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3年2か月という時間の果てに花開いた(G)I-DLEのミヨンの音楽叙事。愛のさまざまな温度の中で崩れ落ちながらも、最後には自分自身のもとへと戻ってくる声。 2枚目のミニアルバム『MY, Lover』のリリースを目前に控えた彼女と、ビルボード・コリアが向き合った。
1stミニアルバム『MY』から約3年2か月ぶり。i-dleとしての活動とソロ活動とを行き来しながら経験値を積み、より強くなったミヨンが、再びソロ活動の扉を開く。アルバムタイトルも『MY』から『MY, Lover』へと変化した。その時間の分だけ、彼女の世界観も一人の人間から「他者との関係」を描
く物語へと広がっていった。同時に、今作は「ミヨンというボーカリスト」を改めて発見するアルバムでもある。「Reno (Feat. Colde)」で聴かせる冷たくハスキーな声、力を抜いて淡々と歌い上げたタイトル曲「Say My Name」、そして再び、ミヨン特有の明るく澄んだボイスとポジティブなエネルギーをたっぷり感じられる「Show」まで。『MY, Lover』を通して耳を傾ければ、芯のあるハイトーンだけでなく、ミヨンがどれほど多彩な感情を歌い分けることのできるボーカリストなのかを、あらためて実感するはずだ。
このように物語性の面でもボーカル面でも揺るぎないアルバムが完成したのは、彼女がいまもなお、音楽の中で学びと緊張感を手放していないからだ。「デビュー7年目になったら、ただ安定するだけだと思っていたんです。むしろ時間が経つほどに、ひとつひとつの瞬間がどれだけ大事かを痛感するようにな
りました」と彼女は語る。長く音楽を続けていきたいと願う彼女は、そのためには表現の幅を広げることがいかに歌手にとって重要かを知っている。そして、その悩みの結晶こそが今作に刻まれている。収録曲の中でも最も大胆なチャレンジとなった「Reno (Feat. Colde)」を1曲目に配置したことからも、そ
の決意の強さが伝わってくる。
一方でミヨンは、ステージの外では徹底して、ステージの上では誰よりも明るい笑顔を絶やさない“アイドル”としての姿も忘れない。撮影から数日後に行われたショーケースで再会したミヨンは、インタビューで打ち明けていた悩みとは別に、曇りのない笑顔でファンに向かってほほ笑んでいた。その姿に触れたとき、「なぜファンが彼女を愛さずにはいられないのか」が自然と理解できた。このように、デビュー7年目を迎えたいまも音楽の前ではいちばんストイックに、そしてファンの前では誰よりも温かな笑顔で向き合っている。ミヨンと交わした言葉を届けたい。
――1stアルバムから約3年2か月という期間を置いてのソロアルバムです。どんな点に集中して準備しましたか?
音楽的なスペクトラムを広げたいという気持ちがとても強かったんです。同時に、一人で新しい挑戦をすることへの恐れや緊張も確かにありました。i-dleでは本当にさまざまなコンセプトに挑戦してきましたが、ソロはまた別次元の挑戦ですから。ただ、グループ活動を通してそういった部分が鍛えられてき
たからこそ、今回の活動でも大きな勇気をもらい、新しい試みを続けることができました。
――1stミニアルバムのタイトル『MY』から、今回は『MY, Lover』へ。 “愛”という大きなテーマの中で、感情の流れはどのようにつながっていきましたか?
ひとりの人を愛していても、その関係を続ける過程で感じる感情は、日々めまぐるしく変わるものですよね。ある日はすごく嫌いに感じても、別の日には胸がいっぱいになるほど愛おしかったり。そういった立体的な感情を表現したかったんです。その中にある破滅的な愛、別れ、恋しさまで。サイコロの各
面のように、“愛”にもいろいろな側面がある。それを音楽の中に描きたかったんです。
――コールドとのコラボでさらに特別になった先行公開曲「Reno」。ミヨンがこれまで見せてこなかった声や大胆なジャンルの楽曲ですが、こうした思い切ったことに挑むことに不安はありませんでしたか?
もちろん不安はありました。「Reno」は、ミヨンとして初めて挑戦するジャンルだったので、録音の時は一番緊張した曲でもあります。最初に「この曲をアルバムに入れたい」と言った時、会社が反対するかもしれないと思ったくらいです。1stソロアルバムのタイトル曲「Drive」は会社にすごく好評だったので、「そういうタイプの曲を望むんじゃないか?」と。でもむしろ、みんながこの変化を喜んで受け入れてくれて、とても安心しました。 ただ、完成したものを世に出す瞬間が近づくほど、不安は大きくなりました。でも私は本当に音楽を長く続けたいんです。絶対に続けていくつもりだし。そのためには音楽的な幅を広げることがとても重要だと思っています。だから、一歩踏み出すのが難しくても、どこかのタイミングで必ず次の段階に進まなきゃいけないという気持ちで向き合いました。
――タイトル曲“Say My Name”をより良く楽しむためのポイントがあれば教えてください。
別れを歌ってはいますが、その状況に深く沈み込んで、悲しみを一人で抱え込むような曲ではありません。むしろ“別れたんだね、元気でね”とクールに伝えるような感覚に近いです。歌う時も「別れの曲だからもっと儚く歌わなきゃ」と無理に意識しないようにしました。MVも同じ方向性で撮影したので、そういった部分に注目して聴いていただければと思います。
――ボーカル面でも、タイトル曲では新たなミヨンの姿を見たように感じます。
i-dleのメインボーカルとして、これまで高音をしっかり出したり、声を強く響かせたりする姿を多くお見せしてきましたが、今回は少し力を抜いて、より自然に聴ける歌い方を意識しました。だから、フルで歌っても“全部歌い切った”感じがしなくて、逆に少し不思議な気分にもなりました(笑)。「高音を出さなきゃいけない」という意識が昔は特に強かった時期もあって。でも今回は欲を少し手放して、一音一音のディテールを大切にしながら歌いました。
――1stソロアルバムでは1曲、今回は2曲の作詞に参加しています。特に3曲目「F.F.LY」は、音楽が与える本能的な感覚だけを頼りに書いたそうですね。
“愛”という感情はとても本能的ですよね。だから、あらかじめ固めた気持ちで向き合うと、逆に満足のいく仕上がりにならない気がしたんです。「F.F.LY」のデモを最初に聴いた時、なぜか“夏”のような印象があって、音が進むほど“冬”に近づいていくような、不思議な感覚がありました。恋に落ちるいちばんトキメク季節である“春”がない。まるで、すでに別れに近づいた時期から始まるような。そんな感情が自然と歌詞ににじみました。 曲に合わせて書いたことで、レコーディングの時もより感情に集中できたのが良かったです。
――個人的に最後の曲「Show」が印象的でた。「Reno」で破滅を語り始め、最後は一人でも完結した物語になる流れが特に響きました。
タイトル曲が別れを歌っているので、アルバム全体がどこか落ち込んだ雰囲気になってしまう感じがあったんです(笑)。だからこそ、どこか空気を切り替えてくれる曲が必要でした。“愛が必ずしもこういう終わり方ばかりではない”ということを伝えたかったので、「Show」は絶対に必要な曲でした。
――ウギから始まり、ミヨンで締めくくられた2025年のi-dleソロカムバック。準備の過程でメンバーに相談したことはありましたか?
アルバムが完成に近づくまでは、メンバーに何も相談できませんでした。どこまで進んでいるのかさえ、話せなかったんです。ソロ活動は特に、自分自身が一番正解を知っている気がして。しかも、先にメンバーがすごく良い形で活動していたので、プレッシャーも感じていました。でも3年以上休まず走り続けてきた時間が無駄ではなかったという確信もあったし、そうであれば私にも成長した部分があるはず、と。 悩みがある程度整理されて、形が見えてきたタイミングでやっと“じゃん!”と聴かせました。
――その時のメンバーの反応はどうでしたか(笑)?
長く一緒にいるので、お互いに照れくさい表現はあまりしないんです。“いいね”という一言が、私たちにとっては最高の褒め言葉。最初はからかわれるかと思ったんですが、“いいね”“かっこいい”と言ってくれて、本当に嬉しかったです。
――アルバムの準備を頑張った自分へ、一言かけるなら?
“自分、お疲れさま”という気持ちはあまりなくて、それよりも、この挑戦を受け入れてくれた会社の方々や、MV監督、支えてくれたすべての人への感謝が大きいです。そういう環境が整っていること自体が、アーティストにとっては本当に幸運なことなので
。
――i-dleとして日本アリーナツアーも成功させ、“(G)I-DLE”から“i-dle”として再スタートした後の初めての日本アルバムがオリコン1位を獲得しました。日本のファンとの出会いで心を動かされた瞬間は?
都市や国によってNeververの雰囲気は少しずつ違うんですが、日本のファンの方々は特に温かい眼差しを向けてくださるのを強く感じます。ステージ上でも、サイン会のように近くで会う時も、そのたびに大きな感動と力をもらいます。私も日本語を一生懸命準備していきますが、ファンの方々も韓国語を勉強してきて、短いサイン会の間に韓国語で声をかけてくださるんです。本当にありがたくて。これからもっと頻繁に会いたいです。
――「どうしよっかな(Where Do We Go)」のMVは、画面の隅々まで感覚的で、とても美しかったです。i-dleのファンでもある日本の人気俳優、ファーストサマーウイカさんがカメオ出演したのも話題でしたね。
都心から少し離れた場所での撮影だったのに、遠いところから来てくださっただけでもありがたかったですし、撮影中ずっと明るいエネルギーを届けてくださって、本当に力をいただきました。撮影地は日本映画に出てきそうな、静かで風景が美しい町で、メンバーと久しぶりに“水のきれいな場所で癒やされる”ような時間でもありました。撮影ではありますが、すごく良い思い出になりました。曲自体が明るく希望に満ちているので、“私たちすごく若返った気がするね”なんて話したりもしました(笑)。
――“魔の7年”を越え、メンバー全員が再契約に成功し、新しい章を迎えました。その過程でメンバー同士多くの会話をしたのでは?
全員が“5人で一緒に”という気持ちを持っていましたが、それを現実にするには見えない努力が必要でした。デビュー初期には“今の時期になればもっと安定しているだろう”と思っていたのに、むしろ逆で。1年1年がとても大切で、少しでも怠けることはできませんでした。この感覚は5人全員が共感している部分で、私はそこが本当に好きなんです。全員が向上心に満ちているということが。
――作詞作曲に参加することが増えていますが、i-dleメンバーの影響はありますか?
もちろんです。ソヨンをはじめ、メンバーたちが良い前例を作ってくれていて、私自身も自然とその流れにのって変化できた気がします。私は元々すごく慎重なタイプで、“これ、私ができるかも”という話も自分からはあまり言わないんです。でもメンバーのおかげで変われた部分が大きいですね。
――チュウ、TWICEのサナといった、同世代のアイドル仲間との交流も活発ですね。彼女たちとの時間は、ミヨンさんにどんな刺激やリフレッシュを与えていますか?
会うと本当に女子高生みたいにおしゃべりするんです(笑)。デビュー前は“大人になってから出会う人と、そんなに深い関係になれるのかな”と思ったこともあるんですが、結局は“人が良ければ関係なく仲良くなれる”んですよね。同じ仕事をしている友達の視点を聞くのも楽しいし、共感できる部分も多いです。周りの人たちが明るくてエネルギーにあふれているので、その交流から私もすごくポジティブな影響をもらっています。
――さまざまなバラエティでも、ミヨンさんが登場すると場の空気が明るくなるように感じます。ご自身の“明るいエネルギー”はどこから来ていると思いますか?
周りの良い人たちの影響もありますし、ある程度は生まれ持った部分もあると思います。それに、“健康であること”がすごく大事。私にとって、このテンションを保つことはとても大切なので、風邪をひくのも嫌で常に健康管理に気をつけています。体調を自分でコントロールできない瞬間が来るととてもつらいので、“よく食べて、よく寝る”が毎日の大きな課題です。
――最近、恋に落ちているものはありますか? 人・モノ・行動、何でも構いません。
歌です。歌う時は本当に緊張するのに、終わった瞬間に“そうだ、私はこれが好きでこの仕事を始めたんだよね”と毎回思い出すんです。準備の段階では“どうしよう、うまくできるかな”と不安になるのに。それでも続けているのを見ると、本当にこの仕事を愛しているんだなと思います。もちろん、Neververのみなさんのことも本当に愛しています(笑)!
――過去のインタビューで“自分の色を探している途中”と言っていましたが、今回のアルバムでその輪郭が少し見えてきましたか?
今回の挑戦を経て、“もっと多様な絵を描けるようになった”という感覚に近いです。このアルバムでのいろいろな挑戦を通して、“これからもっと多くの試みをしても大丈夫なんだ”という小さな確信を得ました。『MY, Lover』は、私がやりたいことを思いきり詰め込んだアルバムです。やってみたら、その過程自体を楽しんでいる自分を見つけたり、ファンの方々がその結果を喜んでくれたことも本当に幸せでした。 ただ、ポップ・アーティストとして人々の共感を得られる範囲で、こうした挑戦を続けたい気持ちがあります。まだ自分の色を一つに決めつけたくはありません。
――では、現在は“無限の可能性を秘めたミヨン”ということでしょうか(笑)? 今、この瞬間の目標は?
ビルボード・チャートに入りたいですね!(笑)
Editor: Kwon SaeBom
Fashion Editor: Shin Young
Photographer: Chin So Yeon
(TOP画像:9フリル装飾のハートシェイプトップ/Daisy Suhwoo Park)
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