【米ビルボード・アルバム・チャート】カニエ・ウェスト&タイ・ダラー・サインのコラボ初登場1位、アッシャーが2位に続く

2024年2月19日 / 10:15

 カニエ・ウェスト(イェー)とタイ・ダラー・サインのコラボレーション・アルバム『Vultures 1』が1位に初登場した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 『Vultures 1』は2人の初のコラボレーション・アルバムで、当初昨年の10月にリリースされる予定だったが、様々な事情により12月、そして今年へ延期が繰り返され、2024年2月10日にようやくリリースされた。

 初週(2024年2月9日~2月15日)には、アルバム・ストリーミングが129,000、アルバム・セールスが18,000、トラックによるユニットは1,000をそれぞれ記録して、合計148,000ユニットを獲得。週間ストリーミングは全16曲で1億6,778万回を記録した。

 『Vultures 1』は、現在のところストリーミングとデジタル・ダウンロードのみ可能で、初週はセール価格での購入が可能だった。CDやアナログ盤(LP)といったフィジカルは今後リリースされる予定で、カニエ・ウェストの公式ウェブサイトで予約を受け付けている。

 カニエにとって『Vultures 1』は通算11作目の首位獲得作品で、同11作をもつブルース・スプリングスティーンとバーブラ・ストライサンドと並ぶ史上4番目の記録を達成した。

19作 ザ・ビートルズ
14作 ジェイ・Z
13作 ドレイク
13作 テイラー・スウィフト
11作 ブルース・スプリングスティーン
11作 バーブラ・ストライサンド
11作 カニエ・ウェスト(イェー)

 なお、カニエは2004年発表のデビュー作『ザ・カレッジ・ドロップアウト』(最高2位)を除く、2ndアルバム『レイト・レジストレーション』(2005年)以降9枚のスタジオ・アルバムと、ジェイ・Zとのコラボレーション・アルバム『ウォッチ・ザ・スローン』(2011年)と本作を含む11作すべてを1位に送り込み、連続記録としては歴代トップに立っている。

2位『ザ・カレッジ・ドロップアウト』(2004年)
1位『レイト・レジストレーション』(2005年)
1位『グラデュエーション』(2007年)
1位『808s & ハートブレイク』(2008年)
1位『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー』(2010年)
1位『ウォッチ・ザ・スローン』(2011年)
1位『イーザス』(2013年)
1位『ザ・ライフ・オブ・パブロ 』(2016年)
1位『イェー』(2018年)
1位『ジーザス・イズ・キング』(2019年)
1位『ドンダ』(2021年)
1位『Vultures 1』(2024年)

 タイ・ダラー・サインにとっては2作目のTOP10入りで、『Vultures 1』で自身初のNo.1タイトルを獲得した。本作からは、バンプ・Jが参加した「Vultures」が昨年12月のR&B/ヒップホップ・ソング・チャートで最高38位を記録している。

 本作には、バンプ・Jの他にもトラヴィス・スコットやプレイボーイ・カルティ、クリス・ブラウンといった人気アーティストが参加していて、4曲目の「Talking」には現在10歳になるカニエの愛娘ノース・ウェストもボーカルとしてクレジットされている。

 『Vultures 1』は、カニエ、タイ・ダラー・サイン両者にとってメジャー・レーベル以外からリリースされた初のスタジオ・アルバムで、カニエがヘイトスピーチや反ユダヤ主義的発言を繰り返し、アディダスやデフ・ジャム(ユニバーサル・ミュージック・グループ)が距離を置いて以来、初めてリリースされた作品となる(上記のアルバムはすべてデフ・ジャムからリリースされた)。

 本作にはリリース当初「Good (Don’t Die)」という曲が収録されていたが、この曲にドナ・サマーの「アイ・フィール・ラヴ」(1977年)が許可なく使用されているとして、ドナの遺産管理団体が著作権侵害で訴えを起こし、2月14日にストリーミング・サービスのSpotifyが曲を削除。翌15日にはiTunes StoreやAmazonなどでも購入できなくなった。

 続いて今週2位には2月9日にリリースされたアッシャーの新作『カミング・ホーム』がデビューして、過去10年間では最高位を更新し、以下に続く通算9作目のTOP10入りを果たしている。

4位『マイ・ウェイ』(1997年)
4位『8701』(2001年)
1位『コンフェッションズ』(2004年)
1位『ヒア・アイ・スタンド』(2008年)
1位『レイモンド V レイモンド』(2010年)
4位『バーサス』(2010年)
1位『ルッキング・フォー・マイセルフ』(2012年)
5位『ハード・トゥ・ラヴ』(2016年)
2位『カミング・ホーム』(2024年)

 『カミング・ホーム』の初動ユニットは91,000で、その内訳はアルバム・セールスが53,000、アルバム・ストリーミングが34,500(4,582万回)、トラックによるユニットは3,500をそれぞれ記録した。

 アッシャーは、現地時間2024年2月11日に開催された【第58回 NFLスーパーボウル】のハーフタイム・ショーに出演し、米CBSやニコロデオン、ユニビジョンなどのデジタル・プラットフォームで全米視聴者数史上最多の1億2340万人を記録したことが話題となったが、新作『カミング・ホーム』からの曲は披露せず、過去のヒット曲によるセットリストで会場を盛り上げた。

 『カミング・ホーム』は、アッシャー自身の会社megaと米アップルの幹部だったラリー・ジャクソンによる音楽会社Gammaからリリースされたアルバムで、アッシャーにとってもメジャー・レーベルを離れて初の作品となる。

 2月9日には、ストリーミングとデジタル・ダウンロード、CD、5種類のアナログ盤、2種類のデラックス・ボックス・セット、ボーナス・トラックを追加したカバー・アートの異なるデラックス・デジタル・アルバムがリリースされていて、『Vultures 1』同様に初週はセール価格での購入が可能だった。なお、デラックス盤はアッシャーが広告に起用されたアンダーウェア・ブランドSKIMSで宣伝され、SKIMSとアッシャーの公式ウェブサイトで期間限定販売されている。

 本作からは、サマー・ウォーカーと21 サヴェージをフィーチャーしたリード・シングル「グッド・グッド」がソング・チャート“Hot 100”で25位を記録し、2015年に最高11位を記録した「アイ・ドント・マインド」以来の最高位と、2017年以約7年ぶりのTOP40入りを果たしている。

 今週3位には、ノア・カーンの『スティック・シーズン』が先週の7位から順位を上げて、2023年6月24日付で記録した3位と同率の最高位に到達した。

 『スティック・シーズン』は、2月9日にポスト・マローンやケイシー・マスグレイヴス等が参加した新曲9曲を追加した『スティック・シーズン(フォーエバー)』と題されたデラックス盤がリリースされたことでポイントが上昇し、前週から74%増加の85,000ユニットを獲得した。

 本作は、2022年10月にリリースされたノア・カーンの3作目となるスタジオ・アルバムで、同年10月29日付で14位に初登場した後、2023年6月9日に7曲を追加したデラックス盤とアナログ盤をリリースしたことでポイントが急増し、同年6月24日付で3位まで上昇。そして今年の2月9日に2回目のデラックス盤をリリースしたという経緯がある。

 以下、モーガン・ウォレンの『ワン・シング・アット・ア・タイム』(64,000ユニット / 1%減少)が2位から4位、シザの『SOS』(51,000ユニット / 4%減少)が3位から5位に順位を下げて、テイラー・スウィフトは6位に『1989(テイラーズ・ヴァージョン)』(50,000ユニット / 3%増加)、7位に『ラヴァー』(48,000ユニット / 7%増加)、8位に『ミッドナイツ』(46,000ユニット / 9%減少)を3作連続でランクインさせ、故トビー・キースのベスト・アルバム『35 Biggest Hits』(46,000ユニット / 31%減少)は1位から9位、ドレイクの 『フォー・オール・ザ・ドッグス』(45,000ユニット / 8%減少)は6位から10位に順位を下げた。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは2月23日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『Vultures 1』カニエ・ウェスト&タイ・ダラー・サイン
2位『カミング・ホーム』アッシャー
3位『スティック・シーズン』ノア・カーン
4位『ワン・シング・アット・ア・タイム』モーガン・ウォレン
5位『SOS』シザ
6位『1989(テイラーズ・ヴァージョン)』テイラー・スウィフト
7位『ラヴァー』テイラー・スウィフト
8位『ミッドナイツ』テイラー・スウィフト
9位『35 Biggest Hits』トビー・キース
10位『フォー・オール・ザ・ドッグス』ドレイク


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