<ライブレポート>GARNiDELiA、激動の2023年を締めくくったワールドツアー追加公演「世界がどんなに変わっても、歌い続ける理由はキミ」

2024年1月4日 / 18:00

 GARNiDELiAのワンマンライブ【GARNiDELiA stellacage 2023 -stella ship- Re:CoNNeCT Thanks】の東京公演が12月23日、EX THEATER ROPPONGIにて開催された。今年5月から10月にかけて、国内およびアジア圏をまわる約4年ぶりのワールドツアー【GARNiDELiA stellacage 2023 -stella ship- Re:CoNNeCT】を終えたばかりのGARNiDELiAだが、本公演はそのタイトルからもわかるように、ワールドツアーのアンコール公演的に実施されたもの。12月17日には大阪・umeda TRADでも実施されており、今回の東京公演が国内での2023年最後のライブとなる。

 ライブは今年10月リリースの「Future Wing」からスタート。ダンサー2名を従えたMARiAは深みのある歌声を響かせ、青いペンライトで染め上げられた満員のフロアを独特の世界へと引き込んでいく。続く「Beyond the sky」でもパワフルなボーカルは健在で、tokuが奏でるキーボードを中心にエッジの効いたバンドアンサンブルと相まって、会場は興奮のるつぼへ。曲中、ステージ後方からライトが照らされると、逆光により浮かび上がったMARiAのシルエットが神々しさを醸し出し、そんな彼女の姿に盛大な拍手と声援が送られる。

 MARiAの「最初から飛ばしていこうぜ、東京!」を合図に、アップテンポの「Burning Soul」では会場のボルテージが急加速。大きなアクションを交えながら響かせるMARiAの情熱的な歌声と、tokuによる煌びやかなシンセサウンドがGARNiDELiAらしい独特のサウンドスケープを構築していくと、その世界観は「my code」でさらに濃厚なものへと昇華。曲が進むにつれ激しさを増すバンドサウンドに合わせて、MARiAから頼もしさや艶やかさがどんどんと放出され、冒頭4曲で会場のガルニダー(GARNiDELiAファンの総称)を完全にノックアウトさせた。

 最初のMCでは、MARiAが「しょっぱなからみんなの『楽しんでやるぞ!』という思いが、ステージにまでひしひしと伝わってきています。今日は感謝祭という感じで、普段のツアーとは違う感じでやっていこうかな」と発言。続くブロックでは「Arrow of Love」や「フタリ座流星群」など、序盤のアグレッシブさとは一線を画するキュートな楽曲を連発していく。その傾向は「アイコトバ」でさらに強まり、ポップでスウィング感の強い「オトメの心得」では、会場がこの日いちばんと言えるほど優しい空気に包まれていった。

 “キュンキュンパート”はここで終了したかと思われたが、MARiAの「本当はここで捌ける予定だったんですけど……今日は23日じゃない?」の一言に続き、この時期ならではの一曲「はじめてのクリスマス」をガルニダーにプレゼント。ゆったり落ち着いた曲調と、赤と緑の照明が作り上げるクリスマスの雰囲気とが相まって、フロア中がピースフルな空気で充満することとなった。

 バンドメンバーによるインストセッションを挟んで、白を基調とした衣装に着替えたMARiA&tokuが再登場すると、「further」をはじめとするバラードブロックへ。アコースティックギターとピアノが生み出す繊細なサウンドと、随所にエモーショナルなフェイクを交えたMARiAの歌声が会場を感傷的な空気へ一変させると、その後も「ORiON」「Harmony」と情熱的なバラードでオーディエンスを魅了した。

 クールダウンした会場の空気を再びヒートアップさせたのは、10月に発表されたばかりの新曲「暁桜」。従来のGARNiDELiAらしさを備えつつも現代的にバージョンアップされたこの曲は、早くもガルニダーから好意的に受け入れられており、2024年の彼らの動向を占ううえでも重要な一曲になりそうだ。そんな最新曲に続いて繰り出されたのが、8年前にリリースされたトランシーなダンスチューン「人魚姫」。この時の流れをまったく感じさせないほど自然な楽曲の並びに、改めて、結成から十数年を経てもなおGARNiDELiAが大切に守ってきた“軸”がまったくブレていないことを実感させられたのではないだろうか。

 ライブも終盤へ向けて、盛り上がりはさらに加速していく。大切なメジャーデビュー曲「ambiguous」で会場の心がひとつになると、「grilletto」「BLAZING」とエッジの効いた楽曲が連発される。特に「BLAZING」では、tokuがポータブルキーボードを抱えてステージ上を動き回るほか、MARiAもフロアへ降りてオーディエンスとコミュニケーションを図るなど、ガルニダーの熱気も加速する一方。さらに、扇子を使ってセクシーに踊ってみせる「オオカミ少女」では、観客のシンガロングも一際大きくなり、最後はドラマチックな「約束 -promise code-」でライブ本編を盛大に締め括った。

 アンコールを求めるガルニダーの声援に応えるように、Tシャツ姿でステージに再登場したGARNiDELiAとサポートメンバーたち。今年はMARiAが中国の音楽リアリティショーバラエティ番組『乗風(チェンフォン)2023』に参加したことをきっかけに、中華圏での人気が爆発したこともあり、国内公演が終わったあとも再び中国圏でのステージが控えている。そんな思いがけない状況に対し、MARiAは「大きなうねりの中で世界が一変するとはこういうことなのかなと。奇跡みたいな時間をたくさん過ごさせてもらいました。そんな中で、くじけそうなときもあったけど、どうしてもステージに立つとすごく幸せで、『この瞬間のために私、生きているんだ』と思えるんです。この瞬間をくれるみんなに本当に感謝しています」と挨拶。続けて「なんでこんなに歌うことが好きでたまらないのか。考えたら本当にシンプルなことで。ここから見えるキミの、キミたちのキラキラの笑顔が本当に大好きなんだなと思いながら日々歌っているの。キミがいて私がいる。それだけで十分だなと思っています。いつもそばにいてくれて、本当にありがとう。距離とか国とか、どんなステージとか関係なく、これからも歌い続けます。世界がどんなに変わっても、歌い続ける理由はキミ。来年も超幸せな、今日みたいな瞬間をいっぱい作ろうね!」と感謝の気持ちを伝えた。

 そんなガルニダーに向けてこの日最後に歌われたのは、彼らの存在証明のような一曲「Reason」。どんなに状況が変わろうとも、歌う理由はキミ。だから私は今日も歌い続ける……2024年3月にメジャーデビュー10周年を迎える彼らにとって、ここで歌われている内容はまさに所信表明のように響くものだった。そんなエモーショナルなナンバーで、会場にいる者すべてが心をひとつにして、激動と大躍進の2023年を締めくくるライブは大成功のうちに幕を下ろした。

 GARNiDELiAは2024年に入るとすぐ、1月17日に待望のニューアルバム『TEN』をリリース。そして、この日のステージで発表されたように、7月からは新たなワールドツアーもスタートし、その一環として6月30日にはユニット初の東京・日比谷野外音楽堂でのワンマンライブも決定している。メジャーデビュー10周年という大きな節目を迎える彼らが、2024年にどんな未来を見せてくれるのか。今後も注目してもらいたい。

Text by 西廣智一

◎公演情報
【GARNiDELiA stellacage 2023 -stella ship- Re:CoNNeCT Thanks】
2023年12月23日(土) 東京・EX THEATER ROPPONGI

 ▼セットリスト
01. Future Wing
02. Beyond the sky
03. Burning Soul
04. my code
05. Arrow of Love
06. フタリ座流星群
07. アイコトバ
08. オトメの心得
09. はじめてのクリスマス
10. further
11. ORiON
12. Harmony
13. 暁桜
14. 人魚姫
15. ambiguous
16. grilletto
17. BLAZING
18. オオカミ少女
19. 約束 -promise code-
En1. Reason


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