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2026年7月4日にSGCホール有明で開催された【SOUL CAMP 2026】のオフィシャルレポートが到着した。
7年ぶりの開催となったSOUL CAMP。この日、「待ってました!」と言わんばかりの熱気を放つオーディエンスたちがSGCホール有明に集った。オープンからフロアを沸かせるのはDJ YANATAKEとMC YOU-KID。ビズ・マーキーからカニエ・ウエストまで、世代を網羅するヒップホップ・クラシックでフロアを温める。
続いてDJ KOCO aka SHIMOKITAのセットへ。大ネタのビートを巧みに繋ぎ合わせながらバックスクラッチや大きな身振りなどを交え、ダイナミックに盛り上げる。クラシックなヒップホップ・ヒットからダンス・クラシック、さらにはアニタ・ベイカー「Sweet Love」までを次々と繰り出していき、最後は小金沢昇司「ありがとう…感謝」をスピン。会場はすでに一体感に包まれた。
暗転を挟み、隣のターンテーブルに登場したのは今年アメリカから日本へと居を移したKnxwledge。各アーティストへシャウトアウトを送りながらメアリー・J・ブライジ「Never Been」でDJセットをスタートした。ディアンジェロやスラム・ヴィレッジらの曲を挟み込み、チルなR&Bムードを演出。自ら手がけたエディットも交え、メロウな中にもビート感を強く打ち出すスキルはさすが。バーナード・ライト、デバージ、メリー・ジェーン・ガールズといった往年の名曲たちを挟み、自身の「Don’t Be Afraid」を掛けたあたりでハウスにシフト。アフロビーツも交えてBPMを上げていく。途中、ステージにはゲスト・ダンサーのMIYUも加わり、緩急つけたパフォーマンスが印象的だった。終始心地よいグルーヴを構築し、「次回はぜひアンダーソン・パークとのユニット、NxWorriesとしての来日も頼む…!」と願いながらの鑑賞でもあった。
そして、いよいよファーサイドがお出まし。先にステージへ現れたのはDJシー・ブラウン。「コンニチハ!」と呼びつつ、オーディエンスの熱気を確かめるようにLL・クール・Jやア・トライブ・コールド・クエストらの曲を掛け、「On the DL」でMCたちがわっさわっさとステージに加わる。今回は、ファットリップ、イマーニ、そしてスリムキッド3(トレ)のオリジナル・メンバーが揃ったエクスクルーシヴなパフォーマンス。デビューから30年以上を数えるベテランながらも、ハツラツ&リラックスしたムードできっちり盛り上げていく。とくにペパーミントグリーンのジャンプスーツに身を包んだイマーニがめちゃくちゃ踊る!
三人のマイクパスとDJのシャウトで熱いエネルギーを客席に届けながら「Ya Mama」、「Bullshit」と繋ぐ。会場を二つに分けて「こっち側は”オー”と言ってくれ!」「こっち側は“シット”だ!」と号令を掛け、盛大な”オー・シット!”のコール&レスポンスとともに「Oh Shit」をパフォーム。ステージの端まで行き、MC3人が総がかりで盛り上げる!「1992年まで戻ろうぜ!」と声を掛けて「I’m That Type of Ni**a」をスピットすると、シー・ブラウンがおもむろにスクラッチを初め、「スイマセン、just drop the shit!」とシャウトし1995年のヒット曲「Drop」へ。「4 Better or 4 Worse」、「Soulflower」と続け、「この曲、知ってるか?」とクインシー・ジョーンズの「Summer In The City」を流し始める。そして印象的なリフの部分に来るとーーそのまま「Passin’ Me By」へのイントロへと繋がっていく。所狭しとステージを動き回っていたイマーニはいよいよ客席に降りていき、オーディエンスと同じ目線で盛り上げる。最後のヴァースはファットリップがアカペラでラップを披露し、曲を締める「デーム(Damn)」の一言が印象的だった。
のちの「Otha Fish」でもスリムキッドトレがアカペラでキックする場面もあり、彼らの衰えぬラップ魂を感じた瞬間でもあった。曲が終わり、「新曲をやってもいいか?」と客席に呼びかける。デラ・ソウル、ア・トライブ・コールド・クエスト、そしてスラム・ヴィレッジらにシャウトアウトを送りながら「昔作った曲はどれも素晴らしくてタイムレス。この時代に聴いてもなお新鮮に聞こえるし、それは俺たちが心から魂を込めて作ったもの。そして俺たちはこれからも、そうやって自分たちの音楽を守り続けるよ」と呼び掛けて、2025年にリリースされた「Timeless」をパフォーム。90年代前半、西海岸を拠点に活動していた彼らが、いかにQ・ティップやJ・ディラらとともにイノベイティブなサウンドを作り出していたのか、彼らのレガシーをひしひしと感じるステージでもあった。
ライブの終盤、J・ディラの名前を出しつつ、元ネタになったスタン・ゲッツ&ルイス・ボンファ「Saudade Vem Correndo」を掛けながら泣く子も黙るマスターピース「Runnin’」へ。曲の随所に挿入されているスクラッチ音を、DJ シー・ブラウンが実演しながら生で挿入している姿にも痺れた。そのまま最後は「She Said」でステージを締めくくる。メンバーらが客席に降りてハイファイブしながら退場し、その後はステージ上からみんなで記念撮影をするという、最後の最後までエンターテイメント精神とファーサイドならではの温かさを感じるパフォーマンスだった。
再びDJ YANATAKEとYOU-KIDが舞台袖のDJブースに登場し、ヘッドライナーであるエリカ・バドゥ登場まで会場を盛り上げる。ジル・スコットにルーシー・パール、ディアンジェロらの曲を繋げ、最後はこれから現れるエリカ・バドゥに向けた大歓声とともに締めた。
暗くなった会場にミラーボールの明かりが灯り、ステージからはRC・ウィリアムズが奏でるローズピアノの音色が響き渡る。バンドメンバーによる軽いアンサンブルのあと、ドラムロールとスペーシーなサウンドともに、いよいよエリカが降臨した。もこもこしたパフィーな上衣と、無数の系とパルプのような飾りに彩られ、ふんわり広がったスカート。遠目に見ると全体の形が袴のようにも見えるし、力士が身につける回し飾りのようにも見える。ステージに現れたエリカは四股を踏み、張り手をするような身振りをしながら、中央のマイクの前へと立った。緑色のライトに照らされながら咳払いをし、マイクへ息を吹きかける。それだけで会場の空気が一瞬にしてエリカ色に染まる。
一曲目、まずRCとの鍵盤だけで歌ったのは「Green Eyes」。見えない何かと交信するように、思い切り伸びやかに歌う。バンドメンバーとのセッションを楽しむかのように「Otherside of the Game」を歌った後、両脇に置かれたドラムマシーンを操り、ランダムなドラムの音色が「On & On」のイントロへと変わる。うねうねと曲がる道のようにスウィンギーなインプロビゼーションを交えながら「…& On」へ接続し、くるくる廻りながらエリカ節を炸裂させる。「”Baduizm”のリリースから来年で30年なのよ」と告げ、「Appletree」へ。まるで樹木からじわじわと溢れ出す蜜のように味わい深いエリカの歌声。30年にわたる活動を経て、その歌声はますます深みを増していったに違いない。そうした歴史も感じつつ「Time’s a Wastin」へ。
この日、バンドメンバーのデルタ9の来日が叶わず、急遽、代演に抜擢されたのが日本人ドラマーのYukino Matsuuraだ。エリカ自らオーディエンスにYukinoを紹介し「私と一緒に演奏する?」と呼びかけ、Yukinoとエリカのドラム・セッション・タイムに。エリカのドラム音を「Love Of My Life」のイントロに繋ぎながら、リリックの一行目、「Way Back」の節をコール&レスポンスで盛り上げる。「ヒップホップは私の友達」と歌うこの曲、RCがシンセでグランドマスター・フラッシュ&ザ・フューリアス5「The Message」のリフを差し込んだ小技にも胸が熱くなった。DJのリンゴがザ・ノトーリアス・B.I.G.「Warning」を掛け、ビギーの「Damn!」の声を効果的に使用しながら「Sometimes」へ。この流れは先日行われたザ・ルーツ主催のフェス、ROOTS PICNICでも披露していたギミックで、今回SOUL CAMPのステージでも再演されたことに痺れた。ここでエリカはドレスを脱ぎ、白いロンTをメインにしたカジュアルな衣装へ。舞台袖からブーツを受け取り、それを履きながら歌う、というプロらしい(?)一幕もあった。アドリブ的にドナ・サマー「Love to Love You Baby」の一節を挟み「I Want You」へ。自らスティックでカウベルを叩きつつエリカと同じダラス出身のレジェンド、ヤーブロウ・アンド・ピープルズ「Don’t Stop Music」をブレンドし、さらなる深みへと入りながら自分でキューを出して「Window Seat」に移る。曲間には、しばしば登場の時も使われたスペーシーなサウンドエフェクトが挿入され、その度に「我々は今、エリカの宇宙船に乗っているのだ」ということを認識させられる。派手に踊るわけでもないし凝った映像演出があるわけでもない。ただひたすら、エリカ・バドゥの表現力に圧倒されるステージだ。「Next Lifetime」を挟み、RCのキーボードが「Bag Lady」のイントロを奏でる。客席に降りながら、ファンたちの間を練り歩きながら歌うエリカ!鬼ファンサをしながらも全くブレずに「Bag Lady」を歌い続ける。「Bag Lady」は「あんた、荷物を背負すぎだから手放しながら(let it go)荷を軽くしなさいよ」と歌う曲。客席からステージに戻ったエリカ(しかもファンから受け取ったストールを着用しながら)は手放すようなジェスチャーをしながら「go, go, go」と繰り返し歌う。まるで何かの儀式のチャントのようでもあり、お祓いを受けているような気持ちになったのであった。本編のラストを飾るのは「Didn’t Cha Know」。そのまま「自分で自分のことを信じるのよ」と伝説のミュージカル『The Wiz』でレナ・ホーンが歌う「If you Believe」を繋ぎ、感動のパフォーマンスを終えた。その後、エリカは数名の関係者を伴って登壇。なんと!この日の独創的な衣装とヘアメイクは東京モード学園の生徒たちが担当したとのこと!客席からも万雷の拍手。皆とステージからエリカが去った後、「もっと欲しいか!?」と煽るMCが入り、贅沢なアンコールへ。最後の最後に歌ったのはダメ男アンセムの「Tyrone」。フックの最後の決め台詞(?)”But you can’t use my phone”の部分を何度もキュートに歌うエリカ。「みんなが3、2、1で叫んだら思いっきりハイトーンで歌うからね!」と合図し、大団円のクライマックスへ。満足を超えた満足感!広い会場の端から端まで、みっちりエリカのヴァイブが溢れた90分強のパフォーマンスとなった。
SOUL CAMPの会場には、ベビーカーを押した家族連れや、イヤーマフをつけた子供を肩車しながら鑑賞している親子、車椅子で来場している人や補装具を着けてソファで休みながら過ごしている人など、さまざまなオーディエンスが集っている様子も印象的だった。みんながそれぞれ7年ぶりにSOUL CAMPの雰囲気を楽しむため集まったと思うと感慨深い気持ちになるとともに、来年の開催を強く望む気持ちがムクムクと湧いてくるのであった。
文:渡辺志保
写真:岸田哲平
◎公演情報
【SOUL CAMP 2026】
2026年7月4日(土)東京・東京SGCホール有明
出演:
Erykah Badu(”SOUL CAMP” Exclusive Live Band Performance)
The Pharcyde(”SOUL CAMP” Exclusive Performance)
Knxwledge
DJ KOCO aka SHIMOKITA
DJ YANATAKE
MC YOU-KID
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