蟲ふるう夜に【月下の音楽祭】で新曲披露 GOMESSとの姉弟コラボや日本一純朴なドラマーの生誕祭も

2015年9月29日 / 12:49

 思い通りにいかない現実に翻弄されながらも、まるでドでかい光の塊のような音楽を必死に叩きつけてくるロックバンド 蟲ふるう夜に。9月22日、青山・月見ル君想フでワンマンライブ【月下の音楽祭】を開催した。

<「私たちは今、命の上を歩いている」蟲ふるう夜にの真骨頂>

 このライブは秋の森をテーマに、月の下で蟲(むし)が音楽会を開いている情景も楽しんでもらうため、ステージではなくフロアに降りて360°ライブを展開。オーディエンスはフロアはもちろん、ステージ上、2階、階段など自由な位置からバンドのパフォーマンスを楽しめる仕様になっていた。また、会場には常設の月のスクリーンのほかに、秋の森を感じられる装飾、木や無数のキャンドルライトも設置されており、そのムードだけでも十分に酔いしれることができる。

 そんなスペシャルな空間のど真ん中に蟲ふるう夜に、そしてサポートキーボーディスト&コーラスを交えた6人の音楽家が登場。円になり、向かい合った6人は「私たちは今、命の上を歩いている」と、常に「生きる」ということと真剣に向き合ってきた蟲ふるう夜にのひとつの集大成とも受け取る事ができる、重厚で純粋な新曲を最初に披露した。その後も「あの満月に! あの満月に!」と、月見ル君想フのロケーションで歌う為に生まれてきたかのような楽曲も飛び出したりと、そのドラマティック過ぎる展開はもうほとんど映画や漫画の世界だった。しかしそこで流れる歌はリアル以外の何ものでもないという、これぞ蟲ふるう夜にの真骨頂である。

<「(蟻(vo)は)怖いから」「(GOMESSの)周りが優しすぎる!」>

 中盤では、キャンドルの灯りだけに照らされながら「犬」、先日の渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブ(http://bit.ly/1HQPWeJ)で初披露したばかりの新曲「傘」を。いずれも失った者の悲しみを表現したバラードでありながら、そこにはメンバーの精神的な成長や希望に対する価値観の変化が顕著に出ており、最後には温かい涙を誘う味わい深いコーナーとなった。

 さらに、QUATTROワンマンに続いてゲスト参加したGOMESSとは「(蟻(vo)は)怖いから」「(GOMESSの)周りが優しすぎる!」等、本当の姉弟ゲンカのようなやり取りもありつつ、大変な時期を姉に支えられたというGOMESSと、引きこもりの弟を救い出したことのある蟻、姉弟それぞれの視点を描いた楽曲「同じ空を見上げてた featuring GOMESS」を生コラボ。「今、笑えてるからね」「そう、今、笑えてるから大丈夫」という2人の想いが反映されたそれは、QUATTROのときとはまた違い、切実さだけでなくハートウォーミングな印象も与える。これからも2人で歌い続け、そのときどきの感情や変化を感じさせてほしいナンバーだ。

<眼前の世界をその表情と同じように変えていく、強烈な磁場>

 そしてクライマックスは「わたしが愛すべきわたしへ」「フェスティバル」「スターシーカー」と、暗闇の中から這い上がってきた蟲ふるう夜にの象徴的なアッパーチューンを連発。当然ながら熱量がぐんと上がる各メンバーのサウンドと、オーディエンスの表面化されるほどの胸の高鳴り、そしてもしかしたら誰よりも歓喜していたかもしれない蟻はイスの上に立ち上がって、満面の笑みで熱唱。必死な形相で歌い上げる彼女も、喜びを全身全霊で表しながら歌う彼女も、眼前の世界をその表情と同じように変えていく。改めて思ったが、強烈な磁場を持ったボーカリストである。

<日本一純朴な男性ドラマー「ありがとう。本当嬉しいです」>

 アンコールでは、先日誕生日を迎えたばかりの郁己(dr)へのサプライズバースデーケーキが登場。みんなで「ハッピバースディートゥユー」を歌い届けると、今日までメンバーが全く自身の誕生日に触れてくれず、このまま誰も祝ってくれないのかなと不安になっていたようで「ありがとう。本当嬉しいです」と、心底喜んでいた。日本一純朴な男性ドラマーである。そして最後は「夜の森から始まった今日が、夜明けへと向かう時間をイメージして」と「明星」を披露。ここから全国行脚へと旅立つ蟲ふるう夜にの、そしてここに集まった人々の明日へのオープニングロールのように響いたそれは、何があろうとも前へ前へと突き進むしかない僕らを送り出すのに相応しいナンバーだった。

取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:粂井健太/佐野みなみ

◎ワンマンライブ【蟲ふるう夜に ワンマンLIVE 2015 FALL “月下の音楽祭”】
09月22日(火・祝)青山・月見ル君想フ SET LIST:
01.私たちは今、命の上を歩いている(新曲)
02.冒険者(新曲)
03.一緒に逃げよう
04.オオカミの森
05.満ちた月
06.青の中の一つ
07.犬
08.傘(新曲)
09.同じ空を見上げてた featuring GOMESS
10.アヲイトリ
11.わたしが愛すべきわたしへ
12.フェスティバル
13.スターシーカー
En1.明星

◎蟲ふるう夜にライブ情報
09月30日(水)広島CAVE-BE
Act:PELICAN FANCLUB、蟲ふるう夜に and more
10月01日(木)福岡DRUM SON
Act:PELICAN FANCLUB、GOLDEN AGE、蟲ふるう夜に and more
10月02日(金)岡山IMAGE
Act:PELICAN FANCLUB、alligator 13、蟲ふるう夜に and more
10月04日(日)高松DIME
Act:PELICAN FANCLUB、BACKDRAFT SMITHS、蟲ふるう夜に
10月25日(日)名古屋 栄R.A.D.
Act:T/ssue、GIMMIC_SCULT、phonon、蟲ふるう夜に
11月08日(日)千葉 LOOK
Act:T/ssue、唱頂の大員、無人島レコード、Chroma、蟲ふるう夜に
11月18日(水)名古屋 今池UPSET
Act:鴉、或るミイ、the Adonis、ThreeOut、蟲ふるう夜に


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