エンターテインメント・ウェブマガジン
2025年4月6日、レトロリロンが3rd EP『アナザーダイバーシティ』を携えた全国7か所9公演からなるワンマンツアーファイナルを東京・六本木EX THEATERで開催、そのオフィシャルレポートを掲載する。1,700というバンド史上最大キャパをソールドアウトし、いまの勢いを裏付ける4人の音楽性とキャラクターを全方位に見せるライブになった。
バンドと同世代の20代をはじめ幅広い世代のオーディエンスで埋め尽くされたフロア。暗転とともにオリジナルSEに乗って、永山タイキ(Dr)、飯沼一暁(Ba)、miri(Key)が順番に登場。最後に少し遅れて涼音(Vo & A.Gt)が現れると、歓声と拍手はさらに大きくなり、思わずクラップしたくなる「ワンタイムエピローグ」で初っ端から一体感を作り出す。ファンには説明不要だが、ポップなファンクナンバーでもmiriのクラシック、飯沼のポストロック、永山のジャズといった各々のバックボーンが明快なアンサンブルは非常に現代的。それが、涼音が書くリアルな歌詞をより遠くに届けるのだ。続く「DND」接続ではホーンのSEに合わせてブロウの当て振りをして、涼音の動きはアクティヴ。さらにピアノとドラムがチェイスするようなイントロ、ウッドベースのサウンドを思わせるエフェクトを効かせたベースラインに刮目した「Restart?」と、序盤からプレイの確かさに唸らざるを得ない。
涼音の短い挨拶から、軽快なピアノリフが引っ張る「カテゴライズ」へ。つまらない理屈で人間や音楽をカテゴライズしてくる人への嫌悪はメロディがポップであるほど突き刺さる。曲間には軽く飯沼とmiriのソロも挟み、近いテイストの「カウントダウン・ラグ」へ繋いだのもいい流れで、4ビートのセクションをさらっと挟む洒脱さ。そして、miriのカオティックなピアノソロのイントロがライブアレンジの面白さを体感させた「独歩」。アウトロの永山のドラムソロから、長めのインストセッションを展開し、次の「たださよなら、命燃え尽きるまで」をよりドラマチックに届けた。かと思えば、ネオソウルなビートの「Document」ではシンセベースやドラムパッドでミニマムな音像を作り、対照的に涼音のロングトーンはエモーショナルに響く。見事な緩急だ。
ステージが暗転する中、様々なものが運び込まれ、明転するとまるで部屋のようにベッドやフロアランプなどがセットされている。ベッドに腰掛けた涼音がなぜツアーファイナルをEX THEATERで行うことにこだわったのかを話し始める。その理由は彼自身、初めて自分の意思で足を運んだのがこの場所でのあるアーティストのライブで、なんとそのアーティストのマネージャーが現在のレトロリロンのマネージャーでもあることを明かした。さまざまな偶然で3人に出会い音楽を作っていることに感謝しつつ、決して仲が良いだけのバンドではないとも言う。そんな彼が「誰も寄せ付けず、人を受け付けなかった頃に書いた曲」と、少し昔を振り返るように曲紹介した「救いのない日々よ」は、シンガーソングライター涼音の軸が見えた気がした。
涼音抜きの3人でのゆるいMCタイムでは、飯沼発案のゲームがオーディエンスを巻き込んで展開。「“い”から始まる大きなもの」というお題に、miriの“陰謀”に笑いが、涼音の“生きがい”に感心したようなリアクションが起こる。フロアがほぐれたところで、ポップな「ヘッドライナー」を披露し、シンガロングが広がっていく。ハンドマイクでステージを大きく使う涼音は「焦動」で、ドラムの後ろも回って“駆け巡る衝動”を体で表現しているかのよう。さらに手数は多いものの非常にタイトに攻める永山のドラミングが曲をドライヴさせる「きれいなもの」へとノンストップで終盤に向かっていく。
本編ラスト2曲を前に、涼音は念願だったステージに立った感慨を話すのだが、相変わらず、音楽が自分の人生にとって何なのかはわからないのだという。わからないからこそ、曲を書き続け、バンドで演奏し続けるのだろう。「何のために生きているのかなんて、みんなもわからないでしょう?」――いろんな世代のファンが頷いたこの場面にレトロリロンがいま支持される最大の理由を見た気がする。
君に会ってしまったら甘えてしまうと逡巡する「深夜6時」の胸がぎゅっとする歌にフロアが集中したあとは、これまで「みんな友だちになりませんか?」と呼びかけていた「TOMODACHI」の曲フリが「みんな友だちだからな。どう? 親友になりませんか?」に深化(!?)。自由にクラップしたり、体を動かしたりして楽しむフロアとそのエネルギーをパワーに変えて、メンバー4人の演奏もグルーヴを増していったのだった。
アンコールの「夢を見る」「アンバランスブレンド」も含めて、EP 3部作『インナーダイアログ』『ロンリーパラドックス』『アナザーダイバーシティ』、ほぼ全曲を演奏した4人。この日最後の曲となった「アンバランスブレンド」のアウトロで、涼音が「みんなに最後、ひとつだけ。レトロリロン、今日、メジャーデビューします! これからもどうぞよろしく」と発表。演奏とどよめきがひとつになり、桜のようなピンクの紙吹雪がフロアに舞い踊る――一つの集大成を見せつつ、すでに次の季節へ走り始めたレトロリロンがそこにいた。
Text by 石角友香
Photos by スエヨシリョウタ
◎セットリスト
【RETRORIRON 3rd EP「アナザーダイバーシティ」Release One-Man Tour 2025】
1. ワンタイムエピローグ
2. DND
3. Restart?
4. カテゴライズ
5. カウントダウン・ラグ
6. 独歩
7. たださよなら、命燃え尽きるまで
8. Document
9. 救いのない日々よ
10. ヘッドライナー
11. 焦動
12. きれいなもの
13. 深夜6時
14. TOMODACHI
<アンコール>
1. 夢を見る
2. アンバランスブレンド
洋楽2026年3月19日
ゼインが、2026年4月17日にリリースされる自身5枚目のアルバム『KONNAKOL』(コナッコル)のトラックリストを解禁した。同時に収録曲「Sideways」を3月27日に先行配信することも発表した。 ゼインは、「Yo! フルトラック … 続きを読む
J-POP2026年3月19日
こっちのけんとが手がけた新曲「あるけまっすぐパレード」が、NHK Eテレの教育エンターテインメント番組『おとうさんといっしょ』の新楽曲として起用される。 第1子の誕生を発表したばかりのこっちのけんと。今回の楽曲提供のオファーを受けた際、 … 続きを読む
J-POP2026年3月19日
2026年4月3日公開の映画『黄金泥棒』より、クレバーな“やり手”サラリーマンを演じる森崎ウィンに注目した本編映像と場面写真が解禁された。 主演に田中麗奈、共演に森崎ウィン、監督は萱野孝幸で贈る本作は、平凡な主婦が“100億円の秀吉の金 … 続きを読む
洋楽2026年3月19日
現地時間2026年3月18日、英ロンドンにて国際レコード産業連盟(IFPI)の2026年グローバル・ミュージック・レポートをめぐるパネル・ディスカッションが開催され、音楽業界の主要幹部が成長を続ける市場の現状と今後の課題について議論した。 … 続きを読む
J-POP2026年3月19日
旺文社の子ども向け実用書シリーズ『学校では教えてくれない大切なこと』の最新刊として、『51.ネット・ゲームとのつきあい方』『52.食べ物で広がる世界』の2冊が、3月18日に刊行された。 本シリーズは、学校教育の教科の枠を超え、将来にわた … 続きを読む