<コラム>サザンオールスターズ、45周年イヤー第1弾「盆ギリ恋歌」が誘うカオスな夏のトワイライトゾーン

2023年7月21日 / 19:00

 サザンオールスターズが7月17日の海の日に配信リリースした、約4年ぶりの新曲「盆ギリ恋歌」(ぼんぎりこいうた)が耳から離れない。日本の夏、サザンの夏。令和の世の中、サブスクからはいろんなタイプの夏ソングが聴こえてくるけれど、やっぱりサザンの曲ほど日本の夏に似合うものはない。まして今年はめでたいデビュー45周年。いくら桑田佳祐がデビュー記念日の6月25日を前に「何もないから期待しないでね」と言ったって、当然ファンは期待せずにはいられない。そして満を持してラジオ番組で明かされたのは、3か月連続配信リリースと、10年ぶりの【茅ヶ崎ライブ2023】を4日間(9月27日、28日、30日、10月1日)にわたり開催するという、ファンならずとも歓喜の声を上げたくなる大発表であった。そんな45周年イヤーのキックオフを飾ったのが、「盆ギリ恋歌」だ。

 「盆ギリってなに?」と思いつつ聴いてみると、数々のライブアンセムを彷彿とさせるファンキーなイントロに続き、サーフミュージック風のメロディで<盆ギリ盆ギリ 夏は盆ギリ ヨロシクHold Me Tight>とノリノリで歌う桑田。お盆の風習、魑魅魍魎が跋扈する人間社会、欲望、土地の風俗、宗教等々、いろんなものを連想できる混沌とした歌詞と、キャッチーなメロディ、軽快な演奏の組み合わせが、じつにサザンらしい。

 その世界観を読み解きつつ丹念に考察してみたところ、う~ん、わからない。オフィシャル・ウェブサイトを見たら「要するに理解不能のシン・日本の夏ソング!!」と書いてある。そうか、なんでも深読みしようとするのはネット社会の悪い癖だ。問答無用で誰もが楽しめるエンターテイメントこそ、サザンの真骨頂じゃないか。そう思って自分を開放したら、怪談本の扉絵みたいなジャケットのおどろおどろさも、後半で聴こえる<いい加減にしなさいよ>という女性のお叱りも、夏休みに子どもに返った大人の“やさしい夜遊び”みたいなドキドキとワクワクがたっぷりと感じられた。

 デビュー曲「勝手にシンドバッド」のオマージュが出てくるのも必聴ポイント。曲のタイプは違うものの、「盆ギリ恋歌」には「勝手にシンドバッド」にも通じる“わかるようでわからない”エキセントリックさ、カオス感がある。この誰にも似ていないオリジナリティこそが、サザンが他の追随を許さない唯一無二のバンドであり続ける所以だろう。「盆ギリ恋歌」のミュージック・ビデオには、さらなるカオスが待ち受けているのでこちらも必見だ。

 2番の歌詞<あの サザンビーチでナンパするなら ヨシオんとこ(夏倶楽部)でShow!!>や、MVの最後に映し出される花火など、聖地・茅ヶ崎へと繋がるフレーズ、場面も登場する。この夏の3か月連続配信リリースを経て、秋の【茅ヶ崎ライブ2023】へと、サザン45周年のお楽しみはまだまだ続く。まずは、じんわり汗をかいた体をうちわで扇ぎながら、「盆ギリ恋歌」が誘うトワイライトゾーンにどっぷりと浸ってみては。

Text by 岡本貴之


音楽ニュースMUSIC NEWS

【米ビルボード・アルバム・チャート】モーガン・ウォーレン3週連続1位、テイラー・スウィフト『レピュテーション』が5位に急上昇

洋楽2025年6月9日

 今週の米ビルボード・アルバム・チャートは、モーガン・ウォーレンの『アイム・ザ・プロブレム』が3週目の首位を獲得。TOP5には、2位にSEVENTEENの『HAPPY BURSTDAY』、4位にマイリー・サイラスの『サムシング・ビューティフ … 続きを読む

故プリンス、「Free」アコースティックver.が配信

洋楽2025年6月9日

 故プリンスの5枚目のアルバム『1999』収録の楽曲「Free」のアコースティック・バージョン「Free (Acoustic Version)」が配信限定でリリースとなった。  同曲は2008年に再レコーディングされたもので、彼のVault … 続きを読む

【深ヨミ】THE JET BOY BANGERZ『まさか泣くとは思わなかった』の初週地域別販売動向を過去作と比較調査

J-POP2025年6月9日

 2025年6月4日公開のBillboard JAPAN週間アルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”(集計期間:2025年5月26日~6月1日)で79,451枚を売り上げて2位を記録したTHE JET BOY BAN … 続きを読む

エド・シーラン、つながりをテーマにした新曲「Sapphire」公開 Arijit Singhが参加

洋楽2025年6月9日

 エド・シーランが、国や文化の壁を超えて響く“愛”を祝福する新曲「Sapphire」をリリースした。  “つながり”と“純粋な喜び”をテーマにしたキラキラと輝くような本楽曲は、明るく力強いポップサウンドにさまざまな文化の音楽的要素が溶け込ん … 続きを読む

Widescreen Baroqueが始動 「Door to Door」リリース

J-POP2025年6月9日

 真部脩一(Composer)とHinano(Vo)によるユニット、Widescreen Baroqueが活動を開始した。  ユニット名は時間や空間を自由に往来するSFのジャンルを意味する。  本日6月9日にリリースした、1stデジタルシン … 続きを読む

Willfriends

page top