<ライブレポート>WurtS「今日は最高の夜をありがとう!」初武道館で放った22曲

2024年11月5日 / 18:00

 2021年のデビュー以降、総ストリーミング再生数がすでに4億回を突破し、新世代アーティストとしてその存在感を高めているソロ・アーティストWurtSが、10月31日に東京・日本武道館でワンマンライブ【WurtS LIVE AT BUDOKAN】を開催した。その前日には、自身にとって通算2枚目となるフルアルバム『元気でいてね。』をリリースしたばかりのWurtSだが、この日のライブもそのアルバムからの楽曲を中心に、新旧のヒット曲を織り交ぜた圧巻のパフォーマンスを繰り広げた。

 武道館に到着すると、すでに会場にはWurtSのグッズを身に付けたティーンエイジャーたちが大勢詰めかけている。定刻を過ぎ、突然暗転した空間に驚きと喜び、そして興奮が入り混じった歓声がどっと湧き上がる。ステージ後方のスクリーンに映し出されたショートムービーとともに、サポートメンバーの新井弘毅(Gt.)、黒川バンビ(B.)、城戸紘志(Dr.)、そしてウサギ(DJ)が登場。遅れてWurtSが姿を現すとフロアから割れんばかりの拍手が響き渡り、まずはアルバム『元気でいてね。』でも冒頭を飾る「STARDUST」でこの日のライブは幕を上げた。ピアノとホーンをフィーチャーしたグルーヴィーなサウンドに身を委ねていると、間髪入れずに演奏されたのは「NOISE」。眞栄田郷敦の主演で実写映画化された『ブルーピリオド』の主題歌として書き下ろした楽曲で、ざらついたオルタナティブ・サウンドとWurtSの儚さと力強さを併せ持つ歌声が会場内を満たすと、フロアは最初のピークを迎えた。

 続く「コズミック」では色とりどりのレーザービームが無数に飛び交うなか、エッジの効いたポストパンク・サウンドを放ち、会場はたちまち興奮の渦と化す。間髪入れず、「ふたり計画」のイントロが鳴らされた途端、悲鳴にも似た歓声があちこちから上がる。短編映画『いつか回り回って恋人に戻れたら幸せです』の主題歌に起用されたこの曲は、やさぐれた地声で歌うヴァースと、美しく透き通るようなファルセットで歌うサビのギャップが特徴的。「純猥談」(性愛にまつわる誰かの体験談)がテーマであるこの短編作品が持つ、聖と俗、美と醜、光と闇のコントラストを象徴しているかのようだ。

 「ぶどうかーん!!」と叫ぶWurtS。「これ、言ってみたかったんです(笑)。改めましてWurtSです。ワンマンは久しぶり、今日は最後まで楽しんでいきましょう」と簡単に挨拶し、「武道館、いけますか? 楽しむ準備はできてますか?」とオーディエンスを煽った後、エッジの効いたギターリフをかきむしり、「オブリビエイト」へ。再び武道館に無数のレーザービームが飛び交い、サビではオーディエンスが自然発生的に手を上空にかざしてウェーブを作っていた。

 その後も16ビートを強調したグルーヴィーな「SF東京」と「遊星X」を畳みかけ、エナジードリンクのZONeとのコラボ企画で生まれた「BOY MEETS GIRL」では、典型的な「ボーイ・ミーツ・ガール」という言葉への皮肉をラップに込めて放つ。そしてアコギを抱えたWurtSが、シンプルなバンドアンサンブルに乗せメランコリックかつノスタルジックな「BACK」のメロディを切々と歌い上げた後は、彼とウサギだけがステージに残り、DJセットで「ライフスタイル」「タイムラグ!」「SWAM」そして「SPACESHIP」をスピン。轟くような重低音とポップかつダンサブルなトラックが鳴り響き、武道館はあっという間にダンスフロアと化した。

 再びバンドメンバーがステージに現れ、ここからはキーボードとホーンセクションも加わったフルバンドでのライブ。バックスクリーンに「SOULS」のロゴが浮かび上がると大歓声が響きわたり、続く「ミスサンシャイン」ではポケットを片手に突っ込んだまま、不敵な佇まいで挑発的なラップを繰り出すWurtSの姿を、食い入るように見つめるオーディエンスの姿が印象的だった。

 2022年のEP『MOONRAKER』の表題曲では、まさにミラーボールが月のように輝く。この曲の歯切れよいホーンセクションを、生の演奏で聴くのはやはり格別だ。「みんな、踊れますか?」とWurtSが呼びかけ、ディスコチューン「リトルダンサー」のキャッチーなイントロが流れ出した途端、オーディエンスのボルテージは最高潮に。「もっと歌いたくないですか? もっと踊りたくないですか?」とWurtSがさらにフロアを焚き付け、EDM曲「Talking Box (Dirty Pop Remix)」で特効の炎がステージ上で次々と上がる中で熱唱した。「今日は最高の夜をありがとう!」と叫んだWurtSが、「エヴォリューション」のどこまでも駆け上がるようなサビを歌い上げ、それと同時に紙吹雪が舞い、武道館は圧倒的な多幸感に包まれた。

 最後にWurtSがエレキギター1本で「YOU AND I」を演奏し本編は終了。鳴り止まない拍手と「分かってないよ」の大合唱がフロアから自然発生的に巻き起こり、アンコールでは「spellbound」とその「分かってないよ」を演奏し、全員でサビをシンガロングし会場を一つにしてこの日のライブに幕を下ろした。

 終演後、2025年1月から2月にかけて行われるWurtSのツーマンツアー【WurtS LIVEHOUSE TOUR IV】のゲストが発表され、ステージのバックスクリーンにyama、Saucy Dog、Chilli Beans.、クリープハイプ、にしな、[Alexandros]、PEOPLE 1、UNISON SQUARE GARDEN、ASIAN KUNG-FU GENERATIONなど新進気鋭のアーティストからベテランまでの名前が次々に上がり、そのたびにオーディエンスの歓喜の声が鳴り響いていた。

Text by 黒田隆憲
Photos by Takeshi Yao、小杉歩

◎セットリスト
【WurtS LIVE AT BUDOKAN】
1. STARDUST
2. NOISE
3. コズミック
4. ふたり計画
5. オブリビエイト
6. SF東京
7. 遊星X
8. BOY MEETS GIRL
9. BACK
10. ライフスタイル
11. タイムラグ!
12. SWAM
13. SPACESHIP
14. ソウルズ
15. ミスサンシャイン
16. MOONRAKER
17. リトルダンサー
18. Talking Box (Dirty Pop Remix)
19. エヴォリューション
20. YOU AND I
EN1. spellbound
EN2. 分かってないよ

※セットリストがプレイリストとして配信中
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