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10月12日、山梨・河口湖ステラシアターでMorfonicaのコンセプトライブ【Morfonica Concept LIVE「ff」】が開催された。
Morfonica(モニカ)はアニメ、ゲーム、多彩なコンテンツでいくつものガールズバンドの物語を追うメディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」(「バンドリ!」)の登場キャラクターの担当声優で結成された“リアルバンド”のひとつ。2020年の結成以来、楽曲制作やライブを積極的に展開しており、2023年末にはミニアルバム『forte』を、2024年5月には6th シングル『両翼のBrilliance』、10月には両A面となる7th シングル『Tempest/Wreath of Brave』を発表している。
また、昨年夏にはミニアルバムと同名のZeppツアー、さらに今年4月には同名のコンセプトライブを開催しており、今回の【ff】はその流れを受けたライブ第3弾。ツアーとミニアルバム、コンセプトライブで描かれたメンバーの苦悩や葛藤の先の物語を紡いでみせた。
定刻、「バンドリ!」ファン、通称・バンドリーマーがめいめい手にしたメンバーカラー5色のペンライトの光であふれかえった河口湖ステラシアターに登場した直田姫奈(桐ヶ谷透子役・Gt.)、西尾夕香(広町七深役・Ba.)、Ayasa(八潮瑠唯役・Vn.)、mika(二葉つくし役・Dr.)は『forte』のオープニングナンバーにして八潮瑠唯をフィーチャーした「フレージング ミラージュ」をドロップ。瑠唯による流麗なリードバイオリンを背に、ステージ中央の階段ステージに進藤あまね(倉田ましろ役・Vo.)が姿を現すと、5人はバンドのこれまでを清算するかのように『forte』の楽曲群をトラックリストどおりに一気に畳みかける。
透子がハードなギタープレイとは裏腹に軽快なステップを踏む「MUGEN Reverberate!」、七深の奏でる不穏なベースラインが楽曲を牽引する「わたしまちがいさがし」、そのアウトロで鮮烈なドラムソロを聴かせたつくしが、勢いそのままにブラストビートを繰り出す「esora no clover」、ましろが<苦しいよ それでも息して>と苦悩を叫ぶ「きょうもMerry go rounD」を5連投したところで、メンバーはいったんステージをあとに。それと同時にキャラクターたちのポエトリーが流れ出す。
この日のライブはキャラクターの苦悩や葛藤とその克服、さらに今と未来、それぞれ4つの姿を示唆する楽曲群と、その楽曲の寓意や彼女たちの心の内を明かすポエトリー朗読パートで構成されていた。『forte』の収録曲とそれに寄り添う言葉の数々でかつての自身の“葛藤”を吐露したモニカはそれまでの深い紺色に染まった衣装から、ベレー帽が特徴の新衣装を身にまとい登場。七深のクレイジーなスラップベースで幕を開け、透子と瑠唯のソロバトルで魅せた「両翼のBrilliance」、ましろのボーカルと楽器隊のコーラスワークがポジティブに響く「fly with the night」、ライブでは初披露の楽曲ながら、高速8ビート、ツービート、四つ打ちと変幻自在なつくしのドラムがバンドリーマーを踊らせた「蒼穹へのトレイル」でキャラクターの葛藤と対峙し、“克服”しようとする。
その後「灰色の世界をたくさん彷徨った先に、あなたたちが居てくれたよね」と、メンバーとの出会いによって自身の苦悩の解決の糸口を見つけたドラマの先に待っていたのは、“今とこれから“の自身を見据えた5人の姿だった。7色のライトが飛び交うステージでメンバーが思い思いのステップを踏み、ましろが<悲しみだけで終わらせてはいけない>、<私たちは諦めたりはしない>と歌い上げる「誓いのWingbeat」、<たった一つだけの(私たちの夢を)連れてゆくよ 望む方まで>と、まさに“希望の炎”を燃やす「flame of hope」を連射。さらにメンバー自ら『forte』で自身の苦悩を言葉にする強さを手に入れたキャラクターたちのアンサーソングだと語る最新ナンバー「Tempest」を投下。ましろ、透子、七深、つくし、瑠唯が横に並びバンドリーマーたちを煽りに煽って、割れんばかりの歓声を集めていた。
ましろの「みんなが居てくれたから、この景色を見れたんだよね」というセリフとともに、仲間や音楽への<ありがとう>を何度も繰り返す友情賛歌「音がえしのセレナーデ」をパフォーマンスしたところで、ライブは最終盤。ジェントルでかわいらしいアンサンブルに乗せて<世界は ただ美しくて><あなたと一緒に let’s sing>と歌う「金色へのプレリュード」ではそのリリックに応えるかのようにバンドリーマーたちのシンガロングが巻き起こる。そしてライブ本編のラストナンバーは、この日の会場・河口湖ステラシアターでミュージック・ビデオを撮影したというデビュー曲「Daylight -デイライト- 」。ビートに合わせてジャンプを繰り返すバンドリーマーたちと大合唱を繰り広げた。
バックステージでのキャラクターたちの姿を思わせるコミカルなボイスドラマののちに巻き起こった客席からのアンコールを受けたメンバーは、バンドやキャラクターの物語を背負っていたそれまでのシリアスな横顔から一転、進藤が「アンコールでは本人に戻ってのトークです」と笑ったとおり、リラックスムードに。2025年4月19日に東京・豊洲PITでワンマンライブを開催することをアナウンスしつつ、四つ打ちダンスロックやサーフロックをミックスしたラブリーな「メランコリックララバイ」と、ステラシアターのような大バコによく似合うスケール感のある正統派邦ロック「寄る辺のSunny, Sunny」を披露して、昨年のZeppツアーから続いたライブ第3弾の幕を下ろした。
……かと思いきや、ここでまたもメンバーの様子が一変。再びキャラクターをまとった5人は“あの曲”をもう一度プレイしようと画策するエチュードののち、あらためて「Daylight -デイライト- 」をプレイ。バンドの始まりの地で始まりの歌を、装いも新たに純白の初期衣装でパフォーマンスする演出でこの日一番の熱狂を生み出し、今度こそコンセプトライブを締めくくった。
シングル『Tempest/Wreath of Brave』リリース時のインタビュー(<インタビュー>進藤あまね×Ayasa、4年間で培ったキャラクターたちとの共感とは――ニューシングル『Tempest/Wreath of Brave』)で進藤は、音楽の力のみで5人のキャラクターの内面を追う『forte』を制作できた自負を語っていたが、今回の公演はその最新版。モニカメンバーは、セットリストや構成の妙、そして自らのパフォーマンスだけを武器に自身の現在と未来を描ききるという、まさに“強く”を意味する音楽用語「forte」の向こうにある“極めて強い”【ff】なライブを繰り広げていた。
最後にあらためて取材時の進藤の言葉を借りておこう。「モニカ、鬼カッコいいな」。
Text by 成松哲
◎公演情報
【Morfonica Concept LIVE「ff」】
2024年10月12日(土)
山梨・河口湖ステラシアター
<セットリスト>
01. フレージング ミラージュ
02. MUGEN Reverberate!
03. わたしまちがいさがし
04. esora no clover
05. きょうもMerry go rounD
06. 両翼のBrilliance
07. fly with the night
08. 蒼穹へのトレイル
09. 誓いのWingbeat
10. flame of hope
11. Tempest
12. 音がえしのセレナーデ
13. 金色へのプレリュード
14. Daylight -デイライト-
<アンコール>
15. メランコリックララバイ
16. 寄る辺のSunny, Sunny
17. Daylight -デイライト-
【Morfonica単独ライブ】
2025年4月19日(土)
OPEN 17:00 / START 18:00(予定)
東京・豊洲PIT
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