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2006年にスタートした【PUNKSPRING】。2017年に一度幕を下ろしたものの、2023年から再び開催されている同フェスの2024年版が3月16日~17日に開催された。本稿では、初日となった16日の模様を厳選してレポートする。
オープニングアクトを務めたのは、国内外で注目を集めているガールズ・ラウドロックバンド花冷え。だ。開演時間となりSEが流れると、一人ずつお立ち台でお辞儀をして登場。そして、「【パンスプ】始めるぞー!!」とユキナ(Vo.)が威勢良く叫ぶと「Today’s Good Day & So Epic」でフェスの幕を開けた。初っ端からユキナがのけぞりながらシャウトを行い、マツリ(Gt.)とヘッツ(Ba.)のブレイクダウンでフロアを振動させていく。チカ(Dr.)の高速ツーバスが炸裂する「TOUSOU」では、サイレンと共にサークルが出来始める。「今日はここで色んな伝説が繰り広げられる! いけんのかー!」とオーディエンスを煽りながら「センチメンタル☆ヒロイン」へ。これから始まるフェスのウォーミングアップ以上の仕上がりを見せて、次のアーティストたちに繋いだ。
2017年以来の来日となったユー・ミー・アット・シックス。彼らもまた2025年をもって解散することを表明しているため、今日が最後の来日公演ということになる。初っ端からジョッシュ・フランチェスキー(Vo.)のエモーショナルな歌唱が光る「Deep Cuts」で突っ走っていく。アンセミックな「Fresh Start Fever」や一体感を生む「Lived a Lie」で会場の熱量も徐々に上がっていき、それが「Bite My Tongue」で一気に爆発する。原曲ではブリング・ミー・ザ・ホライズンのオリヴァーも客演しているヘヴィなサウンドにフロアのモッシュも激化。そこからは疾走感が心地よい「No Future? Yeah Right」でさらにギアを上げていく。壮大なバラード「Take on the World」では会場がスマホライトによる光の海に変貌し感動を生んだ。最後はパワフルさが抜群の「Beautiful Way」をアグレッシブに叩きつけると、ファンに別れを告げるという、良い意味で“通常通り”の空気感のままステージを終えた。
【The Peace And The Panic Japan Tour】以来、約6年ぶりに来日したネック・ディープ。SEで松岡修造の名言を使うという演出から、フロアタムが鳴り響く「Dumbstruck Dumbf**k」がスタートした。ベン・バーロウ(Vo.)が「こんにちはー! 【PUNKSPRING】! 私たちは日本が大好きです!」と挨拶して、「Gold Steps」「Motion Sickness」を畳み掛けていく。「Lowlife」が終わる頃には「【PUNKSPRING】は日本で演奏した中でも最高の場所です!」と喜びを露にしていた。また、最新アルバム『Neck Deep』から「Take Me With You」「Heartbreak of the Century」など、楽曲紹介をしながら現在のネック・ディープをパフォーマンスしていく。そして「近いうちにまた会おう。桜のように」と、ラストにエモーショナルなナンバー「In Bloom」を披露。感謝の言葉を述べ、全員が深くお辞儀をしてステージを後にした。
今回の来日直前にジェイ・ワインバーグ(元スリップノット)が新ドラマーとして加入したことが発表されたスイサイダル・テンデンシーズ。現体制は、オリジナル・メンバーのマイク・ミューア(Vo.)に加え、元デリンジャー・エスケープ・プランのベン・ワインマン(Gt.)、さらには元メンバーのロバート・トゥルヒーヨ(現メタリカ)の息子であるタイ・トゥルヒーヨ(Ba.)も所属しているという中々の豪華編成だ。スラッシュ・メタルを取り入れたハードコア・サウンドの鋭利さは衰え知らずで、「You Can’t Bring Me Down」「Freedumb」「Memories of Tomorrow」など連発されるハイスピードチューンに会場は熱狂する。名曲「War Inside My Head」ではギャングコーラスがアリーナを一つにし、「Cyco Vision」では巨大なウォール・オブ・デスが出現するなど、圧倒的なステージを魅せた。「俺はヤクも酒もやったことはない。このバンドでハイになってるんだ」とマイクが語った後、ラスト「I Saw Your Mommy…」でモッシュ/ダイブの海を創り出す。最後にマイクがフロアに突入し、ライブを終えた。
MCで「日本は世界で一番好きな場所です!」とエイドリアン・エストレラ(Gt.)が話したように、親日バンドとして知られているゼブラヘッド。【PUNKSPRING】には2017年以来の出演となった。「俺たちがゼブラヘッドだ! ショーを始めようぜ!」とエイドリアン・エストレラ(Vo.)の掛け声でライブがスタートする。「No Tomorrow」では「いち、に、さん!」と日本語でジャンプを促したり、「Hello Tomorrow」では手拍子と共にシンガロングが生まれたり、「Into You」では一緒にタオルを回したりと会場を盛り上げていくゼブラヘッド。これまでも多くの日本公演を行っていることもあって、日本人の心をグッと掴むパフォーマンスを見せてくれる。そして、オーディエンス全員で拳を突き上げて歌ったメロディアスな「Rescue Me」「Playmate of the Year」では、熱狂の嵐を作り上げていった。
初日のヘッドライナーを努めたのは、ポップパンクというジャンルを代表する世界的人気バンドのSUM 41。彼らが2024年から2025年にかけて開催するラストツアーを最後に解散することを発表した時、どれだけの人がショックを受けたかは計り知れない。ジャパン・ツアーも今回が最後ということで、大勢のファンが【PUNKSPRING 2024】初日最後のアクトに集結した。「Motivation」で始まったセットはいきなりボルテージがマックス状態だ。同曲の終わりに「88」のスラッシュ的なアウトロをくっつけるおなじみのアレンジに早くも多数のサークルピットが出現する。そこからは「The Hell Song」「Over My Head (Better Off Dead)」「No Reason」と2nd~3rd収録の大名曲たちを惜しみなく畳み掛けてくるという怒涛の展開に。どの曲でもシンガロングが発生し、フロアは一面モッシュ/ダイブによる熱狂の渦に。さらに、パワフルな「Out for Blood」、王道ポップパンク「Underclass Hero」、そして3月29日発売のラスト・アルバムから「Landmines」を立て続けに披露していくが、こうして異なる時期の楽曲が違和感無く繋がっていくのも流石だ。
「メタルヘッズに捧げるぜ」というデリック・ウィブリー(Vo./Gt.)の言葉から始まったのは、SUM 41のディスコグラフィーの中でも一際ヘヴィな「We’re All to Blame」。ポップパンクとメタルを組み合わせたこのサウンドは唯一無二だ。その後もバラード「With Me」や初期チューン「Makes No Difference」、さらには2ndアルバムから「My Direction」「No Brains」「All Messed Up」のメドレーまで飛び出す。これらの楽曲と共に青春を過ごしたファンも多いだろう。会場の熱狂にはその思い出をそれぞれが振り返っているようなセンチメンタルな雰囲気も滲み出ていた。クイーンのカバーを経て突入した終盤戦では、このバンドのみならず、2000年代前半を代表すると言っても過言ではないヒット曲が次々と投下される。大胆にラップを取り入れた「Fat Lip」、 壮大なコーラスでエモーショナルに疾走する「Still Waiting」、そして会場全体のジャンプで揺れ続けた「In Too Deep」でバンドはステージを去った。
当初はアンコールは予定されていなかったアンコール。日本のファンの鳴り止まない歓声にバンドは応え、最初期の楽曲「Summer」を贈り、ファンも本当の最後を噛み締めながら熱狂する。ライブ中、デリックはMCで「みんなは俺たちにとって本当に特別なんだ。今までありがとう。初めて(日本に)来たときから22年、今までの全てに心から感謝します。本当にありがとう!」とファンへの愛を伝えた。初来日の2002年から今に至るまで、日本公演は60本を超えている。演奏も歌唱も全盛期と遜色ないクオリティーで、解散する必要なんて無いのでは?と思ってしまう内容だったこのステージ。観る者全員が最後にもう一度このバンドと最高の思い出を作ることができるような、純粋にロックバンドとして素晴らしいライブだった。
Text:Tatsuya Tanami、Haruki Saito
Photos:岸田哲平(スイサイダル・テンデンシーズ、SUM41)、 中河原理英(花冷え。、ユー・ミー・アット・シックス、ネック・ディープ、ゼブラヘッド)
◎公演情報
【PUNKSPRING 2024】
2024年3月16日(土)、17日(日)千葉・幕張メッセ
<3/16セットリスト>
■花冷え。
1. Today’s Good Day & So Epic
2. O・TA・KUラブリー伝説
3. TOUSOU
4. お先に失礼します。
5. センチメンタル☆ヒロイン
■ユー・ミー・アット・シックス
1. Deep Cuts
2. Fresh Start Fever
3. Reckless
4. Lived a Lie
5. Bite My Tongue
6. No Future? Yeah Right
7. Loverboy
8. Take on the World
9. Underdog
10. Beautiful Way
■ネック・ディープ
1. Dumbstruck Dumbf**k
2. Sort Yourself Out
3. Gold Steps
4. Motion Sickness
5. Lowlife
6. We Need More Bricks
7. Take Me With You
8. Heartbreak of the Century
9. STFU
10. Can’t Kick Up the Roots
11. Kali Ma
12. In Bloom
■スイサイダル・テンデンシーズ
1. You Can’t Bring Me Down
2. Send Me Your Money
3. Freedumb
4. Memories of Tomorrow
5. War Inside My Head
6. Subliminal
7. Possessed to Skate
8. Cyco Vision
9. I Saw Your Mommy…
■ゼブラヘッド
1. When Both Sides Suck, We’re All Winners
2. No Tomorrow
3. Hello Tomorrow
4. The Perfect Crime
5. Hell Yeah!
6. Drink Drink
7. Rescue Me
8. We’re Not Alright
9. Into You
10. All My Friends Are Nobodies
11. Playmate of the Year
12. Falling Apart
13. Anthem
■SUM 41
1. Motivation~88
2. The Hell Song
3. Over My Head (Better Off Dead)
4. No Reason
5. Out for Blood
6. Underclass Hero
7. Landmines
8. We’re All to Blame
9. Walking Disaster
10. With Me
11. Makes No Difference
12. My Direction / No Brains / All Messed Up
~Drum Solo~
13. Fake My Own Death
14. We Will Rock You(原曲:クイーン)
15. Pieces
16. Fat Lip
17. Still Waiting
18. In Too Deep
アンコール
19. Summer
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