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King Gnuが自身初のスタジアム公演となる【King Gnu Stadium Live Tour 2023 CLOSING CEREMONY】を開催した。彼らが東京ドーム公演を二日間にわたって行ったのが2022年11月。それから約半年という短いスパンで迎えたこのツアーは、5月20日と21日に大阪・ヤンマースタジアム長居、そして6月3日と4日に神奈川・日産スタジアム、各会場二日ずつの計4公演が行われ、あらためて現在のKing Gnuが鳴らす音楽、ライブで作り出す景色の破格のスケールが証明されたツアーとなった。
開演時刻が近づいてきた頃、いち早くステージ上に現れたのは、ホーンとストリングスのサポートメンバーたち。今回のライブで特筆すべき点のひとつが、King Gnuにとって初めてのサポートメンバーを迎えたこの大規模編成だ。公演タイトルにも引用されている最新アルバム『CEREMONY』は、数多くのヒット曲とタイアップ曲を収録したポップアルバムの金字塔であると同時に、この日のオープニングを飾った「飛行艇」が分かりやすく示している通り、スタジアムのような巨大空間を基準にしたグランドデザインのもとに構築された一枚でもある。メンバーにとって盟友とも呼ぶべきMELRAWこと安藤康平、そして常田大希の兄である常田俊太郎が各セクションを率いていたことも含めて、そのスタジアムロックの真価がようやく本来あるべき環境と編成で発揮されたのが今回のスタジアム公演であり、2020年1月にリリースされた『CEREMONY』の延長線、その最果てにある終着点ともいうべきメモラブルなツアーだったのだ。
約7万人の<君とトーキョーランデブー>が盛大に響き渡った「Tokyo Rendez-vous」、その後の「Teenage Forever」や「BOY」でも大合唱と大歓声が鳴り止まない。コロナ禍以降、ようやく迎えた声出し解禁ライブでもある。客席エリアにはフラッグ隊も配置され、オーディエンスの指揮をとるように煽る。新旧ライブ定番曲が惜しみなく投下された冒頭は、いずれもスタジアム仕様の特大サウンドスケープを描き出していて、ただでさえ熱狂必至の一曲一曲が凄まじいアンセムの集合体と化し、あっという間に7万人を熱気と高揚の渦に巻き込んでしまった。
一方で、美しいストリングスの音色と共鳴した「雨燦々」、ノスタルジックなメロディラインで紡がれる「傘」など、元来の歌モノ曲もまた、前述の楽曲群とは一味違った趣でスタジアム空間にフィットしていた。このあたりから日が沈みかけてきた時間帯で、天井がぽっかり空いた日産スタジアムでは時間の経過も演出となり、景色や温度までもがショーの要素として流動的に機能していく。
井口の愛すべき観客イジリやメンバーのラフな会話でも楽しませた長めのMCタイムを経て、「ユーモア」と「Don’t Stop the Clocks」の2曲は、ほぐれた空気感に親密に寄り添うようなアコースティック編成のパフォーマンス。その後の「カメレオン」からは常田がアコギを置いてピアノへ向かい合うと、続く「三文小説」では冒頭、先日亡くなった坂本龍一の名曲「戦場のメリークリスマス」のフレーズを奏でる一幕も。そして、幻想的な「泡」のパフォーマンスが前半を締めくくり、再びステージに登場したストリングス&ホーン・セクションによる「幕間」を挟み、ショーはいよいよ後半のクライマックスへ。
アルバム『CEREMONY』ではイントロダクション的な「開会式」に続く2曲目、実質のオープニングに据えられている「どろん」でスタートした後半は、すっかり日が落ちて夜の帳が会場を包み込むなか、左右に設置されたスクリーンと効果的な照明演出も相まって、ステージ上が巨大な光源となり、より一層の視覚的なインパクトが圧巻だった。ほかにもMELRAWのサックスソロも披露された「Overflow」や、冒頭の「飛行艇」に勝るとも劣らないカタルシスをもたらした「Stardom」を筆頭に、このスタジアム公演ならではのハイライトがいくつも生み出されていった。
映画『劇場版 呪術廻戦 0』から主題歌「一途」、そしてエンディングテーマ「逆夢」の2曲を演奏し、バンドのヒストリー映像とともに送られた「壇上」を経て、本編ラストは客席にスマホライトの星空が広がった「サマーレインダイバー」。そしてアンコールが始まり、チェロを演奏する常田の姿がライトアップされると、オーディエンスは驚きの声をあげたのも束の間、固唾を呑んで迫真のパフォーマンスを見守る。
彼らのキャリアの大きな転換点となった「白日」、この日最後の大合唱を巻き起こした初期の名曲「Mcdonald Romance」と感慨深い楽曲が続き、最後の最後はダメ押しのトップギア「Flash!!!」でフィニッシュ。アウトロでは豪勢な花火まで打ち上がり、さながら夏フェスの大トリのような盛り上がりを見せ、King Gnu初のスタジアム公演は締めくくられた。同時に、もともとライブの1曲目に相応しい曲として作られた「Flash!!!」だからこそ、新たな始まりを予感させた幕切れでもある。ここがひとつの臨界点。彼らのネクストフェーズはすでに始まっているのかもしれない。
Text:Tomoyuki Kawakami/Kosuke Ito/Ayumu Kosugi
◎公演情報
【King Gnu Stadium Live Tour 2023 CLOSING CEREMONY】
2023年5月20日(土)大阪・ヤンマースタジアム長居
2023年5月21日(日)大阪・ヤンマースタジアム長居
2023年6月3日(土)神奈川・日産スタジアム
2023年6月4日(日)神奈川・日産スタジアム
<セットリスト>
0. 開会式
1. 飛行艇
2. Tokyo Rendez-vous
3. Teenage Forever
4. BOY
5. 雨燦々
6. 小さな惑星
7. 傘
8. ユーモア
9. Don’t Stop the Clocks
10. カメレオン
11. 三文小説
12. 泡
13. 幕間
14. どろん
15. Overflow
16. Player X
17. Slumberland
18. Stardom
19. 一途
20. 逆夢
21. 壇上
22. サマーレインダイバー
En
23. 閉会式
24. 白日
25. Mcdonald Romance
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