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作詞作曲を自ら行うlia(リア)によるバンドプロジェクト、shallm(シャルム)が10月8日に東京・Zepp Shinjukuにて、全国ツアー【shallm EP TOUR “ANTI AFTER SCHOOL”】の初日公演を行った。
本ツアーは9月23日にリリースされた完全新作となるコンセプトEP『ANTI AFTER SCHOOL』を冠した、全国4都市をめぐる自身2度目となるツアー。彼女が「学生時代の思い出や経験をテーマにして制作した」という私的な作品の世界観を体感するべく、会場には多くのオーディエンスが集まっていた。
開演前の場内では、「大地讃頌」や「ふるさと」、「いのちの歌」「明日へ」などの男女混成の合唱曲が流されていた。そして、定刻になると場内が暗転し、長袖の白いスクールシャツに黒のスラックスというスタイルで揃えたバンドメンバーが登場。続いて、ボブカットに紺の制服風のワンピース姿で、ローファーを履いたliaが学校の机と椅子が置かれたステージに姿を現すと、観客からは驚きと期待感を表すかのような大きな拍手と歓声が上がった。
この日のライブはNEW EP『ANTI AFTER SCHOOL』収録曲中でもオープニングを飾る「チャイムは鳴らない」でスタートした。ステージ後方に映し出された時計の針が示しているのは午後2時。授業中の教室でただチャイムが鳴ることだけを待っている鬱屈した思いを瑞々しくも伸びやかな歌声で表現すると、観客は手を上げて、ジャンプを繰り出すほどの熱狂で迎えた。
今年の7~9月期のTVアニメ『猫と竜』のエンディングテーマ「ただいまの場所」をはじめ、2023年9月のメジャーデビュー以降、数多くのTVアニメやTVドラマのテーマソングを担当してきた彼女だが、本ツアーは自身の学生時代の思い出を下敷きに制作されたEPを基に組まれたツアーということもあり、これまでになく自身のプライベートについて語り、それぞれの楽曲に込めた思いも丁寧に話していたのが印象的だった。<お前、音楽ばっかりやっていても何の役にも立たないぞ>という先生に言われた嫌な言葉に導かれた「先生の言う通り」では、高校2年生の進路希望調査の際に「音楽で生きていきたい」と提出するが、「茨の道だよ。大変な思いをするよ」と言われたことを未だに覚えていると語り、「好きだからやりたかったけど、不安もあった。だから、ちょっと足りなかった勇気を先生にもらいたかった」と本音を吐露。だからこそ、「夢や目標ができたときに、背中を押せるような、衝動を掻き立てるような曲を書きたい」という彼女の音楽の根底に流れている本質的なテーマを垣間見せることもあれば、時計の針が17時を周り、学校から帰宅した後のパートでは家族や愛について、自身の経験を交えながら語るシーンもあった。
EPで表現した“学生時代”の自身の記憶を具現化するように、ライブ前半は”学校の中”を、中盤以降は学校の外である”放課後”、そして、一人きりで過ごす眠れない夜に巡らせていた思いを中心に描かれていた。言いようのない孤独感の中でただ愛を求める「おやすみ」、しんどい日々から逃げ出したいと思いながらも、人生の歩みを止めず、<諦めることはできない>という学生時代の結論に辿り着く「月まであと何分?」。そして、大人になった今の自分から学生時代の自分に向けて書かれた「アンチ・アフター・スクール」などが、観客の胸を貫く切実さを持って歌い上げられていった。
また、ライブの定番となっているお馴染みの楽曲や既発曲も14時、17時、空に月が浮かぶ夜という時間帯に合わせてふんだんに盛り込まれていたが、彼女が叩きつけるように熱唱するロックナンバーの中にいつかの自分の思い出を重ねていた観客も多くいたことだろう。思春期真っ只中の人にとっては、今の自分が抱く感情と似ているものを感じたのではないだろうか。孤独や痛みを感じていたのは自分だけじゃないんだと共感するだけでも気持ちは楽になる。彼女はこの日、「あの頃の君に届くように」という意思を歌に精一杯こめて、「あなたは一人じゃない。自分を大切にできるように頑張ろう」というメッセージを送っていた。夢と現実、希望と不安、成長と焦燥。大人の世界に飛び込む前の思春期を思い起こすことは決して悪いことじゃない。時には忘れていた情熱を運んでくれるだろうし、時には後悔だらけだった“あの頃”の自分を肯定し、自分を愛する契機をくれることだろう。
観客に何度も「ありがとう。最高だった」と感謝の気持ちを伝えていた彼女は、アンコールで新曲「キミイロヒラリ」が2027年1月期のTVアニメ『描くなるうえは』オープニングテーマに決定したことをサプライズで発表した。学生時代、shallmとして初めて書いたオリジナル楽曲「夢幻ホログラム」の続編として書いたことを明かした楽曲を初披露。たった一人で描いていた<夢>や<未来>に色を添えてくれた“君”への感謝が込められており、彼女の溌剌とした歌声によって場内には温かく優しいムードが広がっていった。
初日公演を終えたlia(shallm)はステージ上で「楽曲もMCもパーソナルな要素が濃かったので緊張していたんですけど、すごく楽しかったです。皆さんの気持ちに何か共感するものがあれば、今後もこういう曲を作ってきたい」と笑顔で未来に向けた想いを口にした
本公演はこのあと、10月22日の愛知・名古屋ell.FITS ALL、10月23日の大阪・OSAKA MUSEと周り、10月30日に福岡・OP’sでファイナルを迎える。彼女が学生時代に感じていた感情を元に紡がれた物語に興味がある人はもちろん、“あの頃”に何か忘れ物をしている人はぜひ足を運んでみてほしい。
Text by 永堀アツオ
All photos by 蛸島有闘
◎公演情報
【shallm EP TOUR “ANTI AFTER SCHOOL”】
2026年10月8日(木) 東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)
2026年10月22日(木) 愛知・名古屋ell.FITS ALL
2026年10月23日(金) 大阪・OSAKA MUSE
2026年10月30日(金) 福岡・OP’s
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