映画『ラスト・サバイバー』をドラマチックに彩る、リドリー・スコットがこだわり抜いた“音”の世界

2026年9月13日 / 12:00

 「史上最高のディストピア小説」のひとつとも称されるピーター・ヘラーのベストセラー小説『ラスト・サバイバー』をリドリー・スコットが実写化した映画『ラスト・サバイバー』が公開中だ。

 謎のパンデミックで人口の90%が死滅し、人間性を失った“狂った生き残りたち”が奪い合い殺し合う荒廃した世界を舞台に、愛犬と亡き妻の記憶を拠り所に生き延びていたパイロットのヒッグ(ジェイコブ・エロルディ)は、無線に届いた謎の声に導かれ、まだ残されているかもしれない希望を求め、未知の空へと飛び立つ。絶望の淵でさえも、わずかな希望を求め続けるヒッグと、その周囲を取り巻く人物たちが織り成す、泥臭くも人間味溢れる物語を、ダイナミックな映像でエモーショナルに描き出した。

 本作の音楽を手掛けたのは、映画音楽作曲家のハリー・グレッグソン=ウィリアムズ。リチャード・ハーヴェイ、スタンリー・マイヤーズのもとで経験を積んだ後、映画音楽の巨匠ハンス・ジマーとの協働を経て、『ザ・ロック』『アルマゲドン』『プリンス・オブ・エジプト』などに参加した。近年では、リドリー・スコット監督作『グラディエーターII』『オデッセイ』『プロメテウス』『キングダム・オブ・ヘブン』『最後の決闘裁判』などの音楽も担当。『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』では、【ゴールデングローブ賞(R)】と【グラミー賞(R)】にノミネートされた。

 ハリーは今回で8度目のタッグとなるリドリーと共に、原作の美しさを引き立てつつ、映画ならではのダイナミックさを感じさせる、魅力触れる劇伴を作り上げた。「最初の印象は、『なんて美しく、余白のある脚本なんだろう』というものでした。作品全体に豊かな空気感が漂っていて、その世界を音楽で形づくることができるということに、とても大きな可能性を感じました。息をのむほど美しい風景の中に、常に危険が潜んでいる――そんな世界を音楽で表現することに、大きな魅力を感じたのです」と、脚本を読んですぐ、本作の世界観に魅了されたと話す。

 リドリー・スコットは実は、映像のみならず、音へも並々ならぬ情熱を持っていることで知られる。そんなリドリーとの関係性について、ハリーは「監督としてのリドリー・スコットは、作曲家との関係をとても大切にします。彼は非常に的確なヒントを与えてくれますが、作曲そのものについては一切制約を設けません」とコメント。「リドリーはよく、自分が思い描いている作品全体のトーンや感情世界を伝えるために、クラシック音楽を参考例として挙げることがあります。『プロメテウス』の時は、ワーグナーのとある楽曲を聴かせてくれて、『その壮大なスケール感と力強い旋律こそ、自分が映画に求めているものだ』と話していました。しかし、これを真似してくれとは決して言いません。おそらくこれは、リドリーが本質的にはビジュアル・アーティストだからだと思います。彼は、常に色彩や質感、光と影という感覚で物事を考えていて、それらを音楽へ置き換え、最終的には映像をより豊かにすることに強い関心を持っています」と裏話を明かしている。

 さらに、ハリーは、「リドリーは、仮音楽(テンポラリー・トラック)にあまり頼りません。その代わり、ポストプロダクションの非常に早い段階から私に作曲を始めてほしいと望みます。そうすることで、私が作るデモ音源が編集作業の中でテンポラリー・スコアとして使われ、映画そのものと一緒に成長していくのです」と、編集の初期の段階から音楽も交えていくのが、リドリー作品独自の制作過程なのだと説明。

 本作のスコアのこだわりについては、「映画の大半は、終末後のコロラドの静かな孤独の中で展開します。しかし、その合間には激しい恐怖や暴力のシーンが差し込まれます。そのため、スコアには非常に幅広い感情表現と劇的なコントラストが求められました。まずは、思いやりがあり、思慮深く、そして最終的には希望を抱き続ける主人公のテーマを確立する必要があります。その一方で、音楽は一転して、はるかに脅威に満ちた、生々しい響きへと変化しなければなりません。この振れ幅の大きさこそが、この作品の音楽を書くうえで最も魅力的な部分でした」と語っている。

◎公開情報
『ラスト・サバイバー』
全国公開中
監督:リドリー・スコット
出演:ジェイコブ・エロルディ、ジョシュ・ブローリン、マーガレット・クアリー、アリソン・ジャネイ、ガイ・ピアース
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.


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