ザ・ローリング・ストーンズ、音楽にAIを使うことの見解を明かす

2026年7月17日 / 13:00

 今月、ザ・ローリング・ストーンズが、新作アルバム『フォーリン・タングス』を引っさげ、力強く帰ってきた。米ビルボードの最新カバー・ストーリーでは、ミック・ジャガーとキース・リチャーズ(ミックはロンドンで、キースはニューヨークで)が、アルバムに参加した名だたるゲスト、2人の作曲の手法、そしてテクノロジーがスタジオでの2人の関係を変えたのかについて語ってくれた。

 63年前のデビュー以来、ストーンズは数々のテクノロジーの進化ととにレコーディングを重ねてきた。「自分たちが始めた頃は、2トラック(のテープ)だった」とリチャーズはロキシー・ホテルのジャンゴ・ルームで米ビルボードに語った。「それが最高峰だった。それが1年もすれば4トラックになる。いつだってこういう技術の飛躍があって、気づいたときには16トラックになっていた。いつも目の前に、いじって遊べる新しい何かがあった。それで、“またボタンが増えたのか”なんて言うんだ」と彼は述べた。

 テクノロジーの革新者たちが今、音楽の作り手に突きつけている最新の“ボタン”が、人工知能(AI)だ。そして芸術における人間の主体性や、対価を払わずに自分たちを模倣するようAIに学習させる者に対して、作り手がどんな法的保護を持つべきかをめぐって、激しい議論を巻き起こしている。

 「言うまでもなく、自分は歌にしろ演奏にしろ、AIに模倣されたくないし、バンドもそう思っている」とジャガーは、米ビルボードにきっぱりと言い切った。「まるでローリング・ストーンズそっくりに聞こえるようなものを、誰かがただ世に出してしまう。それは明らかに間違っていると思う。もし誰かがAIで音楽を作りたいなら、どうぞご自由に。でも、それはオリジナルでなければならない。自分自身の関与と、自分自身の考えがなければ。世の中には、ザ・ローリング・ストーンズのスタイルで、AIを使ってゼロから曲を作ってしまう人たちがいる。少しでも創造性のある人間なら、そんなことはしないだろうね」と彼は語った。

 2人は、何もかも意見が一致するわけではないかもしれないが、AIについての考えはぴたりと重なる。「自分は、オリジナルなものを聴きたいね」とリチャーズは語った。「音楽は、ただ自分自身をコピーしようとするより、もっとうまくやれるはずだ。なんてったって、しょせんは単純なものだから。これはベートーヴェンでもバッハでもない。AIにそれくらいできるのは間違いないだろうが、だから何だ?欲しいのは、新しいインプットだ。コピーとシンセサイズがどんどん増えていくのなんて、望んでない。少なくとも、これが自分の見方だ。音楽は、いじって遊ぶものだろう。童謡をコピーなんかしなくたって、オリジナリティは十分にあるはずだ」と彼は続けた。

 もっとも、ストーンズは『フォーリン・タングス』収録曲の一つ「In the Stars」のミュージック・ビデオを作るにあたっては、少なくとも部分的にはAIに頼っている。オデッサ・アジオンが主演するこのMVは、ビンテージの衣装をまとった本物の俳優やミュージシャンを、実際のセットで撮影したものだが、ディープフェイク技術を使って、彼らに似た俳優たちの上から、ジャガー、リチャーズ、ロニー・ウッドの顔を重ね合わせている。出来上がった作品は、往年のストーンズが、2026年の彼らの曲を演奏しているかのように見える。

 「あれはずいぶん楽しかったよ」とジャガーは語った。「違うのはミュージシャンの顔だけで。偽物の部屋にいる偽物の人間じゃない。みんな本当に一つの部屋にいて、本当に一緒に演奏しているんだ。ミュージシャンたちは本物のミュージシャンで、1968年のローリング・ストーンズにちょっと似ている。唯一違うのが、顔というわけ。彼らはまず私の顔に取りかかって、なんとなく私に見えるんだが、でも本物じゃない。まるで、うちの子どもの一人が23歳くらいだった頃みたいで。それからロニーを見て、作業していた連中に言ったんだ。“ジェフ・ベックに似てるぞ”ってね」と彼は続けた。「だから、彼らはもう少し手を加えなきゃならなかったのさ」と明かした。実際、ウッドは1960年代後半にジェフ・ベック・グループの一員として、故ジェフ・ベックと一緒に演奏していた。

 「あれが、自分たちのAIとのちょっとした触れ合いだよ」とリチャーズは話し、「俺は言ったよ。“実にいいね。今の自分がこう見えたらいいのに”ってね。でも、もしかしたらそれこそが、AIの使いどころなのかもしれない。ミュージック・ビデオだ。しかるべき場所に収めておけばいい。あれは若い頃の俺の似顔絵みたいなもんだ」と述べた。

 だが、リチャーズにとっては、ミュージック・ビデオという概念そのものが、やや胡散臭いもののようだ。

 「映像と音楽を一緒にするって発想は、ずっと昔の70年代に大失敗だと分かっていた」と彼は語った。「耳と目を無理やりくっつけて、“さあできた、これを見ろ”なんて言えるもんじゃない。でも、それがこのビジネスの商売の部分で、うまくかわしながらやっていくんだ。ビデオは一時期、レコードよりも重要なものになっていた。そこが俺にとっては、ビデオがまっとうなものとして本当にダメになったところだ。“新しいビデオ見たか?”って。“いや、俺はレコードを作ったんだよ”って感じさ。まあ、これはおそらく自分がひねくれてるだけなんだろうけどね」と彼は述べた。


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