<ライブレポート>Suchmos 6年越しの対バンツアー開幕 楽屋で決めたサプライズにオーディエンス歓喜

2026年5月20日 / 12:00

 Suchmosの全国ツアー【Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026】が5月14日、神奈川・KT Zepp Yokohamaからスタートした。

 このツアーは国内9都市18公演を予定しており、各都市でIO(横浜)、GLIM SPANKY(愛知)、くるり(大阪)、長岡亮介(福岡)、cero(北海道)、ハナレグミ(宮城)、GRAPEVINE(広島)、The Birthday(新潟)、Fujii Kaze(東京)と錚々たるゲストアーティストを迎えて実施される。当初この対バンツアーは2020年に開催する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により中止となり、昨年バンドが活動再開したことを受け、6年の歳月を経て、ついに実現することとなった。

 初日公演では、まずIOがトップバッターを務める。バンドが奏でる緩やかなミディアムビートに乗せてステージに登場したIOは、「本牧カーチェイス」にてムーディーな世界観を構築。ステージからの逆光を多用した演出は、どこか神々しさを感じさせるものがあり、フロアのオーディエンスは彼が繰り出すフロウやバンドが生み出す極上のグルーヴに身を委ね、この特別な瞬間を心の底から楽しんでいるように映った。

 また、この日はKohjiyaやShurkn Pap、MALIYAといった盟友たちもステージに登場。中でも、松葉杖姿で姿を現したRyohuは椅子に座りながらも、極上のフロウでその存在感を発揮し、時には椅子から立ち上がってフロアに向けてアピールする場面も。ディストーションのかかったギター、軽やかさと重々しさが混在するビートがライブのクライマックス感を生み出す「左利きのBenz」で最高潮に達し、IOは自身のステージを終えた。

 約20分の転換を経て、いよいよSuchmosの出番だ。ステージにメンバーが登場すると、客席からは大歓声が湧き起こる。OK(Dr)が繰り出すタイトなビートに乗せて、YONCE(Vo)が「どう楽しむか見させてもらいます。ご自由にどうぞ」と挨拶して「MINT」にてライブをスタート。OKとともに鉄壁なグルーヴを生み出すRen Yamamoto(Ba)、煌びやかなピアノやオルガンの音色を奏でるTAIHEI(Key)、リズミカルで切れ味鋭いギターストロークを響かせるTAIKING(Gt)、スクラッチなどで楽曲に華を添えるKaiki Ohara(DJ)、そんな彼らのアンサンブルに伸びやかで圧倒的な存在感を放つYONCEの歌声が重なり、Suchmosにしか生み出せない唯一無二のサウンドがフロアを支配していく。曲終盤にはYONCEのパワフルなスキャット&フェイクも飛び出し、会場は1曲目にして早くもクライマックスのような盛り上がりを見せた。

 以降もライブ定番曲や人気の楽曲が連発されていくが、特筆すべきなのが今回初披露となった2つの新曲だろう。YONCEの「ニューソング」を合図に始まった1つめの新曲は、スモーキーさやレイドバック感の伝わるロックナンバーで、軽やかさの中に優しさが散りばめられた曲調は初聴でもオーディエンスのハートをしっかりと掴むものがあった。それ故か、フロアにはバンドの歌や演奏に身を委ねながらも、じっくり耳を傾け新曲を吟味している観客の姿が数多く目に止まった。そして、もうひとつの新曲はストレートな中にもシリアスさ、スリリングさが感じられるロックチューン。昨年の再始動を経て、Suchmosがここからどんな方向へ進んでいくのかを占う意味でも、これらの2曲は非常に興味深いものがあり、過去の楽曲群も新曲と並ぶことでまた新たな魅力が浮き彫りになったのではないだろうか。

 ライブ中盤には、YONCEから「楽しんでますか? 悲しいお知らせなんですけど、次で最後の曲……じゃないんですけど(笑)、あと5曲。やる気を出してください」と告げられる場面もあり、そんな彼に対してほかのバンドメンバーも笑みを浮かべる。ツアー初日からリラックスモードで、かつこの状況を心の底から満喫している様子が伝わる。そして、「STAY TUNE」でフロアの熱気が急上昇すると、ライブもいよいよ佳境へ突入。オーディエンスの盛大なシンガロングに気をよくしてか、YONCEがマイクをくわえておどけてみせる一幕もあり、以降も幸福感満載のステージが展開していく。

 アンコールでは、YONCEが「お客さんにとってはどうでもいい話なんですけど、ゲストアクトを迎えてのツアーが7~8年ぶりで」と話し始めると、フロアにいた女性から「8年ぶり!」と声が上がり、即座に「詳しい人がいる。ありがとう、ヨシミさん。違ったらすみません」と適当な名前で返して笑いを誘う。続けて、「8年ぶりのツーマンツアーで、ここから各都市で素晴らしい同期や同年代、先輩方に出てもらうんですけど、すごく貴重で面白い機会になっていくんじゃないでしょうか」と告げると、客席からは盛大な拍手が湧き起こる。

 そして、「このツアーは7月に終わるんです。で、そのあと……お得なビジネスのご案内です」と観客をクスリとさせると、2027年3月から5月にかけて全国アリーナワンマンツアー【Suchmos BAY SIDE TOUR 2027】を行うことをアナウンス。彼らにとって約8年ぶりのアリーナツアーは仙台、福岡、横浜、神戸と“港”にゆかりのあるエリアで、それぞれ2公演ずつ実施される。

 思いがけないサプライズにフロアから歓喜の声が飛び交うと、「こういう下世話な話のあとに歌うのはね(笑)」とライブを再開。YONCEが「100億光年ぶりにやるんですけど」と言うと、TAIKINGは「自分らを信じろよ!」とはっぱをかけ、Renは「俺、(次の曲)やったことないから」と心配そうな様子を見せる。そんな中、OKのカウントと〈HEY GIRL!〉の掛け声から始まったのは、予定になかった1曲「GIRL (feat. 呂布)」。当日のリハーサル終了後、楽屋での会話から急遽セットリストに追加されたこの曲に、この日一番の歓声が鳴り響くと、先のIOのステージから引き続きRyohuが再度飛び入りし、さらにフロアを加熱させていく。

 実に10年ぶりのライブ披露との発言もあったが、このコラボもIOをゲストアクトに迎えたからこそ実現したもの。メンバーにとっても、そしてファンにとってもいろいろな縁を改めて感じた1日となったことだろう。そんな感慨深いライブに対して、「この時間が大好きです。Suchmosでした、ありがとうございました」と笑みを浮かべながら感謝を伝える。こうして【Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026】ツアーは初日からクライマックスのような盛り上がりの中、幕を下ろした。

Text by 西廣智一
Photos by Yukitaka Amemiya

◎公演情報
【Suchmos BAY SIDE TOUR 2027】
2027年3月13日(土)宮城・ゼビオアリーナ仙台
2027年3月14日(日)宮城・ゼビオアリーナ仙台
2027年4月16日(金)福岡・マリンメッセ福岡B館
2027年4月17日(土)福岡・マリンメッセ福岡B館
2027年4月24日(土)神奈川・Kアリーナ横浜
2027年4月25日(日)神奈川・Kアリーナ横浜
2027年5月1日(土)兵庫・GLION ARENA KOBE
2027年5月2日(日)兵庫・GLION ARENA KOBE


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