X


【インタビュー】『トイ・ストーリー4』 唐沢寿明「初めてウッディを吹き替えたときはシリーズになるとは思っていなかった」 竜星涼「見ていた側として胸が熱くなるものがある」

フォーキー役の竜星涼(左)とウッディ役の唐沢寿明

 世界初の長編フルCGアニメーションとして映画の歴史を変えた『トイ・ストーリー』シリーズの最終章『トイ・ストーリー4』が、7月12日から公開される。シリーズを通して保安官のカウボーイ人形ウッディ役を務めた唐沢寿明と、自分のことをゴミだと思っている先割れスプーンで作られたおもちゃのフォーキーを演じた竜星涼に、作品の魅力や見どころなどを聞いた。

-久しぶりにウッディを演じてみて、今までと違った部分はありましたか。

唐沢 (ウッディを演じるのが)久しぶりだったので以前のイメージで自分なりにやってみたんですけど、最初は結構監督からテンションが上がっていないと指摘されました。ちょっと前作の感覚を忘れているっていうか(笑)。後はやっぱり出番がね、フォーキーが出てきていろいろ絡んでくるからウッディの出番がすごく増えてて結構大変だったね(笑)。

竜星 (笑)。

-本作ではウッディの声も少し大人びたように感じました。

唐沢 若干ね。やっぱりフォーキーを諭したりしなきゃいけないし、今回は結構大人っぽい話だと思ったから。

-『トイ・ストーリー4』のストーリーは唐沢さんの目にはどう映りましたか。

唐沢 人とおもちゃの成長物語ですね。フォーキーが登場したことによって子どもというのはおもちゃを与えられるだけじゃなく、身近なものでおもちゃを作り上げようとする創造力を持っていることを表現している。この作品はシリーズを通して子どもが見て一緒にいろいろなことを学んでいく。例えば、前作でアンディが大学生になっておもちゃは必要なくなって(おもちゃから)卒業したように、みんなが大人になる。人を育てる作品なんです。

-竜星さんはフォーキーを演じるに当たってどのような役作りをしましたか。

竜星 監督とずっと「フォーキーは3歳~5歳児ですよね」と話していました。みんなを巻き込んでいく無邪気なキャラクターで、言っていることはとても素直なことですけど、それが嫌味っぽくならないように、かわいらしさがないといけないと思ったので、それを意識して声を作っていました。けれど収録で「ちょっと大人になっています」とか「ちょっといま12、3歳なっています」とか、そこを修正しながら演じていくのはちょっと難しかったです。

-キョウリュウレッドのアフレコとはまた違いましたか。

竜星 全然違いましたね(笑)。(キョウリュウレッドは)人間の動きに対して合わせればいいという感覚があったので。けれどフォーキーはキャラクターという部分が強いのと、オリジナルの声を参考にしながら自分だけじゃなく(アメリカのキャストの特徴を)プラスアルファしていかなきゃいけないことが、難しい面だったと思います。

-唐沢さんと竜星さんは今回共演してみてどういう印象を持ちましたか。

竜星 フォーキーとウッディの関係性そのままというか、お父さんと言ったら失礼かもしれませんが、親でもあり兄貴みたいな存在です。

唐沢 実際親ぐらいの年齢だからね。竜星に対して、間違った道に行ってほしくないなって、父親みたいな気持ちかな(笑)。

-竜星さんは小さい頃から身の回りにウッディやバズが居た世代として、『トイ・ストーリー4』を見てどういう印象を持ちましたか。

竜星 バズとウッディが築き上げてきた絆や友情に、見ていた側として胸が熱くなるものがあって、本当にいつまでも愛される作品であることを再認識しました。

唐沢 いろいろなところで何度も言っているけど『トイ・ストーリー』で初めてウッディを演じたときはシリーズになるとは思わなかった。こんなにも日本の人が『トイ・ストーリー』を好きになるとは思っていなかったから。最近仕事先で若い子たちに「子どもの頃見ていました」とか「ずっと『トイ・ストーリー』が好きです」って自信を持って言われるから、きっと特別な何かがあったんだろうね。

―バズ・ライトイヤー役の所ジョージさんが「バズを見ると俺だと思う」とコメントしていましたが、唐沢さんもウッディに対してそう思ったことはありますか。

唐沢 俺はウッディを見ても俺だとは思わないかな。少し俯瞰で見ているのかも。でも、バズを見ると「あ、所さんだ」とはなる(笑)。

―今まで「ウッディをやっていて良かった!」と思う瞬間はありましたか。

唐沢 お母さんたちが俺のことを見て、子どもたちに「ウッディがきたよ!」って言ってくれることかな。

―最後に、本作で個人的に一番見てほしい、この場面は見逃してほしくないというシーンはありますか。

唐沢 俺はギャビー・ギャビーのシーンかな。見ていて純粋に(ギャビー・ギャビーに対して)「ああ、幸せになってほしいな」と思える話の持っていき方が本当にすごい。

フォーキー役の竜星涼(左)とウッディ役の唐沢寿明

竜星 ウッディとフォーキーが一緒に歩いているシーンです。すべての始まりというか、このシーンのやり取りがあったからこそ、後々のフォーキーにつながるので。

(取材・文・写真/丸山有咲)