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今年5月の韓国ソウル公演を皮切りに始まったJay Parkの6年ぶりの単独ツアー【2025 Jay Park World Tour [Serenades & Body Rolls]】のアジアツアーが7月30日に大阪でフィナーレを迎えた。本稿では、7月28日に神奈川・KT Zepp Yokohamaで行われたライブの模様をレポートする。
2019年9月以来の単独来日公演ということもあり、会場の熱気は開演前から非常に高かった。しかも、Jay Parkはこの来日ツアー前に日本のファンに捧げる日本デビュー曲「Whenever」をリリースしており、当日は彼の感謝の気持ちとファンの期待が交差した、これ以上ないベストタイミングだったとも言える。
スタートナンバーは「Ohx3」。本日の主役の登場に、「待ってました」と言わんばかりの高揚感と黄色い声援が会場を一気に包み込む。続く「My Last」でも、オーディエンスの目をしっかりと見つめ、その表情と歌声で観客の心を射抜くJay Parkには“自分は特別な存在なんだ”と錯覚させる力があった。
「今日は来てくれてありがとうございます。皆さん、熱気がすごいですね。これから一生懸命、ライブを頑張るので一緒に楽しみましょう。(日本語で)よろしくお願いします。大好き。愛してる。レッツゴー!」
人気曲「Like I Do」のイントロが流れ、会場の温度がグッと上がるのを感じた。会場にいた全員が聴きたかったであろう、このナンバー。ロマンチックな歌詞と甘い歌声がマッチし、オーディエンスの心は一気に満たされ、幸せな空気が漂った。ファンの期待を理解しているかのように、「V」「Dank」「Yacht」など、前回ツアーで披露された楽曲もダンサブルに届ける。途中、DJ機材トラブルに見舞われたが、持ち前のスキルとアドリブで対応する柔軟さを見せつけた。
「かわいい」「セクシー」「カッコいい」と、褒め言葉の形容詞をすべて浴びたJay Park。「韓国語を話せる人いますか?」(「ここにいます!」とアピールする人がチラホラ)、「今から僕が韓国語の先生をやります」と言って、日本語の“あいうえお”にあたる“ガナダラ”をタイトルにしたヒット曲「GANADARA」のヴァースを口ずさむと、オーディエンスはそれを完璧に歌い返し、今度はJay Parkから「すごいですね」とお褒めの言葉が献上された。キャッチーなフックに甘酸っぱい情景が思い浮かぶ歌詞、たくさんのK-POPアーティストがダンスチャレンジしたあの代表的なコレオグラフィーが目の前で披露され、少し照れたように舌をペロリと出した瞬間、会場からは思わずため息が漏れた。
「本当にエモーショナルな歌詞なので聞いてください」の前置きから一転、美しいピアノの旋律に乗せて、大きなヒップへの熱い思いを真剣な表情と美声で歌い上げる。そう、「Need To Know」の時間だ。ハイトーンヴォイスと落ち着いたテンポに差し込まれる冗談がいいアクセントだった。軽やかな空気を一変させた「Yesterday」は、深い余韻を残すバラード。ここでは冗談を封印、彼の素顔が垣間見えた気がした。
DJ Wegunのプレイを経て、日本のデザイナー CHILLSCOTTが手がけた世界に数着しかないセットアップに着替えてJay Parkが登場。「Why」は、R&BとK-HipHop、アマピアノをJay Park流にブレンドした一曲で、軽やかなサウンドとステップが夏の空気を感じさせる。昨年リリースされた約5年ぶりのフルアルバム『THE ONE YOU WANTED』の活動曲「Gimme A Minute」は、なんと日本のプロデューサーのZENと日本で書いたのだという。しかも本来は日本語で歌おうとしていたのだが、英語のガイドがよかったため、英語詞にしたそうだ。もしかしたらこの曲が日本デビュー曲になっていたのでは……そんなことを考えるだけでも鳥肌が立つ。マイケル・ジャクソンへのオマージュを感じさせるボーカルとグルーヴが光るこのナンバーを、コンテストでJay Parkとステージを共にする権利を勝ち抜いた日本のダンスチーム“KANU Crew” と一緒にダンスで魅了した。
「Mayday」「100 Days」、ケンドリック・ラマーの「ノット・ライク・アス」を大胆に織り込んだ「Solo」、そして彼の楽曲の中でも特に人気が高い「All I Wanna Do」にダンスブレイクを差し込んで、徐々に“Body Rolls” のムードがにじみ出てくる。
ここで、日本デビュー曲「Whenever」の出番がやってきた。日本のプロデューサー、NAKKIDとFOFU、LOARと共に日本で制作した日本語曲を完璧に歌うために、本番前にステージ上で2回もアカペラ練習し、準備万端で挑むJay Park。「日本で音楽活動をされている方々が、自分のために音楽の道を作ってくれたことへのリスペクトを込めて」——制作陣への感謝の言葉とともに披露された本曲はライブ初披露ながらも、マイクを向けると自然と歌い返す人たちが続出。すでに深く聴き込まれていることは明白だった。
ダンスブレイクを経て、XG「WOKE UP REMIXX」が始まると一気にシーンチェンジ。スペシャルゲストのAwichがステージに上がり、日韓ラッパーのステージコラボが始まった。「ASIAN STATE OF MIND」ではアジアを背負って活動する両者の生き様がラップを通して展開していく。米ヒップホップレーベル〈Roc Nation〉と契約した初のアジア人として、アジア、そしてK-HipHop/K-R&B を世界に牽引してきたJay Parkと、彼が切り開いた道への敬意とアジアの団結力の強さを世界に表明するAwichの絆が、言葉を超えた強いメッセージとして鳴り響いた。
そしてここからは、Jay Parkの原点であり真骨頂のラップにフォーカスしたステージが繰り広げられていく。Mihara Yasuhiroがこの日のために仕立てた上下のカスタムピースに身を包み、キャップを目深にかぶって登場したJay Parkは、「DNA」「BLUE CHECK」「On It feat. DJ Wegun」など強烈なアティチュードを乗せたトラックを披露。「そこのアジアンボーイ、マイクを下ろせ」――ティーンの頃はそんなことを散々言われてきたのだろう。アメリカ育ちの彼は、実力がすべてのラップとストリートダンスの世界で、ひたすらスキルを磨き、そういった声をはねのけてきた。実力があれば人種は関係ないことを身をもって証明してきた彼だからこそ言えるリアルな言葉が強く心に響いた。
ビートが徐々に濃密さを増し、太く低くうねり出すと、「McNasty」「Keep It Sexy (MOMMAE 2)」が立て続けに投下される。ステージには下着が投げ込まれ、“Mr. Sexy 4 Eva”がタンクトップを脱ぎ捨てセクシーなダンスを披露した瞬間、会場の熱気は一気にピークへと達した。本編ラストを飾ったのは、Jay Parkのステージを語る上で欠かせない「MOMMAE」。韓国のダンスサバイバル番組『WORLD OF STREET WOMAN FIGHTER』で先日優勝したばかりの大阪のダンスクルー“Osaka Ojo Gang” からUWAがサプライズ登場すると、会場には驚きと歓喜が入り混じった悲鳴が響き渡った。両者のセクシーなダンスの駆け引きに誰もが目を奪われ、これ以上ない最高にホットなパフォーマンスで幕が閉じた。
アンコールを求める止まないコールが会場内を響き、「All I Wanna Do」の日本語ver.で再びステージがスタート。序盤に機材トラブルで満足のいくパフォーマンスができなかった「Iffy」、「もし知っていたら一緒に歌ってください。日本へ捧げます、愛してる!」と嬉しい言葉で始まった「Joah」はもちろん大合唱だ。「ぜひ『Whenever』をたくさん聞いてください。そして、これから一生懸命、活動していくので、応援お願いします」と丁寧に挨拶し、最後は「Who You (Remix)」でライブハウスを完全にクラブ化。持てる力を全て出し切り、本人も観客も余韻を噛みしめるようにステージを後にした。ラッパー、ダンサー、シンガーとしてのJay Parkの多才ぶりを堪能できた贅沢なステージは、このあとオーストラリア、アメリカへと続いていく。日本での彼のさらなる活躍にも注目したい。
Text by Mariko Ikitake
Photos by MORE VISION
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