KISS／グロリア・ゲイナーら、【ケネディ・センター名誉賞】受賞者へトランプ米大統領がメダル授与

　AP通信によると、現地時間2025年12月6日、ドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウスの執務室で2025年の【ケネディ・センター名誉賞】受賞者にメダルを授与し、自ら深く関与して選出したという今年の顔ぶれを、「これほど卓越した実績と知名度を誇る受賞者が揃うのは、おそらく今回が初めて」と称えた。

　今年の受賞者は、俳優のシルヴェスター・スタローン、シンガーのグロリア・ゲイナーとジョージ・ストレイト、ロック・バンドのKISS、そして俳優/シンガーのマイケル・クロフォードだ。トランプ大統領は受賞者について、「信じられないほど素晴らしい人々」であり、「米国の芸術と文化の最高峰を体現する」と評した上で、「彼らの多くは知人で、全員のファンだ」と語った。

　タキシード姿のトランプは、「彼らの作品と功績は、数百万におよぶ米国の人々を鼓舞し、力づけ、一つにしてきた」と述べ、「これほど卓越した実績と知名度を誇る受賞者が揃うのは、おそらく今回が初めてだ」と強調した。

◎トランプ大統領によるケネディ・センターの掌握

　トランプ大統領は1期目の間、ケネディ・センターとその主要アワードである【ケネディ・センター名誉賞】を事実上無視していた。しかし今年1月に政権へ復帰して以降、同氏は一連の改革を実行。とくに理事会メンバーを解任し、支持者らに入れ替え、自身を理事会議長に据えた。

　さらに同氏はセンターのプログラム内容や物理的外観にも批判を向け、双方の刷新を誓っている。

　今回のメダルは、ケネディ・センターとトランプによれば、ティファニーがデザイン・制作・寄贈したものだ。メダルはゴールドの円盤で、一面にはケネディ・センターのイメージとレインボー・カラー、反対側には受賞者名と式典の日付が刻まれている。ネイビー・ブルーのリボンに吊り下げられ、従来の肩から胸元にかけてかける大型のレインボー・リボンと3枚の金のプレートに代わる新仕様だ。

◎トランプ大統領が賞を授与

　最初にメダルを受け取ったのは、カウボーイ・ハットを着用したストレイト。カントリー・シンガーである彼が帽子を脱ごうとすると、トランプは、「かぶったままでもいい。通せると思う」と声をかけたが、ストレイトは結局帽子を外した。

　クロフォードについては、ロングラン公演となった『オペラ座の怪人』の主演として「ブロードウェイの偉大なスター」と紹介。ゲイナーに関しては、「ディスコのクイーンであり、まさにそのとおり。他にグロリア・ゲイナーのようにやれた人はいない」と語った。

　友人であるスタローンには一段と熱を込め、“素晴らしい”、“華々しい”人物であり、「真の偉大な映画スター」、「偉大なレジェンド」と惜しみなく賛辞を送った。KISSについては、「とてつもないロック・バンド」と称えた。

　式典開始前、執務室のすぐ外にあるローズ・ガーデンでは、ゲイナーとKISSの楽曲が流れ、ホワイトハウス報道陣が待機していた。

　大統領は8月、ケネディ・センターで自身が直接発表した2025年の受賞者について、「約98％関与した」と述べた。これは彼の主導下で初めて選出された顔ぶれでもある。受賞者を大統領自ら発表するのは異例で、これまではプレスリリースでの告知が通例だった。
選考方法は明らかにされていない。トランプ以前は超党派の選考委員会が担っていた。

　「彼らはその世代を代表する最高峰のアーティスト、俳優、パフォーマーたちだ。カントリー界にそのキングがいない姿は想像できないし、アメリカン・ディスコにそのファースト・レディがいない姿も、ブロードウェイにファントムのいない姿も――あれはまったくもって本物のファントムだったよ――ロックンロールに世界一ホットなバンドがいない姿も考えられない。そしてハリウッドに、この偉大な先見者がいない姿もね」と語った。

　続けて彼は、「皆さんは米国の生活に消えない刻印を残し、ジャンルを創り上げ、舞台芸術の新たな基準を打ち立ててきた」と述べた。大統領はこの日、国務省主催の恒例ディナーにも出席する予定で、例年はそこでメダルの授与が行われていたが、今年は同氏の判断でホワイトハウスへ移された。

◎トランプ大統領、【ケネディ・センター名誉賞】番組にも初出席

　一方、華やかな【ケネディ・センター名誉賞】本編となるトリビュート・スピーチとパフォーマンスの収録は、日曜にケネディ・センターで行われ、12月後半に米CBSとParamount+で放送される予定だ。トランプが大統領として番組に出席するのは今回が初めてで、メラニア夫人が同伴する。

　同氏は8月に番組のホストを務めることに同意したと明かしていたが、この日もそれを示唆し、「史上最高の視聴率になる」と予測した。歴代大統領は番組に出席し受賞者と客席に並ぶのが慣例だが、ホストを務めた例はない。

　トランプは翌日の式典を心待ちにしていると述べ、「明日の夜は、これまでにないことが起きる。最高視聴率になると予言しておくよ。過去にも良い数字は出ていたが、明日は桁違いだ」と語った。