世武裕子デビュー5周年ワンマンライブで、圧巻のパフォーマンスとポップが同居する独特の世界観

　7月15日WWW Shibuyaにて、様々な対バン企画やツアー・サポートを続けてきたシンガー&ソング・ライターの世武裕子が、デビュー5 周年を経て、新たな展開へ向けての第一歩として、ワンマンライブ『伝説のトリプルプレイ　日本公演』を開催した。

　クラシックはもちろん、ミニマル、テクノ、プログレ、民族音楽…と、多様な音楽のルーツを感じさせる世武裕子。今回のワンマンでは、その独特の世界観を感じさせる、白根賢一 (GREAT 3)、福岡晃子 (チャットモンチー)、U-zhaanという幅広いジャンルのミュージシャンたちとの共演を果たした。

　暗い照明の中、世武の少しハスキーなフランス語の柔らかい響きがゆっくり空間に広がりながら、ライブがスタート。始まりの一曲は「75002」から。アップテンポな「恋をしようよ」、吊り下がったライトが星のように瞬いて夜の疾走感を感じさせた「YOU」、そしてKORGシンセが描き出す力強いベースラインが印象的な「Pink and Gray」と続き、自然と客席の体が歌詞のリズムに合わせて動き出す。

　会場の空気が暖まったところでメンバー紹介。「（福岡の）今日の服、見た!?　めっちゃ可愛い！」「U-zhaanさん、ステキでしょ！」「白根賢一センパイ、カーッコイイ！」という一言一言に、メンバーへの愛が溢れていた。

　U-zhaanも入っての1曲目、「私の愛したスパイ」は音楽とモノクロの映像投影が織りなすシリアスでジャジーな雰囲気と歌詞とのギャップが引き立ち、「November」では世武のハスキーなハイヴォイスが円を描くように上昇していく。世武のピアノが演出する、いつまでも聴いていたい程に美しい、タブラのチューニングタイムを経て、二つの楽器のみでのインストセッションへ。

　後半は弾き語りソロから。サカナクションのカヴァー「ユリイカ」、世武の紡ぎ出すフランス語やフランス語訛りな柔らかい英語の響きが創り出す独特の世界観が感じられるオリジナル曲「YOU ARE」、YUKIのカヴァー「JOY」が続く。じっくりと聴き入るオーディエンスに「なんか今日はみんな、シリアスだね（笑）」と語りかける一幕も。

　メンバーが次々と現れ、「US」「美しいあなた」「Night Walk」で会場はラストスパートへ盛り上がり、「伝説のトリプルプレイ」のエネルギッシュでエキサイティングなピアノ・パフォーマンスで頂点へ。白根のドラムと福岡のベースの繰り出す音圧と並び立つピアノの重量感は、“ピアニスト 世武裕子”の面目躍如。そのエネルギーに、会場のピアノサイズがちょっと小さく見えてしまうほどだった。

　「重大発表があります…アルバム、『出したい！』!!　ウソとかちゃうから（笑）」と世武が叫ぶと、ファンの間から暖かい笑みが。「あ、ホームページができました！」と報告も。最後の曲「ロンググッバイ」では余韻を残し、続いてアンコールへ。U-zhaanがアルトホルンを取り出し、ふくよかな音色を聴かせるスペシャルなアンコールでは「染まるよ」「Life（春の光）」「Hello Hello」と続き、ファンを喜ばせた。

　2013 年には全国公開の映画『だいじょうぶ3組』の劇判と5つの新曲書き下ろしを収録したアルバム『「だいじょうぶ3組」オリジナル・サウンドトラック+「みらいのこども」』リリースなど、活躍の場を拡げている世武裕子。現在、曲作りを進めている新しいアルバムリリースが待たれるのと同時に、ハイクオリティとポップの同居を間近に感じられるライブ・パフォーマンスも、また楽しみに待ちたい。text:yokano

◎公演概要
『世武裕子 伝説のトリプルプレイ 日本公演』
日時：2014年7月15日 (火) 19:00開場/19:30開演
会場：WWW Shibuya
出演：世武裕子、白根賢一 (from GREAT 3)、福岡晃子 (from チャットモンチー) 、U-zhaan

◎セットリスト
1. 75002
2. 恋をしようよ
3. YOU
4. Pink and Gray
5. 私の愛したスパイ
6. November
7. ユリイカ(サカナクション カヴァー)
8. YOU ARE
9. JOY(YUKI カヴァー)
10. US
11. 美しいあなた
12. Night Walk
13. ロンググッバイ
EC1. 染まるよ(チャットモンチー カヴァー)
EC2. Life（春の光）
EC3. Hello Hello

◎世武裕子(せぶ ひろこ)
シンガー&ソング・ライター, ピアニスト, 映画音楽作曲家
パリ・エコールノルマル音楽院映画音楽作曲科卒の作曲家/シンガーソングライター。映画音楽界の巨匠であるガブリエル・ヤレドやアントワー ヌ・デュアメルからもその才能を賞賛され、帰国後 Noise McCartney Records よりデビューアルバムをリリース。1st AL「おうちはどこ?」、3rd AL「アデュー世界戦争」では現代音楽の面白さを、2nd AL「リリー」、 1st Single「Good Morning World!/Hello Hello」では、まるで景色を鳴らすような声で人々を魅了した。

◎世武裕子オフィシャルサイト
http://sebuhiroko.com/