ポルノ／オーラル／anoら出演 【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023】8/6まとめレポ

　ロッキング・オン・ジャパンが主催・企画制作する日本最大の野外ロックフェスティバル【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023】（以下【RIJF】）が、千葉市蘇我スポーツ公園にて8月5日、6日、11日、12日、13日の5日間にわたって開催された。

　2022年に開催地を千葉県蘇我に移した【RIJF】。蘇我での開催2年目となる今年は、計4つのステージに全108組のアーティストが出演した。本記事では、2日目となる6日の模様を厳選してレポート。終日晴天だった前日とは打って変わり天候が安定しない一日だったが、雨にも負けず53,000人のオーディエンスがアーティストの熱いパフォーマンスを見届けた。

　昼過ぎの＜GRASS STAGE＞には、自身3度目の【RIJF】出演となるポルノグラフィティが登場。新藤晴一（Gt.）のファンキーなカッティングに彩られた「ミュージック・アワー」からライブはスタートする。岡野昭仁（Vo.）が「暴れて帰れよ！」とジャンプを煽ると、後方まで人がびっしりのGRASS STAGEに大きな波が生まれた。続く「サウダージ」では、情熱的なラテンナンバーで会場のムードをますます熱々に。「ギフト」では、岡野の安定感抜群の歌声が開放的なメロディに乗せて蘇我の空いっぱいに広がった。

　メンバーの岡野と新藤は共に広島県因島出身。この日が広島に原爆が投下された日であることに触れ、「きっとここにいるみんなが平和を思う気持ちがあると思う。身近な人が傷つけられたりすることは誰も望んでいない。その気持ちが平和を望むことの根本だと思う」と、G7広島サミットの開催を契機に書き下ろされた「アビが鳴く」を披露した。曲を歌い上げた後、岡野が祈りを捧げるようにマイクを握りしめていたのが印象的だった。

　おなじみのクラップから突入した「アゲハ蝶」では、岡野の言葉を合図にコーラス部分をオーディエンスが合唱。ラスサビでは岡野が歌う主メロとオーディエンスのコーラスがぴったりマッチし、この日だけの特別な一体感を生み出した。そしてラストソングの「ハネウマライダー」が始まった瞬間、まるで演出かのように強い日差しがGRASS STAGEを照らし出す。フロアを埋め尽くす色とりどりのタオルが爽やかな風を巻き起こし、二人は清々しい表情でステージを去っていった。

　リハーサルからフジファブリックの「銀河」をカバーし＜PARK STAGE＞を温めたフレデリックは、1曲目から代表曲「オドループ」を投下。三原健司（Vo./Gt.）が「今日は0か100かでいきませんか！俺達はやります！」と意気揚々に宣言すると、それに呼応するようオーディエンスはリズムに合わせて飛び跳ねる。「KITAKU BEATS」「ジャンキー」と強靭なダンスアンセムを次々と繰り出し、このままラストまで突っ走るのかと思いきや、そう易々といかないのがフレデリック。「盛り上げるだけがダンスミュージックじゃない」と、「ナイトステップ」をクラブミュージック風のアレンジで披露し、オーディエンスに新しい音楽の楽しみ方を提案した。

　「俺たちは今日のロッキンで一番最高っていうのをやりたいわけじゃない。今までで一番最高だったっていうのがやりたいんです！」と、焦燥感を露わにしながらラストは最新曲「スパークルダンサー」でエンド。短い時間のなかでいかに自分たちの音楽を届けるか、試行錯誤の跡に彼らなりのこだわりを感じたステージだった。

　お決まりの「1本打って！」の号令で一体感を高めたTHE ORAL CIGARETTES。オープニングは久しぶりにやるというメジャーデビュー曲「起死回生STORY」だ。疾走感溢れるビートに合わせオーディエンスが一斉にジャンプし出すと、＜GRASS STAGE＞の地面がリズミカルに揺れる。山中拓也（Vo./Gt.）が「今日一日楽しんだかー？でも涼しくなってここからが本番ちゃう？」と挑発し、「カンタンナコト」の不穏なギターリフが鳴り響くと、フロアではヘッドバンキングの嵐が巻き起こった。

　GRASS STAGEのトリ並びに、この日のロックバンドのアクトは彼らが最後ということで、より一層気合いが入っている様子のメンバーたち。「5150」ではサビのほとんどをオーディエンスに歌わせたり、「BLACK MEMORY」では「全員ついてこい！」と絶叫しフロアを焚きつけたりと、この日のオーラルはとにかく血気盛んだった。そしてそこから伝わってくるのは、ここにいる誰一人も取りこぼさずにライブを作り上げようとする気概だ。本編ではガンガンに盛り上げながらもラストは「LOVE」で締めくくるというセットリストからも、ロックバンドの矜持を見せつけられた。

　2日目のクロージングを任されたanoは、TAKU INOUE（Gt.）と西浦謙助（Dr.）を引き連れバンドセットで登場。「【RIJF】楽しんでるかー！」と勢いよくステージに現れ、クリープハイプの尾崎世界観が提供した「普変」でライブは幕を開けた。歌声は可愛らしいのに受け取る印象はなぜかヒリヒリとしていて、＜ちゃんとしてるのにいつもおかしくて　それでもこれしかなかった＞という歌詞が、ダイレクトに胸を打つ。

　未音源化の「涙くん、今日もおはようっ」でデスボイスやシャウトを繰り出しオーディエンスの度肝を抜いた後は、　「これを聞かせないで帰すわけにはいかねーですわ」と、「ちゅ、多様性。」へ突入。黄色いジャージに身を包んだダンサーたちとともに”ゲロチューダンス”でキュートにステージを盛り上げた。そして最後は「F Wonderful World」の摩訶不思議なモードでフィニッシュ。「僕この景色忘れないよ！サンキューベリベリanoでした！」と、笑顔でステージを後にした。

◎イベント情報
【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023】
2023年8月5日（土）、6日（日）、11日（金・祝）、12日（土）、13日（日）
千葉・千葉市蘇我スポーツ公園

＜8/6セットリスト＞
■ポルノグラフィティ
01. ミュージック・アワー
02. サウダージ
03. ギフト
04. アビが鳴く
05. アゲハ蝶
06. メリッサ
07. ハネウマライダー

■フレデリック
01. オドループ
02. KITAKU BEATS
03. ジャンキー
04. ナイトステップ
05. Wake Me Up
06. スパークルダンサー

■THE ORAL CIGARETTES
01. 起死回生STORY
02. Red Criminal
03. カンタンナコト
04. Enchant
05. BUG
06. 通り過ぎた季節の空で
07. 5150
08. mist…
09. BLACK MEMORY
10. LOVE

■ano
01. 普変
02. スマイルあげない
03. 涙くん、今日もおはようっ
04. AIDA
05. 絶対小悪魔コーデ
06. ちゅ、多様性。
07. F Wonderful World