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3月15日、Galileo Galilei(以下、ガリレオ)がワンマンライブ【あおにもどる】を東京ガーデンシアターで開催した。3月5日に過去曲の再録を軸にしたアルバム『BLUE』を配信リリースし、その中に唯一収録された新曲のタイトルが「あおにもどる」。この日はそんな作品と連動する形で、「過去の楽曲と新たな未来への展望を融合させた、バンドの集大成となるステージ」となることが告知され、実際にアンコール合わせて全29曲、約3時間に及ぶ濃密な一夜となった。
意外だったのは、『BLUE』の収録曲14曲のうち、この日披露されたのは6曲のみだったということ。ライブ終盤に尾崎雄貴が語ったように、この日のセットリストは「『BLUE』をもう一枚作るとしたら?」がコンセプトだったそうで、意外な選曲がファンにとってはうれしいサプライズに。『BLUE』は昨年同時リリースされたアルバム『MANSTER』と『MANTRAL』の兄弟作とも位置付けられていて、だからこそ今回も「2作」を作ったということかもしれない。
それにしても、ガリレオはやはり「青」が似合うバンドであり、初期の曲を軸としたセットリストは彼らの「青の時代」を振り返るものでもあった。2008年度の【閃光ライオット】で初代王者となり、10代のうちにデビューしたガリレオは、楽曲のみならず、そこから大人になっていく成長過程もファンと共有してきたバンドであり、この日会場を埋めたオーディエンスにとっては、ガリレオの曲を通じて自らの青春時代を振り返るような一夜でもあったに違いない。
開演時刻を過ぎると、雄貴がサイダーの瓶を打ち鳴らし、2012年発表の『PORTAL』に収録されている「スワン」からライブがスタート。〈アヒルのまま アヒルのまま/裸足で君とからんだり 嘆いたりした〉という歌詞も、やはり「青さ」を連想させる。「ロンリーボーイ」では雄貴が手に持った青い花束を最後にフロアに投げ入れ、音源ではAimerをフィーチャーした「バナナフィッシュの浜辺と黒い虹」や、劇場版『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』主題歌である「サークルゲーム」といった人気曲を続けると、序盤のハイライトになったのが「管制塔」だ。
バンド結成後初めて制作された楽曲として知られ、『BLUE』の1曲目に収録されているこの曲は、「音楽を始めたきっかけ」と語るBUMP OF CHICKENの影響がダイレクトに感じられる仕上がりで、まさに彼らの「青の時代」の象徴。そして、2023年にBUMP OF CHICKENの楽曲をカバーして、「僕らのBUMP OF CHICKEN」としてYouTubeで公開してもいるように、かつての憧れが今もバンドの原動力になっていることが伝わってくる。〈どんな未来でも/受け容れるよ 変わらない 僕らのままで〉という歌詞を大人になった今のガリレオが当時と変わらない熱量で歌っているのもグッとくるし、そのうえでサックスをフィーチャーした今のガリレオだからこその形態で表現しているのもとてもいい。
シアトリカルな赤い照明の中で岡崎真輝がボーイング奏法を披露し、岩井郁人も尾崎和樹もアグレッシブなプレイを聴かせた「ブルース」、この日唯一演奏されたBBHFのナンバー「ホームラン」など、ここまでMCを挟むことなく、立て続けに曲を続けていったが、「嵐のあとで」でドラムにトラブルがあって、ここで初めてのMC。「今日このものすごい光景が見れて、テンションがぶち上がってます」と話して、再度「嵐のあとで」をやり切ると、続いては岩井のアコギ一本で「くっそたれども」を披露。〈今までありがとう それからごめんなさい〉と歌うこの曲に続いて、「ありがとう、ごめんね」が演奏されたのはニヤリとさせられたし、『PORTAL』の曲順通りに「Blue River Side Alone」から「青い栞」が続けて演奏されたのもうれしい。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 のオープニング・テーマだったことも含め、やはりガリレオの「青」のイメージを決定づけているのはこの曲だと言っていいだろう。
ライブ後半では「オフィーリア」や「汐」といった最近の楽曲も演奏されて、過去と現在をつなげると、「星を落とす」で壮大なサウンドスケープを立ち上げて、この日のハイライトとなったのが本編ラストの「Sea and The Darkness Ⅱ」から「あおにもどる」の流れ。〈あおのなかにはいない〉〈僕の中で黒は黒のまま〉と歌う「あおにもどる」は、自分がいるのは常に闇の中であり、しかしその闇をネガティヴなものとして捉えるのではなく、そこでいかに自分らしく楽しめるかが重要だという雄貴の哲学の表れであり、〈闇夜の中では全てが黒色〉と歌う「Sea and The Darkness Ⅱ」と続けることによって、その姿勢にブレがないことを伝えていた。そして、そんな闇も振り返ったときには眩しい青春に見えるということが、この2曲からは確かに感じられた。
また、「あおにもどる」はBUMP OF CHICKENと同様に雄貴が10代の頃から好きで、コピーバンドもやっていたというくるりへのリスペクトを感じる楽曲で、〈気の抜けた古いサイダーを/ばらの花束にぶちまけた〉という歌詞もそうだし、ピアノを用いたシーケンス・フレーズも「ばらの花」を彷彿とさせるもの。止めた時間を元に戻して、あの頃の憧れをもう一度今に再生するような、素晴らしい名演だった。
アンコールでは、カラフルなペンライトがフロアを埋めた「SPIN!」、メンバー紹介も交えての「あそぼ」と再び近年の楽曲を続け、「1234!」の合図から「恋の寿命」を演奏すると、「僕らはファンのみんなと一緒に、青に戻りながら先に進んでいくことができると思っています」と話して、この日最後に披露されたのは、彼らの始まりの場所をタイトルに冠した「稚内」。弦楽器の3人が広いステージの中央にいる雄貴に近づいて演奏する姿は狭いガレージで演奏しているような親密さがあり、〈イギリスかぶれの家出少女〉と歌うこの曲でタンバリンを打ち鳴らし、手を後ろに組んでリアム・ギャラガーのマネをする雄貴の姿もやはりあの頃の憧れのままだ。そう、時間を巻き戻すことはできないし、誰もが等しく大人になっていく。それでも僕らは青に戻りながら先に進んでいけるのだということを、この日のガリレオは見事に証明してみせた。膨らむ音楽。僕らのパレードは続く。
Text:金子厚武
Photo:Masato Yokoyama
◎公演情報
【あおにもどる】
2025年3月15日(土)
東京・東京ガーデンシアター
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