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RAISE A SUILENが、6月15日からの2日間、東京ガーデンシアターにて【RAISE A SUILEN LIVE 2024「ESSENTIALS」】を開催した。
今回のライブタイトルに掲げたのは、“ESSENTIALS(=必需品)”。ライブ直前の6月12日には、約4年ぶりとなるアルバム『SAVAGE』もリリースし、彼女たちにとって“欠かせない”素晴らしい楽曲もさらなる拡充を遂げた好タイミングで、今年初となる国内でのワンマンライブを迎えることに。本稿では、筆者が先日担当したインタビューの内容も思い出しながら、2日間の公演のうち、16日開催分の模様を振り返りたい(参考:<インタビュー>Raychell×小原莉子、バンドの自信が大いに表れた珠玉の14曲を語り尽くす――2ndアルバム『SAVAGE』)。
ライブの開幕は、アッパーなロックチューン「BATTLE CRY」から。アルバム収録曲、かつ今回が初披露となったこの楽曲の歌詞には<対等に話したいならここまで上がれ>や<僕らは何倍もの速度で前に進んでる>など、ヒップホップ的なセルフボースティングの言葉が多く並ぶ。そうした表現はライブの現場で、紡木吏佐(DJ/チュチュ役)の挑発的な顔つきと重なることにより、煽りとして一級品になる。2番のラップでは、得意気に右腕をぽんぽんと叩き、歌詞の意味をますます増長させる場面も。
紡木からステージを半時計周りに見れば、常に揺るぎないドラムでバンドを支える夏芽(Dr./マスキング役)、いつ目を向けても表情のキメがすごい倉知玲鳳(Key./パレオ役)、先日のインタビューにて「BATTLE CRY」はギターの切り返しの難易度が高そうだと本人も予想していたが、実際に手元を確認しながらも、ギターを精緻に奏でる小原莉子(Gt./ロック役)の姿が。
そしてもちろん、ステージのフロントラインには、まるで衝撃波のように歌声をストレートに飛ばすRaychell(Ba.&Vo./レイヤ役)も。“ESSENTIALS”のタイトル通り、誰一人として欠かすことはできない。今日もまた、代打のいない最強ラインナップの出番である。
さて、今回のライブではバンド史上初の試みを実施。セットリストのうち、10曲をファンによる事前投票で決めるという、いわば“ベストセレクション企画”である。ランキング形式のアタック映像がスクリーンに流れると、10~8位の楽曲が順に披露されることに。
まずは、小原がかわいらしい笑顔と裏腹に、ゴリゴリのギターをかき鳴らす「Beautiful Birthday」を皮切りに「TWIN TALE」も演奏。取材時にも、倉知演じるパレオのイメージソングと語られていたが、実際に倉知もショルキーに持ち替えながら、まさかの一度、キーボードの方に戻る場面も見られた。なんたる機動力。また曲中、DJブースの前に登場し、紡木が唇をとがらせながら、両手でハートマークを向ける瞬間もあった。フロアの方に背を向けていたため確認こそできなかったが、倉知もまた紡木同様、とろけた表情をしていたと強く、強く信じている。
そこから気になったのは、Raychellと小原のペア。というのも、ここから発表された7~4位のうち、最初に歌唱されたのが「mind of Prominence」だったからだ。この楽曲といえば、小原がRaychellの歌い出しを「“今日は噛むのか? 噛まないのか? ん~、噛んだ~っ!”って、密かに聞き耳を立てながらギターを鳴らしておりますよ」という裏話を、イジワルな笑顔で語っていたのが思い出されたが。実際、小原の方をすぐさま見ると……Raychellの顔を、本当にがっつり覗き、満足そうな表情でギターを鳴らしている。あまりにあからさまで、こちら側まで笑わされてしまった。
周囲のすべてを燃やし尽くすような、ミクスチャーロックの轟音。そのまま「Domination to world」「REIGNING」と、その貴重さを“知る人ぞ知る”楽曲の連続で、さらに高まりの頂点へ。特に「REIGNING」は、Raychellの歌声に普段と違う、どこか幼い印象を抱いたり、ギターもキーボードも“泣きメロ”だったりと、ここまでのステージの雰囲気をまたひとつ、大きく変えていた気がする。
MCを挟んで、5位「POLARIS」、4位「CORUSCATE -DNA- 」までを歌い終えると、ランキングのアタック映像に突如、「HERE COMES A NEW MUSIC」の文字が。カラオケでいうところの“強制割り込み”。ここでついに、アルバム新録曲「V.I.P MONSTER」が初披露された。ライブ開催前には、メンバー直伝の振り付け動画が公開されていたこの楽曲。ステージはもちろん、フロア中が爆踊りをするなか、たとえば2番Bメロの<レビューは★5つ>で、指で宙に五芒星を描いたあと、1、2……と5カウントをしていたRaychell。あまりに大人の余裕を感じさせるゆったりとした振り付けだった。
ランキング楽曲に再び戻り、3位「Sacred world」、2位「OUTSIDER RODEO」と、ライブ終盤に近づくにつれて、バンドリーマーたちもそろそろ“頭を置いていく”時間に。特に「OUTSIDER RODEO」では、倉知が右手でキーボードを叩きながら、左手は自身のツインテールが暴れないよう押さえつつ、身体は左右に大きく揺さぶるというダイナミックさで視線を集める。身体の使える部分はすべて使う、圧巻のパフォーマンス。
そして、映えある投票1位は、梅雨前に常夏バイブスを先取りした「灼熱 Bonfire!」。紡木による「あなたたち~、聴きたかったのはこの曲でしょう~? OK, It’s ESSENTIAL, Bonfire!」の煽りがまさしく、待望の楽曲にフロアの熱量もさらにギアが上がる。というより、この楽曲は主メロよりむしろ、ハイトーンなコーラスを歌うときの気持ちよさに秀でているもの。フロアから湧き上がる情熱が<止まらない>のは言わずもがな。紡木や倉知もまた、自身の担当楽器から乗り出す勢いだったあたり、この楽曲の人気ぶりと、ほかの楽曲にはないエネルギーを痛感させられた。
今回のライブを振り返るとやはり、「Domination to world」「REIGNING」など、これまで披露機会の少ない楽曲も数多く顔を出していたことが印象深い(筆者の知る範囲だと「mind of Prominence」は2022年6月開催の【RAISE A SUILEN×Morfonica「Mythology Chapter 2」】以来、ちょうど2年ぶりの歌唱となった)。セットリストの大半がファン投票で決められたこともあり、バンドリーマーの“お気持ち表明”ではないが、こうしたレア曲に対する彼らの“エッセンシャル”すぎる想いを伝える機会となったのではないだろうか。
また、Raychellはライブ後、「こうやってみんなの声のシャワーを浴びれる時代になってさ。一時期は声出しができない舞台とかさ、富士急で涙したときもあったし」「RAISE A SUILENとしての時間を、メンバーと、スタッフと、そしてバンドリーマーのみんなと刻めていけることは、本当に幸せだなって思います。これは本当に、当たり前じゃないんですよ」と、しみじみと振り返ったが、彼女たちにとってそうであるように、我々の人生においてもまた、ライブ空間と歓声、そこで鳴らされる珠玉の楽曲、そしてなによりRAISE A SUILENの存在が必要不可欠ーー。
2024年、まだまだ<最強のファイブマンセル>に期待を寄せたいと改めて思わされる、参加せずして終われない熱い一夜を過ごした。
Text by 一条皓太
Photo by ハタサトシ
◎公演情報
【RAISE A SUILEN LIVE 2024「ESSENTIALS」】
2024年6月15日(土)、16日(日)
東京・東京ガーデンシアター
<セットリスト>
・DAY1
M1. BATTLE CRY
M2. Repaint
M3. UNSTOPPABLE
M4. Beautiful Birthday
M5. TWIN TALE
M6. mind of Prominence
M7. Domination to world
M8. REIGNING
M9. POLARIS
M10. CORUSCATE -DNA-
M11. V.I.P MONSTER
M12. Sacred world
M13. OUTSIDER RODEO
M14. 灼熱 Bonfire!
M15. EXPOSE ‘Burn out!!!’
・DAY2
M1. BATTLE CRY
M2. Repaint
M3. A DECLARATION OF ×××
M4. Beautiful Birthday
M5. TWIN TALE
M6. mind of Prominence
M7. Domination to world
M8. REIGNING
M9. POLARIS
M10. CORUSCATE -DNA-
M11. V.I.P MONSTER
M12. Sacred world
M13. OUTSIDER RODEO
M14. 灼熱 Bonfire!
M15. HELL! or HELL?
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