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10月18日、シンガーソングライターのeillが東京・東京国際フォーラム ホールCにて【BLUE ROSE TOUR 2024】のファイナル公演を開催した。本稿では、観客の心を包み込むかのような、温かな同公演の様子をレポートする。
オープニングSEが流れると、まずはバンドメンバーが登場。続いて白いパンツにグレーのトップスをまとったeillが姿を現す。「東京! Everybody clap!」という言葉で「BAE」からライブがスタートする。心地良いサウンドに会場からはクラップが巻き起こったり、観客はゆらゆらと体を揺らしたり。そんな様子を見て笑顔になったeillがスタンドからマイクを外すと、ピンクの照明に包まれる。「FAKE LOVE/」だ。どこか挑発的な雰囲気のeillはステージの右手に進むと、歌いながらファンの手を取る。会場には羨望と興奮が混ざったような声が巻き起こっていた。「皆さんこんばんは、eillです。最後まで一緒に歌って踊っていきましょう!」とシャウトして始まったのは「罠」。同ツアーはバンド編成でのライブで、eillの楽曲が持つグルーヴがより際立っていた。
「元気でしたか?」というeillの言葉に「イエーイ!」という大きな返事が返っているのを見ると、観客が彼女のライブを心待ちにしていたことが伝わってくる。「声出していけますか、東京!」と声を出させたところで、「OK、レッツゴー!」と楽しそうに飛び跳ねながら「25」をスタートさせる。さらに「ただのギャル」ではステージ上をゆっくり歩いたり、オーディエンスを煽ったり、センターポジションにしゃがんでみたり。楽曲の世界観を醸成していた。「Succubus」と「初恋」のリミックスと続き、「happy ending」のイントロが流れると会場からは拍手が。美しい情景が浮かんでくるような同曲に観客はじっくり聴き入っていた。
eillの音楽を存分に披露したところで、「みんなを、曲を作っているお部屋にお招きするというコンセプトでやっていこうと思います」と語り、バンドメンバーとともにステージ中央の部屋のセットの前に集合する。ブラウン管のテレビが3つ置かれているのを見た宮田‘レフティ’リョウが「eillちゃんの部屋、テレビ多すぎない?」と言うと、eillは「思った。私の実家にブラウン管のテレビがあって、今回これにしたんだけど」と、ちょっとした裏話も。
そんな中、早速ホームセッションがスタート。箱の中に事前にInstagramで募集したリクエスト曲が入っており、それをメンバーたちが釣り上げて披露していく形式だ。「みんなは何が聴きたい?」と質問すると会場からは次々と曲名が挙がっていたのだが、ここでeillが取り出したのは双眼鏡。「今日さ、私みんなの顔が見たくて。双眼鏡を持ってきたの」と会場を見渡していく。「めっちゃ見える! 毛穴まで見える!」、「みんな手振ってるよ!」とはしゃぐ姿がかわいらしい。バンドメンバーたちの自己紹介を経て、いざセッションへ。まずは「プレロマンス」を披露すると、「みんなも一緒に歌おうよ!」と「20」と続き、アットホームな空気が広がっていく。次に釣り上げたのは「星」マーク。これは会場からのリクエストに応えるというもの。1階から3階まで何が聴きたいか聞いていくが、もちろんなかなか意見はまとまらない。バラバラの曲名が叫ばれていく度、彼女の様々な曲がリスナーに刺さっていることを実感する。結果、「palette」、「踊らせないで」、「MAKUAKE」、「special girl」と贅沢に4曲も披露! 大盛況でホームセッションコーナーを終えた。
暗転が明けてステージ上に残ったのは、eill一人。「夏の終わりに書いた、片っぽな恋の歌を届けます」と、ピアノを弾きながら「片っぽ」を歌っていく。その音色と歌声は実に美しく、歌詞の一言一言が心に届いてきた。バンドメンバーがステージに戻ってきたところで、「happy ever after」へ。その圧巻の歌声に、アーティスト名の由来である癒やしの女神「エイル」の姿を見たかのようだった。さらに「人生って大変なこともあるじゃないですか。私思うんです。鎧を被ってしまっている時があるなって。傷つかないように、気づかないように。だってそうしないとこの世界は悲しいことはたくさんあって、全部見てしまうと苦しくなってしまうから」と語るeill。「そんな自分を守るために付けた鎧が気づいた時に重くのしかかって。足がすくんで、もう歩けないよっていう時がある。もう頑張れないよっていう時がある。そんな夜、あと一歩勇気が足りない時、いつでも呼んでほしい。イヤホン越しにエールを届けます。みんながみんなのスポットライトになれるように。みんながみんなのヒーローになれるように。みんながみんなの人生に光を当てられるように」と心から語りかけ、「SPOTLIGHT」へと繋がっていく。手を上げたり、声を出したり、クラップをしたり。そして最後はこの日一番の歓声がステージに送られていた。
ここから一気にラストスパート。「23」、「ここで息をして」とバンドサウンドが映えるナンバーで畳み掛けていく。本編最後は「WE ARE」。コール&レスポンスもしっかり決まっており、〈WE ARE, WE ARE ずっとひとりぼっちさ〉という歌詞とは裏腹に、これでもかというほど一体感を高めて本編に幕を下ろした。
「アンコールありがとう!」と再び登場するeillとバンドメンバー。10月9日にリリースされたニューアルバム『my dream box』に収録されている最新曲の「革命前夜」が始まると自然とクラップが巻き起こり、再び盛り上がりを見せる。アンコール2曲目となる「Baby, with u」では、客席に降りてファンと触れ合うというサプライズも! ステージに戻ると「びっくりしました?」といたずらっぽい笑顔を見せた。最後は「すごく幸せな時間でした。今日っていうものは今日しかなくてさ。時間ってたくさんあるように見えてあっという間に過ぎてしまうから。そんな大切なみんなの時間を私のライブに来るっていうことを選んでもらえただけで本当に嬉しくて。かけがえのないものです。ありがとう」と挨拶。ツアータイトルを体現したような青い光に包まれながら、「フィナーレ。」でライブに幕を下ろした。
Text by 高橋梓
Photos by tatsuki nakata
◎公演情報
【BLUE ROSE TOUR 2024】
2024年10月18日(金)
東京・東京国際フォーラム ホールC
▼セットリスト
1. BAE
2. FAKE LOVE/
3. 罠
4. 25
5. ただのギャル
6. Succubus~初恋
7. happy ending
8-13. Home Session
プレロマンス
20
palette
踊らせないで
MAKUAKE
special girl
14. 片っぽ
15. happy ever after
16. SPOTLIGHT
17. 23
18. ここで息をして
19. WE ARE
EC1. 革命前夜
EC2. Baby, with u
EC2. フィナーレ。
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