては特に「メンバーと一緒に作った」という感覚が強い

--豪華なプロデューサー陣も話題です。まず、大きな注目を集めたのが堂本剛さんの参加ですが、これはどういった経緯から?

宮本:堂本剛さんは本人たち同士の関係性ですね。さだ(まさし)さんもそうです。本人たちが色々なお仕事でご一緒する機会があって、本人たち同士で「こういうことができたら良いよね!」って話していたことを、メンバーからフィードバックを受けて、じゃあ本当に頼んでみようかっていうところからスタートしました。

 今回は、序盤で色々とメンバーの意見とかも聞いていて、曲や作家さんの選定に反映させています。だから、今作に関しては特に「メンバーと一緒に作った」という感覚が強いですね。

--そうした感覚になったのは今回が初めて?

宮本:そうですね。『5TH DIMENSION』は敢えて振り切ったことをやった部分があって。いま思い返すと、結構しっかりと作り込んだ状態でメンバーに渡して、あとは本人たちの解釈で表現してもらう部分が大きかったですね。

--ももクロは、特に今まで、大人からある種の試練や無茶ぶりを受けて、それを乗り越えることを、本人たちやファンも含めて楽しむ、という性格の強いグループでしたよね。

宮本:うん、そうですね。

--じゃあ、今回、こちらから一方的に与えるのではなく、一緒に作品を作るというムードになったのはなぜでしょうか?

宮本:本人たちの発言力が増したというか、自分たちがどうしたら良いのか、俯瞰して考えられるようになってきたのを、感じられるようになったことが大きかったと思います。

 特に3枚目は、さっきお話ししたテーマのもと制作していた都合上、“死生観”が裏テーマにあったんです。だから本人たちが経験していないものも幾つか楽曲のテーマにありました。もちろん、恋愛もそうですね。

--恋愛をテーマにした曲は、ももクロの作品としては初ですか?

宮本:僕が関わってからは初めてになります。でも、恋愛に関しては彼女たち自身、妄想でしかないので(笑)。今回、作詞家の方も入れて、本人たちに話を聞いたんですけど、言い方は悪いけど恋愛映画の受け売りというか、恋愛映画のシーンなどを引用した「たら・れば」の会話になっていて。でも、それも面白いなと思って、そのまま曲に落とし込みました。

 いずれにせよ、本人たちが経験したことのないことを歌にする時に、彼女たちの意見も抽出して反映していかなければと思いました。

--アイドルがアーティスト的な側面を強くしていく時って、色々と軋轢が出てくることもあると思うんですけど、その点については今のももクロはどうですか?

宮本:良いキャッチボールが出来たんじゃないかと思います。僕の方で仕切って作るべき部分はちゃんと作りつつ、本人たちの意思がメッセージとしてしっかり反映されるように作る。そのバランスが大事だと思います。

--いわゆる「アーティスト宣言」的なものとは違う?

宮本:そうですね。そこは全然別物ですね。

(*後編は近日掲載予定)

◎3rdアルバム『AMARANTHUS(ヨミ:アマランサス)』
2016/2/17 RELEASE
[初回限定盤(CD+Blu-ray)]
KICS-93308 3800円+税
[通常盤(CD Only)]
KICS-3308 2800円+税

◎4thアルバム『白金の夜明け(ヨミ:ハッキンノヨアケ)』
2016/2/17 RELEASE
[初回限定盤(CD+Blu-ray)]
KICS-93309 3800円+税
[通常盤(CD Only)]
KICS-3309 2800円+税


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