<イベントレポート>雨穴『変な地図』書籍チャート初週首位を記念し【Billboard Book Charts 授賞式】開催

2025年12月17日 / 14:40

 ビルボードジャパンが、日本初となる総合書籍チャート“Billboard JAPAN Book Charts”を2025年11月6日よりスタートした。そして、第1週目の “JAPAN Book Hot 100”で、覆面ホラー作家=雨穴の『変な地図』が首位を飾ったことを記念し、12月16日に東京・ビルボードライブ東京で【Billboard Book Charts 授賞式】が開催された。

 『変な地図』は、2025年10月31日に双葉社より発売された、『変な家』『変な絵』に続く“変なシリーズ”の集大成となる雨穴の最新作。授賞式では、首位を獲得した雨穴へ記念のトロフィーが贈呈され、雨穴本人による喜びのスピーチが語られた。

 まずは、株式会社阪神コンテンツリンクの礒﨑誠二上席部長が登壇。2025年11月6日に書籍チャートを始め、そのタイミングではリアル書店、EC、電子書籍、図書館の4つのデータを掛け合わせる形で総合チャートを発表し、12月4日からは新たにSNSの指標も加え、より分かりやすいチャートを発信していくことを説明した。また初週のチャート結果については「驚きがあった」と告白。「私はホラー・ミステリーマニアなのでこの“変なシリーズ”は全部買って読んでいたんです。自分が買ったものが、まさに1位になるというのがこんなに不思議な気持ちになるのかというのが正直驚きでした」と率直な気持ちを語った。さらに毎週の書籍チャートのニュース記事は海外へも発信していき、各国のビルボード・パートナーと連携し日本の出版物を世界へ広げていく意向を示すとともに、国内においても各書店でチャートを有効活用してほしいと呼びかけた。

 続いて、雨穴が登壇。全身黒いタイツ姿に白いお面をかぶったスタイルだったが、この日用に、トロフィーを落とさないよう、滑り止め付きの手袋を着用してきたとコメントし、早速会場を和ませた。そして、株式会社阪神コンテンツリンク 代表取締役・取締役会長の百北幸司よりトロフィーが贈呈された。

 受賞スピーチでは、感謝の言葉とともに、『変な地図』が今までの“変なシリーズ”と異なる点について言及した。過去3作品は100%読者のためを考え、本を選んでくれた読者に楽しんでもらうことを唯一の目標にしてきたが、『変な地図』は異なるという。「『変な地図』も読者の方に楽しんでいただくのは大前提なのですが、そんな中で30%くらいは自分のために書きました。自分のエゴを今回初めて出しました。その30%のエゴとは何か、一言でいうと“王道小説”ということです。ずっと“王道小説”が書いてみたかったんです。こう見えても王道とかオーソドックスとか、定番商品みたいなものが好きです。とはいえ、自分に求められてるものは王道というよりは邪道、あるいは変化球とか際物みたいなものだということは理解しておりましたので、王道を書きたい気持ちは封印して、一貫して際物を全うしてまいりました。ただ今回の4作目に関しては、自分にとって集大成になるだろうと書く前から強く感じておりましたので、初めてずっと書きたかった王道小説を書かせていただこうと決心しました」と今作へ向き合った経緯を語った。

「王道小説にチャレンジしてみて、すごく難しかったです。王道が一番大変ですね。それに加えて、今までの作品の風合いや世界観を維持しつつ、王道的な物語を組み合わせる、それが非常に至難の業で、悪戦苦闘の末、完成までに10か月以上かかってしまいました。そのため、完成するころには前作からブランクが空いてしまい、世間から忘れ去られてしまったのではないかと不安がありました。ただ実際に発売日を迎えると、初日からたくさんの方に手に取っていただき、全国の書店員の皆様に素敵な売り場づくりをしていただき、本当に温かい気持ちになりました」と話し、「この本に関わってくださったすべての方々に感謝を伝えたいと思います。書籍チャートの初めての1位をいただいたのですが、私だけの力ではないと思っております。応援してくださった皆様、ずっと私の本を待ってくださった皆様、本当に皆様にいただいた1位だと思いますし、皆様の1位だと思います」と改めて感謝を伝えた。

 そして、「最後にやりたいことがございます。せっかくこうしてビルボードのステージに立たせていただいたので、しゃべるだけで終わりというのはもったないかと」と前振りを挟み、自身で作詞作曲をした”変な御礼ダンスの歌”を披露した。スクリーンには3分割された画面にギター、ベース、ドラムを演奏する雨穴が映し出され、ステージでは雨穴本人が踊りながら左右に移動し、会場に集まる方々にお辞儀をしたり手を振り、全身で感謝と喜びを表現した。

 記者からの質疑応答では、書籍チャートの意義について問われ、「書籍チャートができたことはすごく大きいと思ってます。面白い作品は多く出ていますが、たくさんの人を巻き込んでのブームは音楽などに比べて作りづらいと感じております。その中で、チャートやランキングがあると盛り上がるきっかけになると思います」と回答。また音楽チャートについては、「配信や動画などいろんなものを含めた総合的なチャートというのは面白いなと思っていますし、好きです」と話し、「チャートが全てではない、ファンが10名しかいない作品も大切だという考えもありますし、私もその通りだと思います。一方でたくさんの人を巻き込んでお祭り騒ぎのように文化やジャンルを盛り上げるというのは、文化が残るために必要だと思います」と思いの丈を語った。

 またこれから『変な地図』を読まれる方々にどんなふうに読んでほしいか聞かれると、「ゾクゾク、わくわくしながら、肩の力を抜いて軽い気持ちで、深い世界を楽しんでいただきたいです」と話した。

 最後には会場に集まった約30名が“雨穴仮面”をつけ、記念写真を撮影。ビルボードのステージに白い仮面が集まるというインパクトのある光景で授賞式は幕を閉じた。

Text by 熊谷咲花

◎イベント情報
【Billboard Book Charts 授賞式】
2025年12月16日(火)東京・ビルボードライブ東京


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