サザンオールスターズのツアー・ファイナルを想像しながら10年ぶり新作アルバム『THANK YOU SO MUCH』を聴いてみた

2025年5月19日 / 18:00

 現在開催中のサザンオールスターズの全国ツアー【サザンオールスターズ LIVE TOUR 2025「THANK YOU SO MUCH!!」】が、5月28日、29日に行われる東京ドーム公演でツアー・ファイナルを迎える。1月11日に石川県からスタートした今回のツアーは、13か所全26公演を実施。ツアー途中の3月19日には、10年ぶり16作目のアルバム『THANK YOU SO MUCH』もリリースされ、年初から話題満載のサザンにファンならずとも大いに盛り上がっている。

 ミラーボールが目に浮かぶ「恋のブギウギナイト」で軽やかに始まり、都市社会の変化と自身の立ち位置を歌う「Relay~杜の詩」まで14曲を収録した今作には、バンドの歴史に思いを馳せつつ、社会へのメッセージも多分に含まれた楽曲たちが並んでいるが、なによりも“サザン節”がボリュームたっぷりと存分に楽しめるところがいい。ポップで、ロックで、ときに血沸き肉踊り、ときに胸がギュッと締め付けられ、静かに考えを巡らせる。サブスク時代において「アルバムが持つ意義とは何ぞや?」などと理屈を述べる間もなく、次から次へと新曲を聴きながら様々なストーリーに感情が揺さぶられる体験は、リスナーにとってこの上ない喜びだ。そして、10年ぶりの新作アルバムということは、つまりはオリジナルアルバムのリリースツアーも10年ぶり。今一度しっかりと聴き込んでから、来るべきツアー・ファイナルを迎えたい。

 緩やかに心弾むポップソング「桜、ひらり」、抒情的な歌謡曲「暮れゆく街のふたり」と、ジャケットアートワークとも繋がる和のテイストを感じさせる曲が序盤を彩る。共に“ニュース”が歌詞に出てくる「ごめんね母さん」、「史上最恐のモンスター」は、不穏な社会問題の匂いを漂わせる。ストーリーテラー・桑田佳祐の歌声をじっくりと聴きたくなるこうしたタイプの曲たちは、ライブでの演出でよりその世界観がブーストされそうな気がして、想像力を掻き立てられる。

 躍動的で疾走感あふれる「風のタイムマシンにのって」では、原 由子が爽やかなボーカルを聴かせて、「夢の宇宙旅行」では軽快なピアノで曲をリードする。そんなバンドサウンドの核を成す桑田と原、そしてベースの関口和之が共に過ごした大学時代に作られたという「悲しみはブギの彼方に」は、今作の大きな聴きどころ。ミディアムテンポで聴かせるスライドギター、ピアノのプレイスタイル、しゃがれたボーカルは、1stアルバム収録の「いとしのフィート」など初期のサザン・ナンバーを彷彿とさせ、その原点を垣間見ることができる。そう思いながら聴くと、次の曲「ミツコとカンジ」もノスタルジックに聴こえてくる。それぞれ、ライブではどんな流れの中で披露されるのか気になるところだ。

 アルバムは、〈あの歌と出会い あなたがいれば 何にも怖くない〉と、ポップミュージックへの敬意を軽やかにソウルフルに歌う「神様からの贈り物」から、「Relay~杜の詩」へと続き、人々が一体となるコーラスの壮大なサウンドスケープで締めくくられる。デビュー47周年を目前にした10年ぶり待望のアルバムとはいえ、過度にドラマティックにも感傷的にもならず、今なお、はつらつと音楽の楽しみ方を教えてくれる今作には、こちらこそ感謝の言葉を伝えたくなる。もちろん、ライブではアルバム曲を中心に据えつつも、いつものあんな曲、こんな曲で東京ドームに集まった大観衆を思う存分楽しませてくれるはずだ。油断すると知らず知らずに〈盆ギリ盆ギリ〉と口ずさんでしまう「盆ギリ恋歌」を聴きながら、軽やかに会場に足を運ぼうと思う。

Text by 岡本貴之


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