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【芸能コラム】集結!21世紀によみがえる1970年代ジャパニーズヒーロー 『BRAVE STORM ブレイブストーム』「Infini-T Force(インフィニティ フォース)」

『BRAVE STORM ブレイブストーム』 (C)albatross japan

 『マイティ・ソー バトルロイヤル』(公開中)、『ジャスティス・リーグ』(11月23日公開)など、スーパーヒーロー共演のアメコミ映画が人気を集める昨今。だが、スーパーヒーローを生んだのはアメリカばかりではない。「ウルトラマン」、「仮面ライダー」、「スーパー戦隊」の3大シリーズが人気の日本にも、1970年代にはより多彩なスーパーヒーローが活躍した時代があった。そんなジャパニーズヒーローたちを集結させた作品が最近、続々と誕生しつつある。

 まずは、現在公開中の映画『BRAVE STORM ブレイブストーム』。「シルバー仮面」(71~72)と「スーパーロボット レッドバロン」(73~74)が共演した実写特撮アクションだ。

 「シルバー仮面」(第11話から「シルバー仮面ジャイアント」に改題)では、父が残した光子ロケットの秘密を探し求める春日5人兄弟の次男・光二が、シルバー仮面に変身して襲い来る宇宙人と戦った。もう一方の主役である「スーパーロボット レッドバロン」は、その名の通り、地球征服をたくらむ悪の組織と戦う巨大ロボット“レッドバロン”の活躍を描いた。

 等身大ヒーローと巨大ロボットという個性が大きく異なるキャラクターを共演させるため、本作ではタイムトラベルSFの要素を盛り込み、物語を大きくアレンジ。両者の持ち味を生かした新たな作品に仕上がっている。

 見どころは、ハリウッド大作『パシフィック・リム』(13)を思わせるデザインにリファインされたレッドバロンのバトルと、俳優の肉体を駆使したシルバー仮面のアクション。重量感あふれるフルCGのロボットバトルとスピーディーなライブアクションが一体となったクライマックスからは、この作品に懸ける作り手たちの意気込みが十分に伝わってくる。

 また、現在テレビアニメ放送中なのが「Infini-T Force(インフィニティ フォース)」(毎週火曜日日本テレビ系深夜1時59分~ほか)。老舗アニメーション制作会社タツノコプロが生んだ「科学忍者隊ガッチャマン」(72~74)、「新造人間キャシャーン」(73~74)、「破裏拳ポリマー」(74~75)、「宇宙の騎士テッカマン」(75)が一堂に会した作品だ。

 いずれも等身大サイズのヒーローであることから、各キャラクターの動きには俳優の演技を取り込む“モーションキャプチャー”を採用し、全編をフル3DCGで制作した意欲作。実写に近いリアルなアクションを再現しつつ、アニメならではの軽快でスピーディーな展開が楽しめる。

 両作品とも、オリジナルをリスペクトしつつ、デザインや設定、ストーリーを現代的にアレンジしていることが特徴。その出来栄えを見ると、今後の展開が気になるところだが、「Infini-T Force(インフィニティ フォース)」は、来年2月に劇場版の公開が既に決まっている。

 一方の『BRAVE STORM ブレイブストーム』も、続編への意欲が強く感じられる内容に仕上がっており、ぜひとも実現してほしいところ。また今年は、ジャパニーズヒーローに影響を受けたイタリア映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(15)も日本で公開されるなど、その人気は国内だけにとどまらない。これをきっかけに、70年代ジャパニーズヒーロー再発見の時代が訪れることを期待したい。
(井上健一)