<イベントレポート>Tani Yuuki、“特別先行上映会”で新たなツアーの意気込みを語る「“ただいま”って言ってもらえるようなあたたかいライブにしたい」

2024年5月15日 / 12:00

 Tani Yuukiが2023年に行ったホールツアー【Tani Yuuki Hall Tour 2023 “kotodama”】のライブ映像視聴イベントが5月5日、東京・ユナイテッド・シネマ豊洲にて開催。Tani Yuuki本人も登壇し、集まったファンたちと貴重な時間をともに過ごした。12時と15時の2回実施されたイベントのうち、12時の回をレポートする。

 このイベントは、5月8日にリリースされたEP『HOMETOWN』初回生産限定盤に付属するBlu-rayに収録される、2023年12月24日におこなわれた東京・TOKYO DOME CITY HALL公演の映像をいち早く鑑賞できる「特別先行上映会」として行われたもの。イベントは 4月13日の北海道・ユナイテッド・シネマ札幌を皮切りに名古屋、大阪、福岡とTani自身もトーク出演して行われ、この日の東京会場が最終日となる。ゴールデンウィーク真っ只中ということもありたくさんの人が行きかう中、TaniのツアーTシャツやタオルを持ったファンが集まっていた。

 上映時間になると、スクリーンにはオープニングムービーが映し出された。トイピアノのような音色が響く中、植物に囲まれた電話ボックスの中でTaniが受話器を手に取り言葉を発しようとした瞬間、画面いっぱいに映し出されたステージ上のTaniがギターを弾き、ゆっくりと「おかえり」を歌い出す。一斉にステージが明るくなって、華やかな舞台とバンドメンバーたちが映し出された。「盛り上がっていこうぜ、東京―!」と叫ぶ姿、会場の客席がスクリーンに広がっていくと、ライブ会場さながらにグッと熱量が上がった気がした。大観衆の声を一気にステージに集めた「生きる偉人たちよ」、ピアノの演奏が歌を際立たせる「記憶」など、ロックチューンではダイナミックに、メロウな楽曲は楽器と歌の繊細なニュアンスもクリアに聴こえて臨場感たっぷり。モノクロの映像とナレーションを導入に始まった「Unreachable love song」ではダンサブルに会場を揺らし、「夢喰」では会場中がタオルを回す光景が画面いっぱいに広がり、「Life is beautiful」では手を挙げてジャンプするオーディエンス。畳みかける展開に、ライブが終盤へ向けて白熱していく様子が臨場感たっぷりに伝わってきた。

 そして、「この曲はもう僕だけの曲じゃなくて、あなたが聴いて、あなたが重ねて、あなたが繋いでいく、あなたの曲です。一緒に歌いましょう」と歌い出した「W/X/Y」の大合唱で一体となる会場の様子は、映像の大きなハイライトだ。ステージ上の大きなビジョンには様々な映像や歌詞が映し出されて、初めて観る人が楽しめるのはもちろん、会場にいた人も新たな発見ができる、何度もリピートして観たくなる映像となっていた。なお、上映会では本編最後の「最後の魔法」までが上映されたが、Blu-rayにはアンコールも含め収録されている。

 上映が終わると、トークコーナーへ。MCを務めるのは、FM北海道ラジオパーソナリティの森本優。3年ほど前にTaniが札幌でイベントを行った際にMCを務めて以来、番組出演などを通して交流を深めているとのことで、「ラジオを聞いているような感覚で楽しんでください」とお客さんをリラックスさせた。「茅ヶ崎が生んだ、“生きる偉人”! Tani Yuukiさんです!」との呼びこみで、大拍手に迎えられTaniが登壇。「みなさん、来てくれてありがとうございます! 上映会はどうでした!?」と客席に呼びかけると、「めっちゃ良かった!」と答えるファンたち。するとTaniは「Yeahー!」「Yeahー!」と、ライブさながらにコール&レスポンスして盛り上げた。

 今回のイベントについて、「初の上映会イベントで、どんな感じになるのかなと思ってたんですけど、各地すごくあたたかかった。ライブと違う緊張感があったんですけど、でも結果ライブと変わらない感じだったんですよね(笑)。今日、ファイナルの東京会場がいちばんでかいので、今日がいちばん盛り上がると踏んでおります!」と、ツアーファイナルと同じく東京の会場で上映会イベントを行えることの喜びを表した。

 MCの森本から、5月3日に【JAPAN JAM 2024】へ出演した際のセットリストについて話題を振られると、「めっちゃ楽しかった!(セトリについて)来てくれた人はわかったと思うけど、構成を変えたんですよ。『愛言葉』をアカペラで入ってみたり、3曲目に『W/X/Y』をやったりとか。それで最後、『おかえり』で締めたんですけど、お祭りみたいに盛り上がってからの『おかえり』ってめっちゃいいなって。新しい構成でめちゃくちゃ良い盛り上がりでした」と、ライブに欠かせない曲「おかえり」について語った。

 【Tani Yuuki Hall Tour 2023 “kotodama”】について振り返るトークでは、「ずっと温めていたものをみんなに見せられるっていう初日と、追加公演ではサンタ帽をかぶって……映像には映っていないんですけど、サンタ帽をかぶって打ち上げるみたいな、なんだかすごく楽しいクリスマスイブだったなって思ってます」と回顧した。

 さらに森本から「今だから話せるツアーファイナルの話はないですか?」と訊かれたTaniは、「ツアーの途中から、(ライブの)盛り上がったところで、『おかえり』で登場したお立ち台から突然ジャンプをし出すことになったんですよ。大人になってから高いところから飛び降りるってちょっと怖いじゃないですか? 怖いから、ちょっとずつ慣らしていったんです。それで最後、ファイナルでいちばん上からバーって飛んで、ちょっとだけ足を挫くっていう(笑)」と知られざるエピソードを披露して会場を笑わせた。

 「ツアーの最初と最後、変わって行く感じは大きかったんですか?」との質問には、「そうですね。ツアーが始まるまでに準備していくんですけど、実際にやってみないと、「ここはこっちのほうがいいね」っていうのが出てこなかったりもするので。やっぱりライブはひとつも同じものはないですよね」と、ツアー中の変化について語る。またオープニングムービーの、電話ボックスから出てきて受話器を取り「スッ」っと息を吸うシーンについて、「映像の中の自分に合わせるとリアルな自分は「スッスッ」って2回吸い込んじゃうから、息がマイクに乗らないようにしていました」と、初出しエピソードを明かしていた。

 EP『HOMETOWN』について、タイトルや収録曲に込められた思いについても語られた。「『HOMETOWN』という言葉には、故郷っていう意味があると思うんですけど、僕にとっての“HOMETOWN”は神奈川県の茅ヶ崎市という場所で。自分の故郷じゃなくても安心できる場所ってあると思うんですけど、そういうところだからこそ出せる本当の自分とか本当の気持ちっていうのがあると思うし、そういうことをテーマに曲を書きたいなと思っていたんです。茅ヶ崎で過ごした日々を思い返して、その思い出を曲にしたものがあったりとか、そこから旅立ったときの曲があったりとか、旅立ってしばらく経ってから、いろんなことを経験して生まれる葛藤の曲があったりとか、“HOMETOWN”を出てからの一連をまとめたようなEPになっています。新生活が始まってちょっと経った人もいると思いますけど、そんな人の背中を押してくれる楽曲も多いんじゃないかなと思っています」

 EPの初回限定盤は「電話BOX型豪華パッケージ」となっており、ステージから実物を披露。電話ボックスにCDが収納されるという画期的なデザインを、Tani自身が手に持ち客席の端から端まで見せていた。また、リリースイベントも行われること、6月1日からは全国15か所をまわるホールツアー【Tani Yuuki Hall Tour 2024 “HOMETOWN”】が開催されることも告知され、「僕の第2、第3の故郷を作っていきたいというツアーなんですけど、来てくれるみなさんにも『ただいま』って言ってもらえるようなあたたかいライブにしたいなと思っておりますので、本当に家に帰ってくるぐらいの感覚で遊びに来てもらえたら嬉しいです」と意気込みを語った。

 ここで、客席から質問を募りQ&Aコーナーへ。「お気に入りの歴代ツアーグッズってありますか?」という質問に「歴代のかぁ……全部いいんだけど、【多面態】のタオルとか。これめちゃくちゃ目立つんです。フェスとかでこのタオル持ってるとすぐわかる!」と答えると、客席でタオルを掲げるファンも。「去年、Apple Musicだけで3万3,000分聴きました」というアツいファンの「Tani君がいちばん気に入っている曲のフレーズはなんですか?」という質問に対しては、「“葛藤系”の曲だと『運命』かな。〈辿って来た軌跡が道になるんだもの〉」と回答。さらに「こういうポテンシャルがある人たちと出会うっていうところに『Cheers』ですかね」と、曲に絡めた粋なコメントで拍手を浴びた。「あのちゃんの番組(『あのちゃんの電電電波♪』)で『ダンジョン飯』を観ていると言っていましたが、他にはどんなアニメを観ているか教えてください」という質問には、「『転生したらスライムだった件』とか、『月が導く異世界道中』とか。あと『怪獣8号』にめっちゃハマってます。あと、『メタリックルージュ』ですね」と明かした。トークコーナーの最後は、お客さんとの思い出づくりとして、Taniがステージ上からスマホでお客さんの姿をInstagramのストーリーで撮影。客席一面がツアータオルで埋め尽くされた。イベントはあっという間にエンディングを迎えて、Taniの最後の挨拶へ。

 「時間が経つのがめちゃくちゃ早かったです。これまでのツアーに来てくれた方、今日の上映会で初めて僕のライブを観てくれた方も、本当にありがとうございました。“HOMETOWN”ツアーは、すごくあたたかいツアーにしようと思っていますので、次はライブでお会いしましょう! ありがとうございました!」

 お客さんの盛大な拍手に見送られて、リラックスムードで楽しませた上映会イベントは終了となった。

Text by 岡本貴之

◎イベント情報
【『Tani Yuuki Hall Tour 2023 “kotodama”』特別先行上映会】
2024年5月5日(日) 東京・ユナイテッド・シネマ豊洲


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