故プリンス、『ストレンジャー・シングス』最終回で異例の楽曲使用「実現する可能性はかなり低いと言われていた」(ネタバレあり)

2026年1月5日 / 16:15

 恐怖に満ちた5シーズンを通して、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』は、SFホラー作品の中でもとりわけアクション性の高い場面に、絶妙なタイミングで最適な楽曲を当てはめる手腕を発揮してきた。そして物語の舞台が1980年代である以上、現地時間の大晦日に配信された最終回が、その時代を代表するポップ界最大級のスーパースターである故プリンスへのオマージュを捧げる展開となったのはごく自然な流れだったと言える。

 米ミネアポリス/セントポール地域の一部ファンの間では、シーズン5の物語を締めくくる時代性のある楽曲は、地元出身で愛され続けるインディー・ロック・バンド、ザ・リプレイスメンツの曲になるはずだという見方が強かった。その理由は二つある。ひとつは、最終話のひとつ前のエピソードで、マヤ・ホーク演じるWSQKのラジオDJロビン・バックリーが、ポール・ウェスターバーグ率いる同バンドの音楽こそ怪物退治にふさわしいサウンドトラックだと示唆していたこと。もうひとつは、共演のフィン・ウルフハード(マイク・ウィーラー役)が、伝記本『Trouble Boys: The True Story of the Replacements』の映画化権を取得し、自ら監督・共同脚本を務める計画を進めていることだ。

 しかしショー・ランナーのダファー兄弟は、約2時間の最終回でプリンスの1984年作『パープル・レイン』から2曲を起用する判断を下した。どちらも配置は完璧で、しかも彼ら自身が語るところによれば、プリンスの遺産管理団体から承認を得られる“可能性はかなり低い”大胆な試みだったという。(※以下、『ストレンジャー・シングス』最終回のネタバレを含む)

 ロス・ダファーは、Netflixの編集サイトTudumに対し、「レコードが爆弾のトリガーになるというアイデアが固まった時、壮大なニードル・ドロップが必要だと分かり、本当にたくさんの案が出ました」と、ブレット・ゲルマン演じるマレー・バウマンがレコード・プレーヤーを仕掛け、冒頭曲が「When Doves Cry」である『パープル・レイン』のB面を再生させ、シリーズ屈指の緊迫した瞬間へと向かう場面について語っている。

 兄弟は、祝祭的な楽曲で始まり(「Let’s Go Crazy」)、適切なドラマ的重みを備えたもの(「Purple Rain」)で終わるアルバムを探していたという。「プリンスほど壮大な存在はいないと思います。僕たちにはプリンスが完璧にハマったんです」と」とロスは語っている。

 「When Doves Cry」は、爆弾の遠隔起爆に向かう直前、仲間たちが異次元の橋の崩壊から逃走する場面で、感情を一気に高める役割を果たす。その後、視聴者がイレブン(ミリー・ボビー・ブラウン)の安否を案じる中、感情を強く揺さぶるタイトル曲「Purple Rain」へと切り替わる。唯一にして最大の問題は、プリンスの楽曲をテレビで使用すること自体がほとんど不可能に近いという点だった。

 ロスによれば、兄弟がこの一連のシーケンスの音楽キューについて費やした議論の時間はシリーズ史上最長だったという。最終的な選択をさらに魅力的にしたのは、プリンスの楽曲がテレビや映画のサウンドトラックでライセンス使用されることが、ほぼ皆無である点だった。「実際、使われてこなかったんです。遺産管理団体は、基本的に“パープル・レイン”の映画以外でのライセンスを認めていません」とロスは説明している。

 それでもダファー兄弟が「Purple Rain」を使うことにワクワクしたのは、「この瞬間の感情を総括していた」からだとロスは振り返る。マット・ダファーは、シーズン4でケイト・ブッシュの「Running Up That Hill (A Deal with God)」が重要な場面で使われ、2022年に予想外のチャート再評価を受けた前例があったからこそ、今回プリンスの権利を確保できたのだと補足した。

 最終回で2曲を使いたいと伝えた際、「実現する可能性はかなり低いと言われたので、幸運を祈るしかありませんでした」とマットは振り返り、「承認してもらえてよかったです」と語っている。なお、最終話「The Rightside Up」ではプリンスの楽曲に加え、フリートウッド・マック「Landslide」、ピクシーズ「Here Comes Your Man」、アイアン・メイデン「The Trooper」、カウボーイ・ジャンキーズによる「Sweet Jane」のカバー、故エタ・ジェイムズ「At Last」、クイーン「Who Wants to Live Forever」、故デヴィッド・ボウイ「Heroes」も使用されている。


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