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2024年6月23日、我儘ラキアが3月からスタートしていた結成8周年ツアー【WR 8th ANNIVERSARY TOUR】のファイナルを東京・Spotify O-EASTで開催し、生バンドと共に圧巻のステージを魅せた。
十字架のオブジェやディストピア的な背景が映し出されたバックスクリーンが目を引くステージ。暗転すると、スクリーンにグループ結成時から現在にいたるまでの映像を交えたイントロVTRが映し出される。現在とはかなり異なる雰囲気を帯びた初期の映像から近年のものに移り変わる様子を見ていると、我儘ラキアのこれまでの歩みと変化を実感する。
バンド、そしてメンバーのスタンバイが完了すると、星熊南巫のエモーショナルな歌唱で「Vertex」でライブはスタート。電子的でクールな質感の音像だが、そこから滲み出る熱さに心を揺さぶられる。1曲目からファンも凄まじい音量でコール・アンド・レスポンスやシンガロングを響かせる。「行くぞ!」とメンバーが煽ると、ヘヴィでスピーディーな「SURVIVE」で一気に会場をヒートアップさせる。空気を一変させるMIRIのアグレッシヴなラップも凄まじい迫力だ。フロアは早くもモッシュ・ダイブの海と化している。
「8周年お祝いしに来てくれてどうもありがとう!」と感謝を伝えると、パンキッシュに疾走する初期曲「Reboot with…「」」へ。Lと海羽凜の掛け合うヴォーカルや、間奏でのダンスなど、我儘ラキアの多面的な魅力が次々と繰り出されていく。続く「reflection」でパーティー的な一体感を作り出すと、そこから「GIRLS」で一気に会場をクラブに変貌させる。バンドサウンドが鳴りを潜める、グループにとっても変化球的なサウンドの曲だ。この「GIRLS」が予想を遥かに上回る一体感と盛り上がりを生み出していたのは筆者としても衝撃だった。
「ついに来ました、O-EAST!この日を待ちに待って、すごく楽しみにしてきました。とにかく今日は皆のことを楽しませて、世界一ハッピーな人にして差し上げます(笑)」- 星熊南巫
ここからは怒涛の流れに突入する。MIRI→L→星熊→海羽の順に個性豊なラップを繋いでいく我儘ラキア流自己紹介ソング「IDOl」をダンサーと共に披露すると、a crowd of rebellionが提供したヘヴィチューン「Re:Paint of the [Heart:Hurt]」、フロア全体がジャンプで揺れ、ウォール・オブ・デスも発生した「Bite Off!!!!」と繋いでいく。直前のMCで「過去イチで激しい曲が詰まっている」とメンバーが話していたが、その言葉に偽りなし。
会場全体が振りコピで一つとなった「Leaving」。巨大なモッシュピットやツーステップなどが出現するほどファンを沸かせた「Trash?」。我儘ラキアの“始まりの曲”として昔からライブを支えてきた疾走曲「ゼッタイカクメイ」。背中を押す歌詞が切なげなメロディに乗る「My life is only once」。活動初期からの名曲たちで畳み掛けたブロックは、ノスタルジーを感じさせつつ、音源リリース時から何倍も進化している“我儘ラキアの現在”の高レベルさを再認識させるものだった。また、今では定番曲ではあるものの、「Leaving」はもともとLが加入前に所属していた我儘ラキアの盟友グループNEVE SLIDE DOWNから引き継がれた曲。そんな「Leaving」が周年ライブでも披露されていることも、歴史を感じさせる粋な選曲だった。
「ずっとO-WESTにいたんですよ。実家に帰る以上に。今年はこうやってO-EASTという大きな場所でライブができてとても嬉しいです」と星熊が話す。「8周年ですが、ずっとこのメンバーでやってきたわけではなくて、辞めていったメンバーもいるけど、今の我儘ラキアが“本当の我儘ラキア”だとここ数年思っています」
MCからの流れで“昔だったら歌えてない曲”と紹介された「M」では前ブロックから一転して最新を叩きつける。次々と展開していく曲に哀愁溢れる歌詞が巧みに混ざり合う。そこから、再び登場したダンサー達と共に芸術的なステージを演出した「JINX」、「Ambivalent」と繊細な表現が光る、MIRIのラップスキルの高さが存分に発揮された2曲を経て、美しいピアノの旋律と共にラウドな「rain」で再びボルテージを上げていく。
日々活動していく中で、思うようにうまくいかない瞬間や不安になる瞬間があることについて触れ、順風満帆に見える他グループと比較してしまうこと、それによってSNSも見たくなくなってしまうと星熊が赤裸々に語り「そんな中でステージに立つと、みんなが満面の笑みで“僕たちが、私達がいるよ!”って迎えてくれる。それに今回のツアーで本当に救われました。心からありがとうございます」「もっとみんなをフェスとか大きい所に連れていきたいと思ってる。(その段階に)一回行きかけたし。今は何かが足りないみたい。でも、この試練を必ず乗り越えて皆を色んな所に連れていきたいです。共に頑張ってきた自分たちとファンの皆さんならなんだってできると思うし、どこだって行けると自分たちは信じています。いつか大きな舞台で、自分たちが過ごしてきた日々は間違いじゃなかったと胸を張って皆と歌う日が来るように頑張るので、どうかよろしくお願いします」と泥臭く力強い決意をファンに届けた。
感動的なMCから始まったのは「Days」。パンキッシュに駆け抜ける音像はMCの内容もありフロアに暖かい一体感を生み出す。後半では会場中がシンガロングするという、ファンとグループの絆を強く感じる瞬間を目撃することができた。そして、各メンバーの感情表現が絶品なロックバラード「One」を経て、本編ラスト「GR4VITY G4ME」へ。「何歳からでもやれるって証明してみせます。皆も、頑張れとは言わない。だけど負けんな。絶対負けんな!嫌な奴に、ムカつく奴に、絶対負けんな。自分の人生は一度きり。負けたらそれで終わり。そんなの悔しいよね?我儘ラキアと一緒に、これからも力強く生きましょう」と星熊が宣言してから始まったこの曲。メンバーの猛々しいパワフルなパフォーマンスはあの場にいた全員を痺れさせただろう。それくらい圧倒的だった。
アンコールでは、英語詞が特徴的なバラード「FLASHBACKS」をまず披露。都会的などこか冷たい空気感を帯びた旋律に会場も酔いしれる。そして、オールラストには初期からの人気曲「Melody」が投下された。ポジティブで疾走感溢れるサウンドに載せ、再び大勢のダイバーが出現。美しいカオスがフロアに広がり、大団円を迎えた。
随所で星熊が話した決意。8周年という記念すべき公演で届けられたメッセージだからこそ、より聞く者に刺さっただろう。MCで彼女が言った通り、今のメンバーになってからの我儘ラキアは非常にバランスが良い。星熊の巧みな歌唱、海羽の凛とした歌声と華やかさ、Lの声とダンスにおけるパワフルな表現、MIRIのバラエティ豊かなラップ。4人がそれぞれ異なる役割を楽曲内で自然と担っていて、それが違和感なく噛み合っている。楽曲制作もメンバー中心で行われるようになり、中には別プロジェクトでも評価を集めているメンバーがいるように、今の彼女たちはクリエイティブ面で突き抜けている。約5年間共に走ってきているこの4人ならMCで星熊が語った景色もきっと掴めるだろう。そう思わざるを得ない、エネルギーに満ちたツアーファイナルだった。
Text:Haruki Saito
Photos:TERU
◎公演情報
【WR 8th ANNIVERSARY TOUR】
2024年6月23日(日)東京・Spotify O-EAST
<セットリスト>
1. Vertex
2. SURVIVE
3. Reboot with…「」
4. reflection
5. GIRLS
6. IDOl
7. Re:Paint of the [Heart:Hurt]
8. Bite Off!!!!
9. Leaving
10. Trash?
11. ゼッタイカクメイ
12. My life is only once
13. M
14. JINX
15. Ambivalent
16. rain
17. Days
18. One
19. GR4VITY GAME
En:
20. FLASHBACKS
21. Melody
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