<ライブレポート>僕が見たかった青空 初の全国ツアーをスタート「僕青、全国……行ってきます!」※ネタバレ有り

2025年3月28日 / 17:00

 僕が見たかった青空(通称:僕青)のライブツアー【僕が見たかった青空 全国ツアー2025】が3月22日、東京・KANDA SQUARE HALLからスタートした。彼女たちにとって初の全国ツアーとなる今回は、初日のKANDA SQUARE HALLを皮切りに、広島・BLUELIVE HIROSHIMA、宮城・仙台PIT、大阪・GORILLA HALL OSAKA、福岡・福岡トヨタホールスカラエスパシオ、東京・Zepp Shinjuku (TOKYO)、愛知・DIAMOND HALL、そして結成2周年記念日に行われる東京・Zepp DiverCity(TOKYO)と全国6都市8会場で計14公演を実施。このツアーに向けてメンバーが年明け早々から強化合宿をするほどの気合いを見せており、その成果がまず初日公演で示されることとなった。
<以下、ライブ内容についてのネタバレを含みます。ご注意ください。>

 ツアー初日の会場であるKANDA SQUARE HALLは僕青のメンバーオーディション最終審査が行われた、いわば原点と呼べる場所。そんなスタート地点で、彼女たちはデビューからの1年半でどれだけ成長した姿を見せてくれるのか、期待が高まる。

 工藤唯愛と西森杏弥による影アナで場内が活気付くと、暗転と同時に「僕青のチャイム」がスタート。会場の熱気が急加速すると同時に、フロアは青いペンライトで染め上げられていく。そして、ひとりステージに登場した八木仁愛が「さあ、青春が始まる!」と告げると、続いて安納蒼衣がスネアドラムを披露。彼女のリズムに合わせるように青空組メンバーがダンスを始め、ここから始まるライブへの期待感を大いに高めてくれた。その流れから最新シングル「恋は倍速」にてライブが本格的にスタートすると、会場の熱気は一気にヒートアップする。可愛さの中にもカッコよさを散りばめたパフォーマンスは、まさにライブの幕開けにぴったり。その一方で、続く雲組による「青春の旅人よ」では爽快感の強いサウンドとフレッシュさが伝わる歌とダンスで、観る者を大いに楽しませていく。そしてデビュー曲「青空について考える」ではメンバー23人が勢揃いし、大人数だからこその圧巻のフォーメーションを見せ、早くもこの日最初のクライマックスを迎えた。

 最初のMCではメンバーがひとりずつ自己紹介。それぞれが個性豊かなトークを交えながら自己アピールをしていくと、リーダーの塩釜菜那がツアー前に行われた強化合宿について触れる。そして青空組、雲組がそれぞれ傘や布を使った独創的なパフォーマンスとともに「卒業まで」「君のための歌」を披露。普段は可愛らしさが印象的な僕青の面々だが、ここではダンスにおけるストイックさと個々の表現力の高さがオーディエンスにもしっかり伝わり、非常に見応えのあるパフォーマンスを楽しむことができた。合宿を通し、歌やダンススキルにとどまらず表現力も磨き上げたことがわかる瞬間であった。そして、再び23人が勢揃いするとライブ初披露となる新曲「青空ディスコティック」では、どこか懐かしさも感じさせるクールなダンスビートに合わせ、観客は体を揺らしていく。まるでダンスフロアのごとく会場が一体化となり大盛り上がりを見せた。

 2度目のMCは、須永心海を中心とした数名で展開。先ほどの青空組、雲組によるダンスパフォーマンスを振り返り、青空組の塩釜は「歌詞がないので、振りと表情で見せなくてはいけない。私はみんなとは違う世界観を持っていたので、世界観を統一させることによって皆さんにグッと伝わるものがあると思うので、そういう話し合いを初めてしたことで、みんなで作品を作っていく楽しさがわかりました」、雲組の杉浦英恋は「一人ひとりが持っているものを尊重しつつ、ひとつに揃えることを試行錯誤した結果、今回のようなステージになりました。大きく動くところもあれば、ハッと息を飲むような場面もあって、その落差でより良さを見せられたかなと思います」とそれぞれ感想を口にする。また、ツアーで回る各地のご当地グルメをメンバーが紹介する、ほのぼのしたトークも用意され、会場は温かな空気に包まれた。

 ライブ中盤ブロックではユニット曲となる、安納蒼衣、金澤亜美、工藤唯愛による「キッシュ・ラブ」、杉浦英恋、早﨑すずき、持永真奈、八木仁愛、吉本此那による「臆病なカラス」を披露。「キッシュ・ラブ」ではマイクスタンドを使ったキュートさが際立つダンス、「臆病なカラス」では4つ打ちサウンドに乗せて激しいダンスと、対照的なパフォーマンスが展開されていく。そこから雲組による「涙を流そう」、青空組による「スペアのない恋」が立て続けに披露され、ライブは佳境に向けて熱量が高まっていった。

 ライブ後半戦は“Disco Dance Time”と称した、メンバーとオーディエンスがひとつになって踊るコーナーからスタート。手を左右に振り、体を揺らしながら一体感を作っていくと、そのまま「好きすぎてUp and down」へと傾れ込み、天井で煌びやかな光を放つミラーボールとともに多幸感いっぱいの空気を作り上げていく。また、曲中盤ではカッコよさの際立つダンスを見せる場面も用意され、緩急に富んだ構成で観客を魅了。続く「初めて好きになった人」では、冒頭で長谷川によるフルート伴奏に合わせて、杉浦を中心としたメンバーで美しいハーモニーを響かせる演出も用意されるなど、表現者としての成長を感じさせる場面もあった。

 青春感の強い「初めて好きになった人」で会場の熱量が高まると、最後はメンバー23人で「炭酸のせいじゃない」を披露。会場内に無数ものシャボン玉が飛び交う幻想的な空気の中、彼女たちはまっすぐで力強い歌声とハーモニーを響かせてライブ本編を終えた。

 メンバーがステージを去ると、八木がアイドルを目指した理由が語られるナレーションが場内に流れ出す。この演出も、僕青が始まった会場でツアーを始めるからこそ大きな意味をもたらすのではないだろうか。そして、場内から「僕青」コールが自然発生すると、この声に導かれるように衣装替えしたメンバーが再登場。エモーショナルな歌とダンスが印象的な「あの日僕たちは泣いていた」で、会場を感動的な空気で包み込んでいく。

 その後のMCでは、リーダーの塩釜から6月15日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で開催される【結成2周年記念 僕が観たかったワンマンライブ vol.2】に続いて、デビュー2周年記念を祝うワンマンライブ【アオゾラサマーフェスティバル2025】が8月31日に東京・豊洲PITにて実施されることも発表。塩釜が「私たちのデビュー日(8月30日)の次の日なんですけど、本当にスペシャルな楽しいライブにしたいと思っているので、8月31日は予定を空けておいてください!」とファンに呼びかけると、フロアからは温かな拍手が送られた。

 この日のライブを締めくくるラストナンバー「好きになりなさい」では、撮影可能というサプライズも用意。ステージ上の23人は全力を振り絞って目の前のオーディエンスを楽しませたところで、ツアー初日の東京公演は大成功のうちに幕を下ろした。

 すべての楽曲を披露し終えると、塩釜は「最後にちょっと真面目な話になるんですけど……私たちは自分たちの現状に満足しているかと言われたらそうではなくて。まだまだ行けるはずと思っているんですけど、じゃあどうしたら良くなるのかという正解はまだ見えなくて、今は遠回りをしているのかちゃんと進めているのか全然わからないんですけど、とにかく頑張るしかなくて。このツアーでは今までの頑張りとか今やっていることがどんどん実っていくツアーになればいいなと思っています。なので、一つひとつ皆さんに楽しんでいただかないといけないと思うし、もちろんレベルの高いことだとは思うんですけど、僕青23人全力で頑張っていくので、皆さんこれからも見守っていてください!」と力強く宣言。そして、最後に全員で「僕青、全国……行ってきます!」と叫んでからステージをあとにした。

 デビュー2年目に入った僕青は今、“僕青らしさ”と真正面から向き合いながら成長を続けている。そんな中でスタートした今回の全国ツアーが、彼女たちにどんな影響を及ぼすのか。ぜひ全国各地の公演で、その成果を見届けていただきたい。

Text by 西廣智一
Photo by 斉藤明

◎公演情報
【僕が見たかった青空 全国ツアー2025】
2025年3月22日(土)東京・KANDA SQUARE HALL
2025年3月23日(日)広島・BLUELIVE HIROSHIMA
2025年3月30日(日)宮城・仙台PIT
2025年4月6日(日)大阪・GORILLA HALL OSAKA
2025年4月19日(土)福岡・福岡トヨタホールスカラエスパシオ
2025年4月26日(土)東京・Zepp Shinjuku (TOKYO)
2025年4月27日(日)愛知・DIAMOND HALL
2025年6月15日(日)東京・Zepp DiverCity (TOKYO)

<セットリスト>
00. 僕青のチャイム
01. 恋は倍速
02. 青春の旅人よ
03. 青空について考える
04. 青空組パフォーマンス~卒業まで
05. 雲組パフォーマンス~君のための歌
06. 青空ディスコティック
07. キッシュ・ラブ
08. 臆病なカラス
09. 涙を流そう
10. スペアのない恋
Disco Dance Time
11. 好きすぎてUp and down
12. 初めて好きになった人
13. 炭酸のせいじゃない
En01. あの日僕たちは泣いていた
En02. 好きになりなさい(ALLver)


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