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7月26日(水)にメジャーデビューしたばかりのガールズメタルコアバンド・花冷え。が、自身初となる東名阪ツアーのファイナル公演を7月28日(金)渋谷WWWにて開催した。
近年、口コミレベルで広まっていたバンドの評判は、2023年1月に配信リリースした楽曲「お先に失礼します。」によって世界規模で爆発。すでに開催が発表されているヨーロッパツアーとアメリカツアーのうち、数公演がソールドアウトするという状況となった。初の海外ツアーにしてこの沸騰ぶりは異常である。
メジャーデビュー発表に伴い、ここ日本でも彼女たちの注目度は俄然高まり、本公演のチケットもあっという間に完売。客層は幅広く、外国人の姿もある。一般的なメタルのライブとはちょっと異なる雰囲気があるのもこのバンドの特徴と言えるかもしれない。
SEが鳴り響く中、4人のメンバーが次々と登場し、フロアに向かってご挨拶。そして、1曲目に演奏したのはメジャーデビューアルバム『来世は偉人!』から「超次元ギャラクシー」だった。
4人の演奏を聴いてすぐに、彼女たちが短期間で急成長を遂げていることがわかった。以前はもっと音の塊で襲いかかってくるような印象だったが、今は個々の音の粒立ちがよく、バンドとしてのフェーズが次の段階へと移ったことをいきなり見せつけた。加入したばかりのチカのタイトなドラミングも素晴らしく、ヘッツ(Ba)とともにヘヴィグルーヴを展開させている。
WWWは以前映画館として使われていた場所なため、血気盛んな花冷え。ファンにとっては少々暴れづらい構造になっているが、彼らにそんなものは関係なかった。続々とクラウドサーフが発生し、異常な光景を生み出していった。
観客による大ヘドバン大会となった「限界沼ライフ」を経て、「NEET GAME」へと突入。これは2022年に配信リリースされた曲だが、やはりバンドとしての佇まいの違いを感じさせる。ステージを仕切るユキナ(Vo)は余裕たっぷりにシャウトとキュートなクリーンボーカルを使い分け、それと同時にフロアの空気を敏感にキャッチし、臨機応変に先導する。華々しいメジャーデビュー、そして8月以降に待ち受けている大規模な海外ツアーがバンドをここまで変えたのかもしれない。最初から感動しっぱなしである。
最初のMCでは観客が興奮しっぱなし。メンバーの名前を叫ぶ声がデカすぎて、“うるさい! うるさい!”とマツリ(Gt&Vo)が場を制するぐらいの盛り上がりとなった。チカも積極的にMCに参加し、新体制になって2か月で早くもバンドがいい状態に仕上がっていることを感じさせた。そう、新体制になってまだ2か月なのである。新たな形を作るだけでも大変なのに、それどころか進化を遂げているとはどういうことなんだろうか。
しかし、驚くのはまだ早かった。「令和マッチング世代」と「我甘党」という花冷え。の実力を証明したインディーズ時代の2大巨頭が、バンドが過去と同じ場所にはいないことを強烈なパフォーマンスによってまざまざと見せつけたのだった。
一方、新曲たちはどうかというと、「Warning!!」は早くもブルータルに変貌していたし、エグいくらい極端にシーンがチェンジする「今年こそギャル~初夏ver.~」もメリハリのある演奏と前のめりなグルーヴでフロアをぐいぐい巻き込んでいた。
これはマツリの安定感のあるギターの存在もかなり大きい。
今の花冷え。が強いのは、ライブ終盤に既存の人気曲を放り込むのではなく、新作の収録曲を自信たっぷりに見せつけられるところにある。まず、11曲目「TOUSOU」はカッコいいの一言に尽きる。イントロのテンション高めの演奏に、
ユキナとマツリのボーカルの掛け合い、パトカーのサイレンなど、あらゆる要素が渾然一体となって花冷え。らしいカオスを生み出していたし、彼女たちの大出世曲「お先に失礼します。」も以前よりも格段に重く展開していた。この2曲については照明が素晴らしかったことも記しておきたい。花冷え。というバンドがもつ混沌を的確かつ、スタイリッシュに表現し、4人の世界観をさらに増幅していた。
本編ラストは『来世は偉人!』のラストを飾る「Today’s Good Day & So Epic」。所属事務所と所属レコード会社の名前をタイトルに忍ばせたこのパンクチューンによって、フロアはぐっちゃぐちゃになるのだった。ここまで観てきて静かな衝撃的だったのは、このライブは全体の流れで盛り上げようなものではなく、1曲1曲がハイライトだったこと。このことに気づいたとき、花冷え。というバンドの恐ろしさを改めて感じたのだった。
盛大な花冷え。コールに呼び込まれた4人は、まず花冷え。として初めてつくった「ぶっ壊す!!」で観客に感謝を示す。そもそも、こんな曲を初めてつくれている時点で彼女たちは規格外なのだ。そして、最後はこれも彼女たちの初音源『開花宣言』から「Envy」をプレイ。自分たちの原点を見つめ直すというエモーショナルな選曲で東名阪ツアーのエンディングを迎えたのだった。
しかし、ステージに感傷的な空気は一切流れていなかった。4人はすでに次を見据えている。ヨーロッパ&アメリカツアーという新たなステージが彼女たちを待っているのだ。そして、11月24日(金)にSpotify O-WESTにてワンマンライブ『花冷え。ONEMANSHOW 2023 ~おかえりジャパン~』が開催されることもユキナから発表された。ツアーファイナルとはいってもひと区切り感なんてまったくない。むしろ、ここからすべては始まるのである。
正直、彼女たちのことを得体のしれない存在として見ているメタルファン、音楽ファンはまだ多いことだろう。しかし、いつだってそんな“得体の知れない”者たちの手によって音楽の歴史は塗り変えられてきたのだ。花冷え。の進撃はこれから始まる。
Text by 阿刀 “DA” 大志
アルバム『来世は偉人!』
2023年7月26日(水)発売
【初回生産限定盤】(CD+Blu-ray)
ESCL-5832~3/¥4,400(税込)
https://hanabie.lnk.to/raisewaijin_limited
【通常盤】(CD)
ESCL-5834/¥3,000(税込)
https://hanabie.lnk.to/raisewaijin_normal
<収録曲>
■CD
01. Blast Off
02. 超次元ギャラクシー
03. NEET GAME
04. 今年こそギャル〜初夏ver.〜
05. Tales of Villain
06. Warning!!
07. 我は宇宙最強のインベーダーちゃんである
08. TOUSOU
09. お先に失礼します。
10. Today’s Good Day & So Epic
■Blu-ray ※初回生産限定盤のみ
・HANABIE. Episode2023
・花冷え。をもっと知りたい!
『花冷え。ONEMANSHOW 2023 〜おかえりジャパン〜』
11月24日(金) 東京・Spotify O-WEST
開場 18:00 / 開演 19:00
<チケット>
FC会員¥4,500/スタンディング
一般¥4,800/スタンディング
・FC先行(e+)
7月28日(金)20:00〜8月20日(日)23:59
・一般先行(e+、LT、ぴあ)
8月25日(金)18:00〜9月17日(日)23:59
・一般発売
9月23日(土)10:00
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