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佐藤竹善がオーガナイズする音楽イベント【佐藤竹善 Presents Cross Your Fingers 26】(以下、「CYF」)が、6月14日に大阪・NHKホールにて開催された。
本イベントは1997年の開始以来、今回で26回目を迎えるもので、佐藤竹善がリスペクトする世代もジャンルも超えたアーティストが多数出演する、毎年恒例の人気イベントだ。今年はKO-ICHIRO(Skoop On Somebody)、日食なつこ、橋口洋平(wacci)、馬場俊英、福原みほが出演。そして佐藤竹善の“相棒”としてイベントの屋台骨を支えるピアニスト・塩谷哲、パーカッショニスト・大儀見元も参加。出演者それぞれのソロや【CYF】ならではの贅沢なコラボステージに加え、今年は佐藤竹善・塩谷哲によるユニット・SALT&SUGARが活動30周年を迎え、17年ぶりとなる4枚目のアルバム『Still The Same~30years on~』が7月8日にリリース予定ということもあり、新曲をいち早く披露。珠玉の名曲が並んだ特別な一夜の模様をお届けする。
まずはイベントのホストでもある佐藤竹善、塩谷哲によるユニット・SALT&SUGARのステージからスタート。「今年も無事開催できてうれしい。26回目の【CYF】、今年はSALT&SUGARが30周年で、17年ぶりにアルバムが出るのでアルバム中心にやっていこうと思う」という言葉の通り、1曲目は新アルバムに収録予定の「タイム・トラベル/原田真二」。佐藤はしなやかでハイトーンボイスが冴えわたる美声を響かせ、観客を一気に惹き込む。楽曲が進むほどに美しい旋律に力強いリズムが加わり、2人は唯一無二の音世界を描き出していく。次曲は大儀見元も加わり、「All I Wanna Do/シェリル・クロウ」へ。「This is LA!」の佐藤の呼びかけに観客の手拍子が重なり、ご機嫌なポップなメロにジャジーなアレンジが広がる。大儀見の華やかなパーカッションが楽曲の時代背景や歌詞を色彩豊かに伝え、佐藤の滑らかでいてクリアな歌声がよく映える。3人は互いの歌や音を楽しみ、さらに上回る音をぶつけ合うように、楽しげな表情で音を紡いでいく。“音楽の楽しさ”をまざまざと感じさせるステージに、観客も盛大な拍手で応えた。「Shape of my heart/スティング」では、哀愁漂うシンプルなメロディを塩谷がより叙情的に奏でる。アルバムではストリングスが加わったライブ版が収録されているが、この日は佐藤、塩谷、大儀見の3人によるシンプルな編成。それぞれの音の魅力を存分に堪能できるステージに、観客はじっと聴き入っていた。
「最近の【CYF】は先輩や同世代のアーティストとの共演が続いていたけど、26回目となる今回は舵を戻して、新しい世代のアーティストを紹介したい。もちろん、仲間のアーティストたちも♪」と、ゲストアーティストのソロやコラボステージへ。
まずは「ピアニストとしての素晴らしさを!」と紹介された、佐藤の長年の“仲間”でもあるSkoop On Somebodyのキーボード・KO-ICHIRO。「今年も【CYF】で竹善さんの誕生日を直接お祝いできてうれしい」と喜びを語り、現在のツアーで挑戦しているインスト曲「Passion Beats」をピアノのみで披露。観客の手拍子とのセッションも加わり、左右の手で異なるテンションをかけながら複雑なアプローチを展開する。佐藤とのコラボでは大儀見も加わり、「What’s You Won’t Do For Love/ボビー・コールドウェル」をセレクト。佐藤曰く、日本のシティポップのルーツともいえるAORの名曲だが、「KO-ICHIROがセレクトしたけど、まさかピアノとパーカッション、ボーカルだけでやるなんて!」と語るほどの挑戦的な編成。しかし難曲を難なく乗りこなす余裕と品格、磨き抜かれたボーカルセンスに観客が唸る瞬間も。KO-ICHIRO、大儀見が放つ音の妙も味わえる貴重な時間となった。
福原みほのステージでは、佐藤が「彼女の歌声を聴いた時は思わず感動したし、あの倍音は病みつきになる!」と、紹介。まずはオリジナル曲「Sun On My Wings」で、ゴスペル由来のソウルフルな歌声を響かせる。すっと抜ける高音の透明感と、芯のある温かな低音。大儀見、KO-ICHIROとのプレイがその歌声をさらにエネルギッシュに後押しする。来年デビュー20周年を迎える彼女は「大好きで、思い入れのある街で久しぶりに歌えるのが嬉しい」と語り、バラード曲「優しい赤」へ。故郷の景色を思い起こさせるような優しく愛おしい空気をまとった歌声に、観客は心癒されていく。佐藤とのコラボでは、福原からのリクエストで「Ribbon in the sky/スティービー・ワンダー」を披露。佐藤にとっては音楽的ルーツであり、福原にとっても唯一無二の存在であるアーティストの楽曲だ。互いの歌声をぶつけ合うのではなく、高め合う。リスペクトを込めて歌う2人の声は強く美しく、2人の声がブレンドされた瞬間には鳥肌が立つほどの圧倒的な迫力が生まれ、称賛の拍手が長く響いた。
佐藤はソウルやR&Bの魅力、そして日本の音楽の良さについて語り、「日本のJ-POPの良さがこんなにも溢れた人がいるなんて! 日本人、そしてシンプルな音楽って良いよね♪って言えるバンドのひとつ」と、wacciのボーカリスト・橋口洋平を呼び込む。橋口は出演への感謝を述べつつ、「僕が信じた、日本語詞しかない音楽を届けたい」と語り、「恋だろ/wacci」や今年5月に発表された最新曲「人生最終日の僕よ/wacci」を、塩谷、大儀見の演奏で届ける。「素敵なミュージシャンと演奏できて幸せ」と語っていたように、バンドとはまた違う、言葉やメロディがよりくっきりと真摯に伝わるステージに観客はじっと見入っていた。
wacciが主題歌を担当したドラマをきっかけに彼らの音楽に出会ったという佐藤。「良い曲はすぐにカバーしたくなっちゃう♪ バンドの演奏力も素晴らしくて、土台がしっかりとあるからこそJ-POPが際立つ!」と、wacciとの出会いのきっかけとなった「歩み」を佐藤がアレンジしたバージョンでコラボ。「竹善さんが歌ってくれたことで(自分たちの曲が)こんなにも良い曲だったんだ! と思いました」と橋口が語ったように、互いへのリスペクトが溢れる多幸感に満ちたステージとなった。佐藤の歌声は驚くほど楽曲にフィットし、橋口も貴重なコラボに嬉しそうに声を弾ませていた。
「YouTubeで偶然見かけて、“なんだこの人は!?”ってなった人。すごい人、上手い人、売れそうな人……いろんなシンガーを観てきたけど、この人はこの人でしかない! 言葉やメロディ、和音、リズム。すべてが1つのメッセージのために存在し、1つの塊になって届いてくる」と絶賛したのが、日食なつこだ。まずは「水流のロック」を大儀見とともに、佐藤が絶賛した唯一無二の歌声を響かせる。この日はパーカッショニストとの共演ということもあり、彼女自身も新鮮さを楽しんでいる様子。歌声もピアノも跳ねるように弾み、ステージに生命力が満ちていく。岩手出身の彼女は、青森出身の佐藤と大阪で共演できることを「大光栄でございます!」と喜び、「音楽玄人のあなた達には無粋かもしれないけれど、この曲を」と「音楽のすゝめ」へ。今日という一日を、本能で音を楽しむように歌う姿は力強くも繊細で、存在感を打ち出すように歌う姿から目が離せなかった。
佐藤は「喋っている時も歌っているようで、彼女自身がアート」と賞賛。そんな彼女がコラボ曲に選んだのが、佐藤がカバーしたものをオリジナルだと思っていたという「万里の河/CHAGE and ASKA」。異国情緒溢れるメロディと切なく情念の強い歌詞。互いの個性に惹かれ合うように歌声を重ねる2人の姿は、悠々とした楽曲に見事に溶け込んでいた。
「独自の歩みを続けてきた人。付き合いも長く、“真摯”“真面目”といえば彼のこと」と、イベント最後のソロステージを務める馬場俊英を紹介。馬場は「精一杯歌って頑張りたい。1曲目から僕と歌いませんか? 一緒に音楽を楽しみましょう」と、ライブ定番の「君が僕の元気」で観客とのコール&レスポンスを交え、アットホームな空気を作り上げる。塩谷、大儀見とのステージも新鮮で、太く優しい歌声がより真っすぐに伸びやかに広がる。この日の観客は佐藤やSALT&SUGARのファンはもちろん、FM COCOLOのリスナーも多く、同局でラジオ番組を担当する馬場はお馴染みの存在。MCでは“馬場節”が炸裂し、塩谷が笑いを堪える場面もあり、和やかな雰囲気に観客も笑顔を見せた。「主人公」では、馬場の素朴で誠実な歌声と飾らない日常を描いた言葉、塩谷の臨場感あふれるピアノ、大儀見のエネルギッシュなリズムが重なり、気持ちを鼓舞された観客の多くが凛とした表情を見せていた。
佐藤とは、2人の盟友であるKANや根本要(スターダスト☆レビュー)について語り合いつつ、思い出のある楽曲として「スーパーオーディナリー」をコラボ。“普遍”の美しさを描いた楽曲に、柔らかな馬場の歌声と、凛とした透明感のある佐藤の歌声が重なり、美しく愛おしさが増す圧巻のステージとなった。
最後はもちろん、SALT&SUGARと大儀見のステージへ。佐藤は新アルバム『Still The Same~30years on~』制作への思いや、ソウルやR&B、ジャズなど多彩なジャンルの音楽を独自の世界観で表現する塩谷と大儀見との共作について「素晴らしい仲間! (音楽のジャンルに)偏見を持たない2人とだからこそ出来た作品」と語る。活動30年でオリジナル曲が8曲しかないと笑いを誘いつつも、「SALT&SUGAR本来の、僕らがやりたい音楽を描いた」と、6月24日に先行配信される新曲「Everything Pops」を初披露。塩谷作曲のジャジーで複雑なリズムに、ラテン色溢れるポップさが融合した楽曲。佐藤の歌声はカラフルで瑞々しく、卓越した2人のプレイヤーが奏でるサウンドは、初めて聴く楽曲でも“音楽の楽しみ方”を存分に満喫できて、観客はあっという間にご機嫌に♪ 続く「Superstition」では、ソウルフルで雄々しさを増した歌声に心酔していると、塩谷、大儀見の圧巻のプレイが次々に飛び出す。音の主役が入れ替わり、音と音がぶつかり合い、高揚感が一気に高まる。臨場感溢れるステージに拍手喝采が送られた。本編最後は、SALT&SUGARの2人による「元気が出るクスリ」。ほっこりと気持ちが落ち着く歌声と、心潤すピアノの音色。柔和の音世界に癒されるなか、本編の幕が閉じた。
「素晴らしい才能と一緒に音楽ができて、気づいたら26回も【CYF】が続けてこられた。これからも素晴らしい人たちに出会っていくんだろう。明日も良い歌を歌いたいなと思う」と佐藤が思いを語り、アンコールは恒例のオールキャストによる「星の夜」。5人のシンガー、2人のピアノマン、そしてパーカッショニストが描き出す、美しい歌声と音の世界に酔いしれながら、饗宴の幕が閉じた。
なお、この日のイベントの模様は7月18日、FM COCOLOの番組『765 SQUARE』にて放送を予定しているので、ぜひチェックしよう。また、SALT&SUGARは活動30周年を記念したニューアルバム『Still The Same ~30years on~』のリリースを記念した全国ホールツアー「30年ってあなた!」が7月11日からスタート予定。アルバム購入者を対象に、スペシャルショーも開催予定となっている。
Text by 黒田奈保子
Photo by 加藤大
◎番組情報
FM COCOLO『765 SQUARE』
毎週土曜日 21:00~22:00
https://cocolo.jp/765square/
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