関西の名物野外イベント『OTODAMA’14~音泉魂~』濃厚な2日間をレポート

2014年10月14日 / 19:24

 関西の夏の名物野外ロックイベント『OTODAMA’14~音泉魂~』が、9月6日(土)・7日(日)の2日間にわたり大阪・泉大津フェニックスにて開催された。10回目のアニバーサリーにつき2年ぶりの2日間開催となった同イベントは、出演バンドや『OTODAMA~音泉魂~』あるあるを披露し、集まった観客を大いに沸かせたレイザーラモンRGの入浴宣言で、爆笑の中スタート。強い日差しが照りつけるメインの大浴場ステージは、怒髪天の増子(vo)の「はしゃげー!」の叫びと共に幕を開け、「音泉魂を世界一の祭にするためだけにやって参りました!」と勢いよく登場した四星球は笑いへの仕込みが尋常ではなく(笑)、会場の隅から隅までを楽しませる。

 末恐ろしい鉄壁の演奏力が繰り出す極上グルーヴで魅せたOKAMOTO’Sを経て、THE BACK HORNの名曲『空、星、海の夜』の泣きのメロディに胸が熱くなった頃、雲行きが怪しくなり…そんな曇天をもろともしない熱い男たちがサンボマスターだ。全ての曲間に真っ直ぐな叫びをブチ込む熱量は凄まじく、「(主催の)清水音泉ありがとう!」と怒涛の「アホ10年!」コール(笑)を巻き起こす。続いて、今年11年ぶりの再始動となったO.P.KINGは、奥田民生やYO-KINGらがボーカルを交代しつつ珠玉のロックカバーを含む10曲を演奏、さすがのステージを見せ付ける。そして、THE BAWDIESがステージに現れた頃、天候は最悪の状態に…。だが、そんな悪天候ですら楽しむようなタフなパフォーマンスには、心底シビれた。

 そんな中、初日のトリを飾るSCOOBIE DOがビシっとスーツに身を包みステージに現れるや、奇跡的に雨が上がった――! 「清水音泉は負けない、ロックンロールは負けない、ずっと好きでいてくれよ~!」。感動的なMCを胸に、大抜擢にして初の大舞台となったトリのステージを、ロックの衝動に溢れた全9曲で一気に駆け抜けた。

 一方、会場後方の露天風呂ステージは、とにかくこの空間が楽しくてしょうがないといった様相の爆弾ジョニーに始まり、中毒性の高いビートが突き刺さるオワリカラ、貫録と男臭さが滲む力強いロックを響かせたTheピーズ、お揃いのピンクのスーツでキメたラインナップ中唯一のスカバンドDOBERMANと続き、自由奔放に新世代のロックを聴かせてくれたSAKANAMON、豪雨がドラマティックに作用した圧巻のドレスコーズ、後方まで熱狂の渦に巻き込んだアルカラまでが怒涛のライブを展開。この日のクロージングライブとなる、”湯あがりアクト”DJハヤシ(POLYSICS)のグッドミュージックに身を委ね、誰もが明日は晴れますように…と祈る中、初日の幕が降りた。

 オーディエンスの願いが届いたのか、昨日の雨が嘘のような2日目。そんな中、トップバッターとしてステージに姿を現したのは、今をときめくキュウソネコカミだ。朝イチにも関わらず詰めかけた多くのオーディエンスを前に、非公式テーマソング『清水音泉ぶっとばす(仮)』を絶叫し(笑)、一気に会場のボルテージを上げていく。続いてORANGE RANGEが鉄板サマーチューンを連発した後は、昨日は”湯あがりDJ”、今日は宴会場テントでのスイカ割りと(笑)大活躍のハヤシ(vo&g)率いるPOLYSICS。「このラインナップ…今いったい何年だよ!(笑)俺もめちゃくちゃ楽しんでます!」と語り、前半のハイライトとも言える盛り上がりで魅せる。後に次ぐ東京カランコロンも、どこまでも伸びやかな男女ツインボーカルが心地よく、広大な会場にその歌声とメロディが響き渡っていた。

 一方、露天風呂ステージでは、TOMOVSKYのピースフルなサウンドで幕を開け、男だらけの音泉魂に華を添えたハルカトミユキ、赤い公園に続いて、2日間中最大の集客と言える絶景を生み出したのが、真心ブラザーズだ。夏の終わりに聴く極上の『ENDLESS SUMMER NUDE』には、多くのオーディエンスが体を揺らした。同じくGRAPEVINEの『風待ち』も夕暮れ間近のシチュエーションと相まって、音楽のもたらす奇跡のように感動的なワンシーンを演出していた。

 そして、2年ぶりの出演となった筋肉少女帯は、余裕と遊び心のステージ。ライブ初公開となったももいろクローバーZへの提供曲『労働讃歌』ではラップも披露するサービス精神がたまらない。続いて、風が心地よい夕刻に名曲『あなたに』の大合唱で始まったのがMONGOL800。夕焼けの中で聴く『小さな恋のうた』は、この夏一番のプレゼントのように胸に響いた。続けざま、夕焼けと夕闇が混ざる美しいマジックアワーに、今年でデビュー25周年を迎えた人間椅子の轟音が露天風呂ステージに鳴り響く。

 ここで、すっかり暗くなった大浴場ステージに現れたユニコーンに会場は総立ちに!新作中心のセットリストだったが、『服部』のイントロが鳴り響くや待ってましたの大歓声が。そして、最近の勢い目覚しいa flood of circleが露天風呂ステージを見事に締め括り、いよいよクライマックスに。この日のトリを飾るフラワーカンパニーズのステージには、共演者が袖で見守る姿もちらほら見られ、このバンドがいかに愛されているかが分かる。トレードマークのオーバーオールも特注の銀ラメの仕様と、気合たっぷりのグレートマエカワ(b)。鈴木圭介(vo)が「今年25周年だけど5本の指に入るくらい緊張してる」とこぼしながらも、OTODAMA愛たっぷりのMCと、フラカンにしか鳴らせない心に沁みるロック魂を炸裂。

 アンコールでは出演者と主催の清水音泉・清水氏もステージに呼び込まれ、『真冬の盆踊り』で大盛り上がりの大団円!結成30周年で初登場となった”湯あがりアクト”ニューロティカのシンガロングが止まない熱いライブまで、前日は雨のため見られなかった花火も無事打ち上がり、ひときわ感慨深いエンディングとなった。

Text by 岡田あさみ
Photo by 渡邉一生/Taurabon/河上良/山元裕人/日吉純平

協力:清水音泉

◎イベント概要
【OTODAMA’14~音泉魂~】
2014年9月6日(土)-7日(日)
@大阪・泉大津フェニックス
http://www.shimizuonsen.com/otodama/14/


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